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北海道のワインに恋をして

今回は編集をお手伝いした本が出版されたのでご紹介します。2023年1月26日に終了した「今や日本のワイン最高水準『北海道のワイン』を知り尽くす
荒井早百合の『北海道産ワイン本』出版プロジェクト」によって誕生した本です。詳細は下記をご覧ください。

荒井さんは北海道で日本各地のワイン、それぞれにまつわるストーリーを感じるワインを店主自ら歩いて集めた情報と共にお送りする「情報発信基地 ワインショップ veraizon」を経営されています。Zoomで一度お話しただけですが、とてもパワフルで明るくてかわいらしい方で、こちらも思わず笑顔になってしまうようなあったかい方です。

そんな荒井さんがクラファンで北海道のワイン本を作ることになり、編集を手伝ってほしいと、「海辺の出版社」のまきりかさんにお声がけいただいたのが今年の6月。取材内容がZoomの録画データで残っており、あまりに膨大なのでその文字起こしをお願いできないか、というご依頼でした。最近AIにドはまりしている私としては、どこまでAIが活用できるのか身をもって知りたかったのと、まきりかさんとお仕事できるなら、という気持ちもあってお引き受けすることにしました。

が、しかーし! 文字起こしの労力は半端ありませんでした。ちょうどwhisperが文字起こしの定番になり始め、様々なサービスが雨後の筍状態で乱立し始めた時期だったのですが、まだまだ精度が低いのと一度に受け入れられる容量が少なくて大苦戦(少なくとも万単位で文字を裁けないと使い物にならない…)。しかも今回のネタは精度をさらに下げる要素がてんこ盛りだったんです。ここを強調するのもどうかと思いますが、大変だった懐かしい思い出なので記念に書いておきます。

固有名詞を聞き取れない! AIが書き起こせない!

まず苦戦したのが北海道の地名です。名寄市、蘭越町、余市町、江部乙町…。北海道の地名なんてほとんど知らない私にとってAIが書き起こす呪文のような言葉と録画で聞こえてくる音はどっちも意味不明。また、ワイナリーの名前や人名、ブドウの品種やワインの名前も難関でした。清見、清舞、カベルネソーヴィニヨン、ツヴァイゲルトレーベ、10Rワイナリー、森臥、ver ara Rmix…こんな固有名詞がびしばしと出てくる対話をAIがきちんと文字起こしできるはずもなく。そもそも葡萄を武道と書いてくる程度の精度なのに、もう無理無理…。

結局各ワイナリーのサイトを穴のあくほど眺めて呪文の解読をして固有名詞を正しく直し、それからようやく読める文章に加工する、という作業になりました。それでも聞きながら全文を書き起こしするよりはましでした。全部で50社以上のワイナリーの紹介です。しかもしゃべっているときの情報量が半端ない。1社について1万字は当たり前の世界です。全部打ち続けたら間違いなく腱鞘炎でした(実際ぎりぎりのところまで行ってしまって、整体にしばらく通うことに)。

ちなみにAIは「えっと、あー、うーん」みたいな話に無関係な言葉は結構いい精度で取り除いてくれました。あと、文章の塊を見つけて改行するとか、見出しの案を何十個も出してくれる、みたいなことには結構役立ちました。
ただし、人間の話ってあちこち飛んでしまうことがあるのですが(例:ワイナリーAの話をしていたのに、突然ワイナリーBの話やワイナリー経営の話が混じってきて、またワイナリーAの話に戻る…など)、散らばった話を損ねずにそのまままとめる、という作業はAI苦手みたいでした。ChatGPTの特徴かわかりませんが、「話をまとめすぎる」傾向があり、今回の原稿のように話し手の話し方や話の運びをなるべくいじらないようにしながらも、読み手にわかりやすいように順番を入れ替える、みたいなことができないんですね。その辺はいくら指示しても破綻する一方でした。

もう少しAIが発達したら、文字起こしをする前に固有名詞の一覧をある程度辞書として入れておくとか、各ワイナリーサイトを検索させて間違っているところをAI自身で修正させるとか、話者の特徴を読み取って生かすことができるようになるのかなーと思います。そんな日がやってくることを楽しみにしたいですね。

というわけで、完成した本は読み返すたび文字起こしの苦労が思い出される、実に思い出深い一冊となりました笑。また北海道のワイナリー情報に詳しくなり、門外漢の世界を一から知る感動を得られたのも嬉しかったです。

北海道ワインは今まさに世界でも認められる実力があるおいしいワインになりました。ワイン好きの皆さんにぜひ読んでいただけたらと思います。
ネット販売も始まっているようなので、タイトルで検索すると数社出てきます。いくつかリンクしておきます。

#海辺の出版社 #荒井早百合 #まきりか  

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