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『ADVENTUNE』を全曲レビューしました。 #ADVENTUNE

こんにちは、まさかです。

突然ですが、『ADVENTUNE』はもう聴きましたか?

V界屈指の実力派音楽クリエイターたちが「RPG」をテーマに曲を持ち寄った、コンセプチュアルなコンピレーション・アルバムとなっています。

今回は『ADVENTUNE』を実際に聴きながらレビューしていきたいと思います。

ちなみに初聴きでレビュー書いているので、初期衝動のレビューとなっているわけです。

それでは、参る。

1. Close to my heart - ミディ

アルバム1曲目を飾るのはご存知、ミディ姉さん。EDMからロックなど、非常に幅広い音楽性をお持ちの元祖作曲バーチャルYouTuberです。

この曲、Close to my heartはミディ姉さんのお得意、kawaii future bass。「SweetDream」めっちゃ好き。

サンプリングやテープ・ストップ(アナログ・テープを止めたように、テンポとピッチを一時的に下げるエフェクト)、複雑なテンション・コードを鳴らすパッドに軽快なリード・シンセ、複雑にプログラミングされたリズム・ビートなど、全ての要素がさらに進化してめちゃやばになってしまっています。

パン・ポットの振られたハイハットが鈍重なビートの隙間を縫うように複雑に刻み絡み合う軽快さ。

歌詞は「魔法」「世界」などファンタジーな世界観を映し、オブリガードのピアノもドリーム・ポップのように美しい。

まさにわたしたちの心の琴線に触れるような繊細で大胆な楽曲。すこ。

MVは瀬戸美夜子ちゃんが作っててそれもかっこいいので見てください。

2. heterodoxy - memex

ぴぼさんとアランちゃんによる2人組音楽ユニット、memexさんの楽曲、heterodoxy(ヘテロドキシ)。

曲名は異端、異教という意味。歌詞もちょっとダークな魔術について歌われています。しかし聴き進めていくとこの魔女が教会から異端とされた存在であることが分かります。切ない歌詞。

なんとなく、memexさんは生音中心のプログレッシブなマス・ロックを作られるイメージがあったのですが、今回はサビからダンサブルなエレクトロニカになってて驚きました。マジかっこいい……。

変拍子と転調の嵐、複雑なビートと、memexさんの持ち味はそのままに、さらに新たな要素が加わった感じ。

ブリッジ部分のビット・クラッシャー(あえてビット数を減らし音質を劣化させるエフェクト)の使い方もかっこよすぎる。

Cメロ部分では一転テンポが落ちてエレピとドラム、ベースのシャッフル・ビートになるんですが、その緩急も最高すぎて病みつきになります。Cメロでベースがハイフレット弾く曲は神なんだって……。

あとわたしAメロで終わるのめちゃくちゃ好きなんですが、この曲の終わり方ほんとにカッコよくて好きです。

ラスサビのアランちゃんの高音すごすぎ。

3. VILLAGER - キツネDJ

先日の「音楽を止めるな」でも話題となったキツネDJさん。ゆるめな外見と名前から繰り出されるガチサウンド、オートチューンのかかった魂の籠ったボーカルに釘付けになった方も多いのではないでしょうか。

「VILLAGER(ビレジャー)」、村人。歌詞も、RPGの村人視点で歌われています。斬新。NPCな現状を打破しようというテーマでカッコイイ。

キツネDJさんは韻の踏み方が秀逸で、この曲も子気味良い韻の踏み方がなされています。子音の絡みが巧みで、英詞のように緻密に組み立てられています。

楽曲はAviciiやThe Chainsmokersのような箱鳴りの良さそうなダブステップなEDMでかっこいい。

間奏部分はドロップがあったり、オブリでパッドのコードが入っていたりしてめっちゃ踊れます。踊りながら書いてます。この気の抜けたぷゃ〜って感じのシンセ大好きなんですよね。

ブリッジ前でビートが一旦消えてアガってく感じ……マーティン・ギャリックスみたいでうますぎです。キツネさんもAnimalsですし(?)。

ぜひクラブイベントで聴きたい一曲です。

4. Level UP - 八月二雪

john=hiveさんとQキキさんによるユニット、八月二雪。

正統派アニソンロックという感じの楽曲となっています。刻むギターがカッコよすぎる。

わたし、アニソンに大切なのはリズムとボーカルの絡みだと思っていて、このLevel UPは見事に絡んでいて完璧に仕上がっています。

Qキキさんの歌も伸びやかで美しい。

ドラムがすごく子気味よくテクニカルに組み立てられていて、楽曲の盛り上げに貢献しています。

ギターソロも圧巻。

3分半ほどの短い曲に聴きどころが詰め込まれています。

Aメロのベース・ラインがボーカルに呼応するようにうねり、楽しい。

ライブで聴いたらアンセム間違いなしです。

5. Lunatic Mountain - あくまのゴート

品川シーサイド、スワンプマンなどでお馴染み、あくまのゴートさんの楽曲。こちらは一転、シャッフル・ビートな歌謡曲となっています。

早くにまくし立てるような酔いどれボーカル(?)がとても良くて、ミュート・トランペットのブラス・セクションの裏メロディーが楽曲を引きたてています。

歪み籠ったギターがモダンな雰囲気を醸し出しておしゃれで最高。

あくまのゴートさん、こんなのも作れちゃうんですね……。すごすぎです。

あくまらしい不気味で不思議で無責任な歌声がホンキートンク・ピアノに妙にマッチしていて最高です。

ウォーキング・ベースなウッド・ベースもめっちゃすこ。

異形の物が集まる夜の酒場、という感じの一曲です。

6. こだまのうた - 羽子田チカ

「モッツァレラ△トライ▽クッキング」の羽子田チカちゃんと宮橋さんのタッグによる楽曲。

どこかエスニックな、異国情緒漂う曲調。

それはパーカッションとアコーディオン、フラメンコ・ギターとカスタネットで作り上げられています。

チカちゃんの歌声、優しくてマイルドで美しくて、曲調に完全にマッチしています。ハモリも美しい。

ファンタジーなコンセプトを感じさせる歌詞の世界と、エキゾチックな曲調が、楽曲の一体感を作り上げています。とても良い……。

にしても、こんなクオリティ高い楽曲を作る宮橋さん、本当に何者なんだろ……?

メロディーのモードも中東のような雰囲気に与しています。スケールは詳しくないのですがたぶんリディアンとかミクソリディアンとかそういうやつです(無知)。

7. Don't Care - YACA IN DA HOUSE

ご存知、「twinkle night」や「IFIF」などのワニのヤカさんによる楽曲。

ヤカさんの書くリリックとフロウはスチャダラパーやtofubeatsさんを彷彿とさせます。

ヤカさん、ラップばかりに注目されがちですが(めちゃ上手いので当然ではある)、トラックの完成度も異常なんですよね。落ち着いたトラップ・ビートが耳に優しくてラップがよく映える。サンプリングの使い方もすごい。

あとフェードアウトで終わる曲大好きなのでそこも最高です。

8. Bardo - エルセとさめのぽき

エルぽき!!!

この曲はエルセちゃんには珍しい低音の歌声が楽しめます。低音も優しくてかわいい……。

曲調もちょっとワルめでかっこいい。エルぽき、こういうのもいけるんだ……。

リズムも落ち着いていて、聴き心地がたいへん良い一曲となっています。

ちなみにBardoとは仏教用語で中陰という意味。流転の中の、死から次の生までの幽体。

9. オメガフォース - ミソシタ

地下二階のレジスタンス、ミソシタさんのポエムコアな一曲。

こちらも輪廻転生がテーマで、曲順に意図を感じます。

リリックはさすがミソシタさん。負のエナジーを巧妙に韻を踏みながら燻らせています。かっこいい。

しかし、あまり語るのも野暮な気がするのでこの辺にしておきたいと思います。

MVではめちゃくちゃクオリティの高いステージが見られます。

10. 勇者のくせに - ぼっちぼろまる

きました、ぼっちぼろまるさん。

先日、フューチャリング・アルバム『BOTCHI BOX vol.1』をリリースされて、そちらも最高でした。

こちらは勇者の苦悩を描いた一曲となっていて、退廃的なロック・サウンドをぼろまるさんがエモく歌い上げています。

アコギがかっこよくて、ギターのクランチしたアルペジオもかっこよくて、まさにこの群雄割拠なアルバムの締め括りに相応しい一曲です。

わたしたちはみんな、人生というRPGを悩みながらそれでも生き抜く勇者なのかもしれません。

〇〇のくせに、と言われて、それでも自分らしさを探しながら冒険する、そんな人々を優しく励ますかのように寄り添う、そんな楽曲でした。

https://music.apple.com/jp/album/adventune/1505507108

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