癒えない傷

彼女の死を感じた日から、4年9ヶ月。
ガンと闘いながら働く彼女を横で見てきた。
私は子どもの体調不良で休んだり、時短勤務だったりで、彼女を充分に支えることが難しかった。

5ヶ月前の10月末、彼女の治療は打つ手がなくなり、彼女はついに休職した。
緩和ケアに入った彼女は、痩せて、体を動かすのも辛そうだった。

最後まで、痛みと闘いながら仕事をした彼女の思いを引き継いで、彼女の残した仕事を終わらせた3月。
彼女は逝ってしまった。

こうなると、ずっと予感していた。
分かっていて、毎日、私も必死にがんばった。
同僚の仲間も、みんな、同じ思いだった。

今も彼女の面影が、私たちそれぞれに見せてくれた姿が鮮やかに残っている。
懐かしむには、まだ早すぎる。
悲しみを受け止める時間。
昔は喪に服する期間があったけれど、現代は、そのための社会的な時間はない。
今、この文章を打ちながら、彼女を見送る痛みを自分の心に刻んでおきたい。

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