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キュウレンジャー26話感想

物語に登場する闇堕ち。それは味方と戦わなければならないという辛い選択を迫られる場合が多い。普段は仲間であっても見せないような心の奥底にある強い感情、本音を曝け出す。それぞれの想いが激しくぶつかり合う様は、シリアスで胸熱で惹きつけられる。
つまり、自分の好きなコンビの片割れが作中で闇堕ちしたとなればもう大変である。シリアス展開の辛さ、闇堕ちしたビジュアルのかっこよさなど、様々な気持ちが込み上げてきてどうすればいいのか分からなくなる。


落ち込むナーガ

ナーガは前話の自分にとって思い入れの強い人物が現れる惑星トキの試練で、自分だけ誰も現れなかったことを引きずっていた。自分は感情がないのではないかと落ち込み気にしているのだろうか。ロボ戦中に上の空になってしまい、ナーガだけロボに乗るメンバーから外されてしまう。ナーガが戦闘に集中できないほど落ち込んでいるのは中々見ない。相当ショックだったのだろう。自分には感情がないから誰も現れなかったと突きつけられたような辛さがある
他のメンバーがロボで戦うのを見つめる表情からは辛さや切なさが現れている。キュウレンジャーは無事ロボ戦に勝利する。戦闘が終わった後に陽気な決めポーズをするテンビンボイジャーがかわいい。ボイジャーを操縦するテンビンゴールドが「よ〜し、かっこいいポーズ決めちゃお⭐︎」と思って操作しているのかなと思うとほっこりする。「俺は…みんなの足手纏いだ…」と呟くナーガ。戦闘中に迷惑をかけてしまったことがナーガの辛い気持ちに拍車をかけたような気がする。
そんなナーガを見かけたジャークマターのフクショーグン、アキャンバーはある作戦を思いつく。おそらく数百メートルくらい離れているナーガを見つけられるアキャンバー、視力が良い。

焦り、現れる誘惑

みんなで作戦会議をしている時もナーガは一人階段に座り、思い詰めていた。ガルやハミィに何かあったのか聞かれたナーガは立ち上がり、「ここに来て時間が経った…なのに俺は何も感情を手に入れられていない」と言う。話し方や表情からナーガの辛く切実で真剣な想いがひしひしと伝わってくる。ショウ司令は「悩んでイライラする…これも立派な感情の一つだよ」、バランスは「ナーガは少しずつ感情を勉強してるんだから大丈夫、ゆっくり行きまっしょい!」と、優しい言葉をかけるが、ナーガのモヤモヤとした気持ちは晴れない。感情を手に入れるのはナーガの悲願だからこそ、簡単に解決できないほど深刻に悩んでいるのだろう。中々願いを叶えられない不安や焦りで押しつぶされそうなほど辛いのかもしれない。

ジャークマターのショーグン、ドン・アルマゲの秘密を探るべくみんなで過去に行くための作業完了までにはまだ時間がかかる。その間気晴らしにバーベキューをすることになった。
ナーガはタイプスリップするための準備をするバランスを手伝うと提案する。このとき口角を上げて、辛さをあまり出さないよう気を配っている気がする。
バランスはナーガに気晴らしして欲しいため手伝ってもらうのを断った。断られたナーガの顔は寂しそうで、辛さが滲み出ている気がする。辛いからこそ相棒と二人きりで過ごす時間が欲しかったのだろうか。自分のそばに寄り添ってくれる人がいれば心が軽くなるかもしれない。バランスの気遣いがナーガにとって逆効果だったのが辛い。

バーベキューが始まった。大人数で和気藹々と楽しそうに盛り上がっているのが伝わってきて微笑ましい。真っ先に脚を組んで椅子に座るツルギの我が道を行く俺様感が良い。
バーベキューの最中もナーガは感情のことで思い詰める。気晴らしに集中できないくらい深刻に悩んでいる。
目の前で楽しそうにしている人達がいるからこそ、上手く笑えない自分との対比が辛さを増しているのだろう。
ナーガが暗い表情をしているのに気付いたスパーダとハミィが声を掛ける。ハミィはナーガの頬をむぎゅっとして笑顔を作り、「バランスにくっつきすぎ、だからダメなの、自分で考えて色々チャレンジしなさい」とアドバイスする。
そこにアキャンバーとツヨインダベー達が現れる。アキャンバーの楽しさが溢れている笑い声が素敵だなと思う。アキャンバーの術によって、居合わせた人々は感情を思いっきり曝け出して動くようになる。スパーダの「みんな感情的になっている」という言葉を聞き、ナーガは「感情的…」と呟く。ずっと欲しかったものが突然目の前に現れ、切実に欲しいと願う心情が見事に表現されていて惹きつけられる
アキャンバーはナーガと二人きりで戦うよう誘導し、「アナタの中にはすっごい感情が眠っている」と伝える。このときヘビツカイシルバーの胸元を指で撫でているのが印象的だ。アナタのここに感情が確かにあると伝えているような大人っぽい動きが良い。ナーガは「眠っている…俺にも感情があるということか…」と震えるような声で言う。あなたにも感情があると肯定されて嬉しいような。そして不意に現れた感情を手に入れるチャンスに目を輝かせて期待しているような気がする。アキャンバーは「アナタの感情…アキャ♪解放してみない?」と誘う。ナーガの「俺の…感情…」というセリフから迷いと期待が現れているように感じる。息遣いや顔を下に向ける動きなど、一つ一つの演技からナーガの真剣な想いがひしひしと伝わってくる。敵であるアキャンバーについて行けばどうなるか分からない。でも感情を手に入れられるかもという期待を抑えられない。そこにラッキーたちが助けに来る。「感情を解放して欲しかったら私の元においで」と、ナーガを釣るための餌を撒き終えたアキャンバーは去って行った。
ナーガが一文字一文字セリフを発する際の言い方、息遣い、アキャンバーについて行くかの迷いが現れている動きなど、全てにシリアスで切実な想いがギュッと込められている。これが人を惹きつける演技なのだと痛感する。

ナーガの葛藤

ナーガは橋の上で水面に映る自分を眺めていた。その顔はとても切なそうで、感情を解放したら自然と笑ったり怒ったりできるのだろうかと悩んでいるのだろうか。水面を見れば今の自分の表情を客観的に見ることができる。今の自分に感情があるのか現実を突きつけられるとも言えるかもしれない。
ナーガを心配して声を掛けたハミィに、彼は自分の一族のことを打ち明ける。ヘビツカイ座系の人々は元々激しい感情を持っていて、感情や個性を捨てることで平和を保ってきたという。ハミィは感情を解放するのは危ないからやめた方がいいと止める。ナーガは「それでも俺は…感情が欲しい」と切実な想いを打ち明ける。能力でナーガを止めようとするハミィの動きを止め、「ハミィは自分で考えろと言った」と告げる。「すまない…」と申し訳なさそうに呟き、アキャンバーの元へ向かってしまう。このとき能力発動中に力を込めることで相手を倒している。仲間に止められても絶対に譲れない強い想いが能力をパワーアップさせたのだろう。ハミィが良かれと思ってしたアドバイスが裏目に出てしまったのは辛すぎて胸を締め付ける。
ナーガは純粋な性格だと思う。そして感情を手に入れる願いをとても大切にしている。2話でバランスはお宝を手に入れるためラッキーを裏切った。それを見たナーガは「俺もバランスを裏切る」と言う。そしてラッキーに教わった「やりたいことは自分で決める、それを支え合うのが仲間ってもんだ」ということを思い出し、「やりたいことは自分で決める、ラッキーは俺の仲間だ!!」と言い放つ。ナーガの目からは強い意志を感じる。「ナーガが…怒った…」と驚くバランス。初めてナーガが怒りの感情を見せたのだろう。ナーガは仲間という言葉を知った時、大事なことを決めてくれる存在だと思った。おそらく今までバランスの言うことに合わせて過ごしてきたからだと思う。そんな彼が自らの意思でバランスを裏切った。自分の思いを大事にして凄まじい行動力を発揮するナーガだからこそ、アキャンバーの元に行くと決意したのだろう。

一方その頃、作業を進めていたバランスはみんな今頃バーベキューを楽しんでいると思っていた。そんなバランスに司令はあえて現状を伝えなかった。きっとバランスが知る前に解決できればいいなと思ったから言わなかったのかな。大切な人が敵について行こうとしているという辛い事実を知らせたくなかった。バランスを悲しませたくなかったのだろう。

キュウレンジャーはアキャンバーによって感情的になり暴れている人々を止めるチームと、ナーガを助けに行くチームの二手に分かれる。
小太郎たちはキュータマを駆使して感情的になった人々を止める。美容室で怒る人たちをカミノケキュータマでおしゃれな髪型に変えて怒りを鎮めたり、コトキュータマで音楽を流し悲しんでいる人たちと一緒にキュータマダンシングをして楽しい気分にさせたり、お店で暴れる人たちをオヒツジキュータマで眠らせたり。キュータマは戦闘用のものからサポートに使えるものまで効果が幅広い。使うまでどんな効果を発揮するか分からないからこそワクワクする。小太郎が使ったカミノケキュータマの能力で髪型を変えられてしまい、「おい」と冷静につっこむガルが好き。「キュータマダンシング!」をかけてみんなと踊るラプターの掛け声から楽しさが溢れていてかわいい。チャンプがオヒツジキュータマで人々を眠らせた時に「zzz」と眠っている時の擬音が表示されるのもいい。漫画などで登場する表現を実写でやるのは、異なる表現技法が組み合わさって新鮮で面白いと思う。

闇に堕ちる

森の中を彷徨うナーガの元にアキャンバーが現れた。森には霧が漂っていて怪しげな雰囲気だ。アキャンバーが杖を両手で後ろに構えたポーズがお茶目でかわいい。ナーガは俺の感情を解放してくれと頼む。少し溜めながらセリフを言うのが、ついに願いを叶えられるんだという嬉しさが溢れているように感じる。ナーガの表情からは、感情を解放したら自分はどうなるのか不安もあるように見える。
アキャンバーは了承し、感情を解放する術を発動する。ナーガの周りには笑ったり、泣いたり、怒ったりしている自分が現れる。そして様々な感情のナーガ達は無数の蛇へと変わりナーガの中へと消えていく。蛇は禍々しい紫色をしており、まるで闇に呑まれていくようだ。感情に呑み込まれていくようにも見える。アキャンバーの楽しそうな笑い声とナーガの辛そうに苦しむ声との対比が効いている。そしてナーガの中に消えていった蛇達が解き放たれるのだ。抑えきれない感情が溢れ出すように。アキャンバーが言っていた「ヘビツカイがヘビに使われる」というのを表しているのかもしれない。

ナーガを助けに来たラッキー達の前に現れたアキャンバーとナーガ。ナーガの顔はシリアスで切なそうという感じがする。ラッキーはナーガに戻ってきて欲しい、ナーガが元の自分でいられなくなる可能性があるため感情を解放するのを止めようとする。アキャンバーに「あら、アナタのお仲間は感情を取り戻して欲しくないみたいよ」と言われて、ナーガは「そんな…」と切ない表情を浮かべる。
ナーガのことを大切に思い心配しているからこそ、アキャンバーについていき感情を解放してもらうのを止めようとするラッキー達。みんなに自分が感情を取り戻してほしくないと思われていると勘違いしてしまうナーガ。気持ちのすれ違いが辛すぎる。みんなはナーガが感情を手に入れることそのものに反対しているのではない。無理矢理感情を解放することでナーガが危険に晒されるのを止めようとしている。ナーガを大切に思う気持ちが伝わっていないのが辛い。自分の本当に伝えたいことを相手に伝えるのはとても難しい。自分の伝えたいことがうまく伝わらず、違う意味で受け取られることはざらにある。うまく伝えられても相手の心に響くとは限らない。
ナーガが「そんな…感情を取り戻せばバランスは喜んでくれる」と言ったのは共に過ごす中で深めてきた強い絆や信頼関係があるからこそだろう。ナーガの顔は寂しそうで、感情を解放するのを今この場にいるキュウレンジャーの仲間全員に止められているのがとても辛そうだ。たとえ、ラッキー達に反対されてもバランスは一緒に喜んでくれるという確固たる自信。どんなときでも安心できる大切な心の拠り所とも言える存在かもしれない。この場にいないため、今バランスがナーガの気持ちに寄り添うことができないのがとても辛い。
ハミィもナーガを説得するが、ナーガに「ハミィは自分で考えろと言った」と言われてしまい、驚いた顔を見せる。自分のアドバイスが事の発端を担ってしまった責任感による辛さがあるのだろう。ナーガは説得を聞き入れず、「俺は感情を取り戻す、アキャンバーについていく!!」と心の底から叫ぶ。普段物静かなナーガが叫ぶのは珍しい。だからこそ叫んで言いたい切実な想いの強さが伝わってきて引き込まれる。

そしてアキャンバーの術によってナーガはダークナーガへと変貌を遂げる

黒を基調としたポンチョのような衣装はナーガを包み込む闇を表しているようだ。レースのような素材が使われていておしゃれだなと思う。そこに紫色のスカーフのような布がついている。黒と紫の組み合わせは最高にかっこいい。肩の大きな飾りなどにはナーガのイメージカラーのシルバー。キラキラと輝くメタリックな素材がかっこよさを増している。顔には黒い紋章。顔という目に入りやすい所にある紋章はキャラの印象に大きく関わる要素で、かっこいいなと思う。手には黒いアームカバー。なんとなく蛇の鱗を想起させるかっこいいデザインだ。そして蛇眼を光らせ蛇の舌をちらつかせる。全てがかっこよくて調和の取れたビジュアルが良すぎて目を奪われた。かっこよくて、美しくて、妖しげで、目が離せなくなるような魅力がある。
ナーガの変化に伴って変身アイテムも変わる。ダークセイザブラスターとダークキュータマだ。ベースカラーの黒と差し色の紫の組み合わせがかっこよすぎる。

アキャンバーに今の気分を聞かれたダークナーガは、「楽しいなぁ……楽しいなぁ!!」と答える。最初は呟くように言い、その後大きな声で叫ぶ。心から思わず漏れ出したような強い喜びというのが伝わってくる。笑い方も心の底から楽しんでいる感じだ。「はっきりと分かる…俺の中に感情がある」というセリフは、嬉しさのあまり声が震えている気がする。ついに願いが叶ったことが嬉しくて喜びを噛み締めているのだろう。「最高の気分だ…」とボソッと言うのも、嬉しさのあまり思わず漏れた本音という感じで最高だ。

そしてダークナーガはヘビツカイメタルに変身する。「ダークチェンジ」と言う時に、顔近くにブラスターを構えるのがかっこいい。蛇のようなくねくねとした妖しい動きが美しくて好きだ。紫色の蛇のようなエフェクトが舞いナーガの中に消えていくのは、アキャンバーの術で感情を解放した時と似ている。そして闇の中に大きな眼が浮かび上がり変身完了する。ヘビツカイメタルは顔部分の蛇の顔が赤くなり、暗い紫色のマフラーや蛇が描かれた腰マントを纏っている。胸元には不気味で大きなかっこいい眼。ヘビツカイシルバーのかっこよさを活かしながら闇要素が追加されたおしゃれなデザインだと思う。

ヘビツカイメタルは感情を解放するのを邪魔しようとしたラッキー達に敵意を向け攻撃してくる。
ホウオウソルジャーの「目を醒めせナーガ!」と言う説得に、「逆だ!俺は目が覚めたんだ!!」と返し、胸元の目からビームを出してみんなを攻撃するシーンはシリアスだが痛快だなと思う。ヘビツカイメタルの圧倒的な強さにシシレッドたちは中々太刀打ちできない。ヘビツカイメタルは「本当は俺のことバカにしてたんだろ!?」とラッキー達を憎んでいるような言葉を放つ。カメレオングリーンはそれを否定するが聞き入れてもらえない。ヘビツカイメタルが腰を落として鎌を構えるかっこいい姿勢をとる。シシレッドは間一髪ヘビツカイメタルの攻撃からカメレオングリーンを守る。しかし、すかさずヘビツカイメタルがマフラーでシシレッドを拘束し、鎌で攻撃。さらには他のメンバーにも強力な攻撃を放ち、窮地に追い込む。

アキャンバーはヘビツカイメタルに「行きましょう」と声を掛ける。彼はアキャンバーの肩に手を置き、「アキャンバーと一緒ならもっと感情を手に入れられそうだ」と言い去っていく。
相手の肩に手を置くのはバランスがナーガによくやっていることだ。自然と同じ動作をするくらい、強く影響を受けているということだろうか。
ナーガが感情を手に入れるために誰かについていくのも、2話の回想シーンでナーガが「俺のお宝は感情。泣いてみたい、怒ってみたい、バランスについて行けば間違いない」と言ったシーンを思い出す。ナーガがバランス以外の人について行き、怪盗BN団の二人がバラバラになってしまいそうなのが辛すぎて胸を締め付ける。

ラッキーたちはナーガを止めようとするも、ツヨインダベー達に行手を阻まれる。ツヨインダベー達を倒すが、ナーガ達の姿はもう見えなかった。仲間が闇堕ちし敵対関係になるという絶望の淵に立たされてしまった。ナーガがダークナーガに変貌するのも、自分達を恨み攻撃してくるのもはっきりと見ている。揺らがない辛い現実なのだ。

バランスに事の顛末が知らされた。そのことを知っても、最初はいつも通り明るく振る舞う。しかし、司令に「バランス、無理をするな」と言われ柵に腕を置いてうなだれる。普段明るく陽気なバランスが、後ろを向きみんなには見えにくいようにして落ち込んでいるのだ。しかし落ち込む素振りを見せるのはものの数秒である。大切な片割れと敵対関係になってしまったのは相当ショックな出来事だと思う。しばらく落ち込んだとしても仕方ないことだ。そのような状況でもすぐに次の行動に切り替える潔い姿勢がかっこいいなと思う。バランスはみんなの方に向き直し、お願いをする。「じゃあ、一つだけわがままを言ってもいい?…過去に行かなくてもいいかな?」上司にわがままを承知でお願いをしているのだ。自分で片割れを取り戻したいという強い意志の現れ相棒を大切に思う気持ちがかっこよすぎる。司令から了承をもらい、ラッキー、ハミィ、ガル、小太郎、バランスはナーガを救うため現代に残り、残りのメンバーはオリオン号で過去へ旅立つことになった。

感情を手に入れるということ

怪盗BN団メインのシリアスエピソード第一弾とも言える回。自分には感情がないのではないかと悩むナーガの辛さ、アキャンバーの誘いに乗るか葛藤する様、仲間との想いのすれ違いなどが丁寧に描かれている。ナーガの一つ一つの言動から、未だ感情を手に入れられていないという切実で辛い気持ちがひしひしと伝わってきて、胸が締め付けられる。
感情を手に入れるという願いが叶ったかは自分の判断によって決まるだろう。心の底から笑ったり怒ったりしたとき、悲しさや嬉しさなど感情の高まりによって自然と涙が出てきたときなど、感情があるか決めるのは自分自身だ。自分で感情があると思えば願いが叶ったことになるし、感情がないと思い続ければ願いは叶わないままになる。
自分が心の底から満足して願いが叶ったと実感するのは中々難しい。
これ以上感情を手に入れることはできない明確な限界地点はおそらくない。だからこそ、もっと感情を手に入れたいという向上心が生まれ、努力し続ける。それはやりがいがあるが大変なことだ。

感情は自分で把握できている時もあれば、人から言われて初めて自分の気持ちに気付くこともある。司令やバランスが言っていた通り、周りから見ればナーガは少しずつ感情を身に付けているのだろう。しかし本人は実感があまりないのかもしれない。自分の成長は例えばリフティングを5回多くできたなど明確な指標があれば分かりやすいが、そうでなければ中々実感するのが難しいなと思う。他の感情豊かな人達のすごさばかりについ目がいってしまい、「みんなすごい、自分ももっと感情を手に入れなければ」と焦りが生まれる。そうすると、自分が今まで感情を学び成長してきた頑張りが見えなくなってくる。そのような状況で自分だけ惑星トキの試練で誰も現れなかった。辛い出来事に直面して、足場が崩れ去って落ちていくような絶望感に飲み込まれた。だからこそ、自分には感情がないのではないかと感じて思い詰めてしまったのだろうか。

ダークナーガの魅力

ダークナーガがとてもかっこいい。普段のナーガとのギャップが最高だ。
ダークナーガはとても生き生きとしていて、心の底から戦うことを楽しんでいるように見える。普段のナーガとは一味違う、同一人物だがまるで別人のような大きなギャップがある。ギャップの振り幅が大きいほどキャラ造形の深みが増し、このキャラにはこういう一面もあるんだなという新たな発見や普段見せない言動がさらに魅力的に輝いて見え、より惹きつけられる気がする。

ダークナーガが醸し出すかっこいい雰囲気も大好きだ。見ただけで普段のナーガとは違うと思わせる大人っぽい妖しさ。雰囲気は話し方、姿勢、表情など複合的な要素が合わさることで初めて相手に伝わる。つまり自分が目指す雰囲気を見ている人に伝わるよう表現するのはとても難しい。だからこそ、人を惹きつける魅力的な雰囲気を出せるナーガ役山崎さんの表現力が本当に凄い。

ヘビツカイメタルの名乗りも、ヘビツカイシルバーとは違う魅力がある。「ヘビツカイメタル」と溜めながらゆっくりと名乗るのが、新たな力を手に入れた嬉しさが滲み出ている気がする。名乗る時に口元を撫でるのが好きだ。口は顔の中で特に感情が現れやすい部位だと思う。口角を上げて笑ったり、悔しさに唇を噛んだり。感情を表す言葉を紡ぎ口に出すこともできる。大切な部位だからこそ撫でたくなるのだろうか。

演技の凄さ

今回は特にナーガ役 山崎さんのナーガの機敏な心情を見事に表す絶妙な演技が本当に良かった。俳優さんはこんなにも気持ちを表情やセリフの言い方で表現できるのだと心が震えた。
演技でキャラの気持ちを表現するのは本当に難しい。私も昔学芸会でお芝居したことがあるが、その大変さを痛感した。まずセリフを覚えてそれを言うだけでも大変である。さらに、キャラの気持ちを深く理解して、その気持ちを見ている人に伝わるように表現するのは至難の業だ。人の心を揺さぶるような見事な演技をするためには、魂を込めてキャラになりきる必要がある。それは想像を絶するような努力を要するのではないかと思う。
そして山崎さんのアフレコも上手すぎると改めて感じた。自然に演技するのも、声だけでキャラの気持ちを的確に表す演技をするのも本当に難しいことだと思う。素面での演技とアフレコ、両方こなし人を惹きつける演技をされる俳優の方の凄さを改めて痛感した。 

惑星トキの試練とナーガ

26話の発端となった惑星トキの試練。なぜナーガのときだけ誰も現れなかったのか。
自分の妄想・考察だが、ナーガが無意識のうちに思い入れのある人物を一人に絞れなかったのかなと思う。
ナーガにとって大切な人。相棒として絆を深めてきたバランスは言わずもがなだが、キュウレンジャーの仲間達もナーガにとって大切な人だ。共に過ごす中で生まれた思い出は決して消えないかけがえのないもの。一人一人にそれぞれ思い出がある。どれも大切な思い出、みんな大切だからこそ一番は決められないのかもしれない。

この話の続きが描かれる28話のサブタイトルは「怪盗BN団、解散…」だ。このサブタイトルを見た瞬間、あまりにも辛すぎて胸が張り裂けそうになった。ナーガが闇堕ちするまでBN団が解散しそうになるとは夢にも思わなかった。このサブタイトルだけでシリアスさが溢れている。
サムネではバランスがブランコ横の鉄柱に腕を置いて落ち込んでいるように見える。一体どのような展開になるのかハラハラする。ダークナーガがバランスと会ったらどのような反応をするのか、バランス達がナーガを取り戻すためどう行動するのか、どれも気になって目が離せない。

おまけ

アナログで描いたダークナーガ。
嬉しそうな表情がいい感じに描けて
気に入っている。


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