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小さな体に突如できる恐怖「しこり」解説


はじめに

皮膚や皮下にできたかたまりを「しこり」と呼ぶことが多いですよね。しこりは分類により腫瘍や、別のかたまり(膿や分泌液)であるケースもあります。腫瘍であった場合も良性のものや悪性のものもあり、しこりとは言っても多岐に渡ります。
今回は自宅で気づきやすく、小型動物で特に多い皮膚や皮下にできた「しこり」に遭遇した際の対応やその後について解説します。
お腹の中等にできてしまう腫瘍などは別で解説できればと思います。

1 自宅で体に「しこり」を見つけた時どうするべきか

・まずは落ち着いて状況を整理しましょう
慌てて動物病院に電話をかける前に、まずは一度冷静になりどのようなしこりがあるかご自身の目で確認しましょう。
動物病院を受診する際にさまざまな質問(問診)を受けることになるかと思いますが、その際にある程度答えられるように準備が必要です。よく聞かれる質問は以下にリストアップしますので参考にしてください。

<よく聞かれる問診>
・本人の体調に変化はありますか?(体重、元気、食欲、排泄)
・どこにありますか?
・いつからありますか?
・最初に気づいたときはどのくらいの大きさですか?
・最初に気づいた時から受診までにどれくらい大きくなっていますか?
・見た目の色や形は変わっていますか?
・出血や分泌液などは見られましたか?
・本人が気にしている様子はありますか?(痛がっている様子はありますか?)

・状況整理後は動物病院へ!
十分に把握したら、可能な限り早期に動物病院を受診することをお勧めいたします。多くのしこり(一部例外を除く)は自然治癒することはなく維持または悪化する可能性があります。経過観察してもいいかどうかの判断は経験の積んだ獣医師にお任せした方が良いです。間違ってもご自身の判断で様子を見すぎて手遅れになってしまわないようにしてあげてください。腫瘍だった場合、小型哺乳類の進行スピードはとてもはやく時間との勝負になることもあります。
よくあるケースでは「いつからありますか?」の質問に対し、「2−3週間前からあります。どんどん大きくなってきたのできました」とおっしゃられることがあります。連れてくるタイミングが難しいのも理解できますが、この記事を読んだ方であれば、見つけた段階で電話で動物病院に相談するか受診を検討いただけると幸いです。
腫瘍なのか否か、様子を見てもいいのかすぐに治療開始した方がいいのかは担当の先生の指示をよく聞くようにしてください。

・放置したらどうなる?
万が一悪性腫瘍だった場合は1−2週間であっという間に大きくなってしまいます。ある一定の大きさまで大きくなると成長スピードは落ちますが、それはよくなっているわけではありません。水面下で周囲の組織に広がり続け、他の臓器に転移したり、腫瘍自体が自壊し出血や感染を起こしてしまうこともあります。

2 検査・治療方法は何がある?

検査は病院の設備によっても様々ですが、多くは身体検査・レントゲン検査・超音波検査・細胞診検査・病理組織検査などがあり、単一または複数組み合わせることで診断を進めていきます。
万が一、腫瘍だと診断された場合にどのような治療があるか紹介します。
治療方法は体の表面で摘出が可能な場所であれば基本的には外科的治療(手術)が第一選択になってきます。よく驚かれますが、体重40gのジャンガリアンハムスターでも経験を積んだ獣医師と適切な設備があればほぼ血を流すことなく手術することができます。
年齢、基礎疾患、腫瘍の種類、転移の有無によっては内科的治療(薬)による治療が行われることもあります。
手術の術式や治療費は病院によって大きく異なりますので、担当の先生に直接ご説明いただくことが最も確実です。体が小さい子達でもできる治療はたくさんありますので、決して諦めないであげてください。

3 自宅で気をつけるべきことは何か

しこりに関しては残念ながら未然に防ぐことは難しいです。その代わり初期に気づくことができる可能性も高いです。1の質問のリストを踏まえた上で、どれだけ日頃からスキンシップをとることが出来ているかが重要になります。
ハムスターであれば首元や脇の下、内股など外から見て気づきにくい場所によくできます。また年齢は1歳半以降にできやすい印象がありますが、若い子でも十分発生する可能性がありますので体の成長が止まったあとは十分に体をチェックしていく習慣ができると良いかと思います。

気づいた時にはすでに大きいしこりがあった、ということは決して珍しくありません。本人の性格も加味した上で、無理のない範囲で身体チェックをご自宅でおこなってあげてください。目視しにくい場所であれば指先で触ってあげるだけでも良いです。左右対称に触ってあげると特に変化に気付きやすいと言われています。(片側だけもり上がっている等)

また上記でも書きましたが、種類によっては進行スピードが恐ろしく早いものがあります。気づいた段階で可能な限り早く一度動物病院の受診をお勧めいたします。

4 過去の経験からお伝えしたいこと

腫瘍ができた場合に最終的にどのような治療を行なってあげるか決めるのはご家族の方々です。獣医師の説明を聞き、病気に対して十分に理解した上でどのような治療を選択するか決めてあげてください。獣医師の治療内容とご家族の希望が異なればセカンドオピニオン(他の病院を受診すること)も検討して良いと思います。
私が診察室でよく聞く言葉は「できるだけ辛い思いをさせたくない」「自然のままに」などがあります。それらの気持ちはとてもよく理解できます。ただ放置することと、方針(覚悟)を決めて向き合うこととは意味合いが変わってきます。このまま様子を見た場合にどうなる?、手術をしたらどれくらいのリスクがある?、再発の可能性は?、お薬だけでどうにかできないか等気になることは多々あると思いますので、それらを全て知った上で複数ある選択肢の中からその子とご家族にとってベストな選択肢を選んでいただければと思います。

5 治療や過ごし方の選択に困ったときは

かかりつけの先生の提案でどうしたらいいか悩んでいる、他の病院に行きづらい、他に行ける病院がないなど判断に困る状況があればいつでも公式LINEよりご相談ください。できる限り納得いただけるような説明をさせて頂ければと思います。
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