選手起用について


本日は宣伝/告知からさせて頂きたいと思います。

我々チームのヘッドトレーナーである、加瀬剛さんが執筆された「勝つための最強体幹力メソッド」の紹介です。


強豪校に比べ選手の体格や人数で劣ることはコーチをする中で大きな課題となることが多いと思います。
僕もこのことについて長い間悩まされてきました。特にアメフトでは、身体の激しいぶつかり合いが試合中に何度もあるため、やはり体格が大きいことや選手層の厚さは武器になります。
僕らも日本一を目指しながらもなかなか壁を超えられなかった中、縁あって加瀬さんにヘッドトレーナーをして頂くことになり、トレーニング方法を最初から見直すことにしました。そこで取り入れさせてもらった「MUT」というトレーニングを継続することで、選手達の「パフォーマンスの向上」と「怪我の予防」の両方を実現し、今のチームの戦績に繋がっていることは間違いありません。よろしければ、是非お読みください。



さて、本日は主に試合における「選手起用」について書いていきたいと思います。
負けたら終わりのトーナメントであり、且つ、毎週のように試合を行う高校アメフトにおいて、勝ち続けていくためには、試合における選手起用がとても大切だと思っています。


シーズン中には当然疲労も溜まってきますし、予期せぬ怪我人が出ることもあります。また、シーズン本番での試合経験は普段の練習以上に選手の成長にも繋がります。そのため、長いシーズンを見据えた戦い方や、選手層を厚くするための選手起用なども重要な要素になってきます。


そして、最終的には試合に勝つために「どのメンバーで戦うのか」を選択しなければなりません。フィールドに立てる人数が決まっている分、出られないメンバーが当然出てきます。これまで一生懸命頑張ってきた姿を見ていますし、各選手それぞれ良い所を持っているのですが、スターティングメンバーを決める時には非情にならざるを得ません。幹部メンバーや各ポジションコーチと議論したり、意見交換はしますが、最終的には自分で責任を持って決めるようにしています。


・どんな結果になろうが後悔しないと思えるメンバー構成になっているか
・チームの力を発揮する上で全体最適となっているか
・選手のコンディションが良い状態か


・どんな結果になろうが後悔しないと思えるメンバー構成になっているか

 試合では勝つときもあれば、負けるときもあります。(当然、負けたくないし負けることは考えないですが)負けた時にも「このメンバーで負けたら仕方ない」と思えるかどうかを重要視しています。

チームは勝てば選手(メンバー)の成果であり、負ければコーチ(マネジメント層)の責任だと思っています。選手には伸び伸びと、そして真剣勝負を楽しんでプレーをしてもらいたいと思いますし、逆に戦略や戦術面に関しては私自身の責任で戦うようにしています。

だからこそ、マネジメント層はどんな結果になろうと「選手を讃え」「チームとしてやり切った」と思えるようなメンバー構成をすることが大切なのだと思います。

言い換えれば、チーム内の信頼度が高いメンバーを選ぶということかもしれません。


・チームの力を発揮する上で全体最適となっているか

 チームスポーツである以上、個々のパフォーマンス以上にチームが勝つことを最優先事項と考えます。

例えば、次の試合に向けての戦術を考えた時に最適なメンバー配置となっているか、対戦相手の強みや弱みを考えた時にチームにとって最大限の力を発揮できるメンバーとなっているかなどを考えています。

組織で活動していると「1+1=2」とならないことは良くあることだと思います。一方で「1+1」が、2にも3にも大きくなることもあります。

チーム内でのパフォーマンスを極大化できる配置×外的要因を考慮した上でパフォーマンスを最大化できる配置を考えた中で、チームにとって最も勝利に近づく選択肢を取れるよう心がけています。


・選手のコンディションが良い状態か

 みんな一生懸命試合に向けたコンディション調整はしていますが、どうしても体調が優れない時やスランプに陥る時が出てきます。一方で控えの選手でも物凄く調子が良い時もあったりするものです。

そんな時は、普段から活躍しているメンバーであってもスターティングメンバーから外す場合もあります。試合にて存分なパフォーマンスを発揮してもらうため、出場選手のコンディションが良いかどうかは大きく関わります。

そのため、チームに与える影響を考慮し最終的にスターティングメンバーを決めるようにしています。当然ながら、コンディションが悪くてもフィールドにいるだけで味方選手が盛り上がる、もしくは、相手チームに警戒されるような存在感の大きい選手は試合に起用し続けることもあります。また、メンバーができるだけコンディションの良い状態で試合に望めるよう配慮も必要だと思っています。

例えば、初めてのスターティングメンバーになる時は緊張で身体がガチガチ、という状況もよくある話です。そんな時は、試合開始早々にそのメンバーが身体を思いっ切り動かせるようなプレーを敢えて選択したりするのです。その1プレーで気持ちが吹っ切れて、期待以上のプレーをしてくれるようになったりすることがあり、コーチ冥利に尽きます。

試合中の采配やメンバーとのコミュニケーションをスムーズにするためにも日頃からメンバー個々人のコンディションをしっかり把握し、晴れ舞台で最高のパフォーマンスを発揮できる環境を創ることがコーチの大切な役割の一つだと思います。


ビジョナリーカンパニー2-飛躍の法則-を読んだことがある方も多いと思いますが、「誰をバスに乗せるのか」は企業にとっても本当に重要なことですし、僕もHR部門を担当していた頃は、採用の重要性をとても感じていました。また、適材適所/適所適材の最適配置によりチームの成果が大きく変わることを経験もしており、今でも常に慎重にメンバー選定をするようにしています。