ぜってえ許さない東京医科大#8/2

ただの「医学部やべえw」で済まさないでほしい。女であるだけで点数操作されて、医学部を諦めざるを得なかった女の子たちの気持ちを1秒だけでも考えてほしい。その結果を、その子たちは、「私の努力が届かなかったせいだ」と自分を責めているということも。

今回のニュースが私のいる業界的に激震が走ったのは言うまでもないのだけど、それより女として29年生きてきた私がそもそも激震している。

私が子どものころ、友達の輪の中心はぱっちり二重で髪がさらさらで少し小柄な子って相場は決まっていた。たぶん今もそうなんだろう。
そのどれにも当てはまらない私は子供のころから鏡を見ながら「なんで私はクラスのみんなとこんなに違うんだろう」って思っていた。足も遅い。口ばかり達者で優しくもない。いわゆる「かわいくない」女の子。

中学受験なんて学年で一人するかしないかの田舎の公立小学校じゃ、誰も塾なんて通っていなかったし唯一順位がつくのは徒競走くらいだった。私はなんとなく周りの子より作文ほめられるな、計算早いな、しょせん頭の出来なんて6年間それくらいの気づきしかなかった。それより圧倒的に見た目偏差値でヒエラルキーが決まる。でも子どもの私には世界ってそういうものか、くらいにしか思えなかった。

「リーダーは男の子がやるものだよ」「女の子がそこまでしなくても」そういうことにもやもやしたこともある。それでもみんなのお姉さんキャラ、お母さんキャラでなんとかのりきっていた。

そして中学校に入って最初の中間テストで、学年130人中2位だった。

「私の武器はこれだ。私はこれで勝てるんだ」そう確信した。
何ももたない私が手にした武器。まさに武器だった。ペン一本で今まで私を見下してきた人間全員倒す。もう私を馬鹿にさせない。成績優秀というカード、学歴というカード。まだ私にも得られるカードがあるんだと、13歳の私に雷が落ちた。

テストの結果は努力の結晶だ。睡眠時間を削り、遊ぶ時間を削って手にする1点なんだ。それだけは性別にも、出身地にも、何にも左右されない聖域なんだ。そう、思っていた。

私はこれから社会に出る、18歳の女の子たちに、頭を下げて謝りたい。

こんな社会でごめんね。まだまだこの世は平等じゃなくて、女であるだけで涙をのまなければいけないことがたくさんあるんだ。聖域なんてないんだよ。自分の努力だけでどうこうできることなんて、もうこの国にはないのかもしれない。

私たちはいつまでこんなことで頭を抱えて絶望しなければいけないんだろう。

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