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たわわの花#木香薔薇

この花が満開になるのは
ちょうどぶかぶかの制服を着た
学生たちを見かけるころだ。

きっとついこの間まで
小学生だった子たち。

制服に着られているような
かばんに運ばれているような。
少し俯きながら家路を急いでいる。

親となった今は
本当によく目に入るようになった。
勝手に親心。

どうか無事に家まで帰ってね。
急に部活やらテストの成績やらを
気にしなければならなくなって。
環境の変化は大変だと思うけれど
楽しい学校生活送ってね。


私がこの花に出会ったのは
まだ上の子がよちよち歩きの頃。
近所をゆっくり散歩していると

たわわに実ったクリーム色の
小さな花が目に入るようになった。
慌ただしく働いて
自分のことばかりだった頃には
気づかなかった。

それは数メートルに渡って
家の生け垣に豪華に植えられており
それはそれは
たわわ。
という言葉がふさわしい花だった。
普通のバラよりも小さく
一つの花はおよそ2センチほど。
しかし花と葉の割合が6対4くらいで
花が勝っている印象だ。
沢山の花を背負って
重そうに枝がしなっている。
棘のない優しいバラ。


とても惹かれるけれど
なんという花だろう?
いつか育てたいな…と思いつつ
数年経過。

しかし去年の秋ごろ
ホームセンターで出会ってしまった。
それは直径3ミリほどの枝が3本
出ているだけの苗。
しかし説明のタグに
あの憧れの花の写真がついていたのだ。


気づいたら買ってしまっていた。

すぐに少し後悔した。
調べてみると植木鉢での栽培はあまり
向かないらしい。
生育旺盛で10メートルになることも…!
庭のない賃貸暮らし。

どうしよう。
しかしどうしても育ててみたい。
剪定をしっかり行えばしばらく鉢でも
大丈夫のようなので
とりあえずやってみる。
昔から楽しそうなことは後先考えず
やってみるたちなのだ。


寒風吹き荒れ
雪が何度も降った今年の冬の間
ずっと弱々しい枝が3本だけ。
これ花つくのか…
不安になりながらも
水やりを続けた。

そうしてようやく
日差しが暖かくなってきた3月半ば。
急に目が覚めたように成長を始めた。
初めは枝の先に小さな蕾?が伸びてきて
鮮やかな緑の葉が2枚ほど生えてきた。
嬉しいというよりも安堵。
良かった生きてた。

葉が出てきた


そうして葉が出てから
1ヶ月ほど過ぎた頃
一斉に花開いた。

わああ。
それは身に余るほどの感動。
たまに水をあげていただけなのに。
こんなに咲いてくれた。

サービス精神旺盛な花は
これでもかというほどの花数だった。
花は寒さに当てないと逆に花つきが
良くなかったりするらしい。
厳しい冬の寒さに耐えたからこそ
こんなに花ひらいたのだ。
そう思うとさらに
愛しくて愛着が湧く。

よく見ると一つの茎から沢山花が出ている


かなりの成長速度に
若干慄いているけれど
来年もぜひ会えるように
お世話をしていきたいと思う。

新しい季節。
それぞれの場所で
それぞれの壁を乗り越えていく
子どもたちを
見守ってあげていてほしい。
幾千の小さな白い花。
たわわの花。


木香薔薇(モッコウバラ)
科・属:バラ科バラ属
性質・分類:常緑低木、常緑性蔓バラ
原産地:中国
植え付け:10月~11月
開花時期:4月~5月用途:自生、街路樹、公園、盆栽、鉢植え等
花言葉:「幼いころの幸せな時間」
    「初恋」
    「あなたにふさわしい人」

GreenSnapより


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