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推しに会った話

皆さんに推しはいるだろうか?
アイドルや歌手、二次元などなど様々な推す対象がいる中、私の推しは映画俳優である。
アクアマンの役で有名なジェイソン・モモア、彼こそが私の推しの1人だ。

先日大阪某所。大阪コミコンが開催された。
1ヶ月前の4月頭に突然決定したジェイソン・モモアの来日。私は狂喜乱舞した。
あのジェイソン・モモアに会える?!サインが貰える?!ましてやツーショットが撮れる?!?!?
そう、コミコンというものはお金を払えば推しと写真を撮ったりサインを眼の前で書いてもらえたりするのだ。
私は迷わずに両方のチケットを購入した。いや、本当は値段を考えてサインを買うか少し迷ったが、夫の後押しもあり購入した。
お酒が大好きな私。推しに会うまでダイエットも兼ねて禁酒をした。無事に1ヶ月間禁酒に成功した。
前日までスキンケアを入念にし、ハンドメイドが得意な友人にトライデントのピアスを作成してもらい、着て行く服をウキウキで選び、とうとう迎えた当日。

購入したチケットはサイン11:30、撮影13:30
撮影で撮ったツーショットにサインをもらうことも考えたが、突然推しと対面し、おそらくハグをするのは心臓が保たないと思い、サインを先にした。一度机1つ挟んでお目にかかり、耐性を付けよう。
1時間前から待機列に並んだ。この1時間は生きた心地がしなかった。果たして推しを目の前にして冷静でいられるのか。私の心臓は止まらないだろうか。
徐々に徐々に推しへと向けて進んでいく列。
このパーテーションの向こうに夢にまで見た推しがいるのかと思うと、鼓動が止まらなかった。
いよいよサインを書くための場が整え始められた。そして……

合掌。

私の推しは実在した。193㎝、筋骨隆々の大男が用意された席へと着席する。
デカい。想像してたより遥かにデカい。そしてめちゃくちゃかっこいい。
次々にサインを書いていく推し。
遂に私の番だ。
ハローと声をかけ、静かに推しがサインを書いてくれるのを見守る。あれを伝えよう、これを伝えようと色々考えていたが無理だった。顔を見るのに必死だった。かっこよすぎる……。
常にハイテンションで粗雑なイメージがある推しだが、思った以上に丁寧にゆっくりとサインを書いてくれた。
書き終えて渡されるサイン。頭の中は"かっこいい""好き"でいっぱいだったが、なんとかせんきゅーと口にできた。渡しながらThank you.と言ってくれる推し。私が渡したグッズに感想も言ってくれたが、もはや私の口から出てくる言葉はあいらぶゆーだけである。
そうして放心状態のまま推しとの初対面は終わった。

だがしかし、まだ写真撮影が残っている。
次は二人の間を隔てるものが何も無い。正真正銘生の推しに触れるのだ。机1つ隔てた距離だけでも死にそうだったのに、これはツーショットなんて無理だと本気で思った。
撮影の待機時間まで30分ほどある。友人と合流し、推しと初対面した興奮を一通り捲し立て、そうこうしてるうちに30分が過ぎた。
いざ決戦の刻。
撮影の待機列に一緒に並ぶ知人と合流した。
興奮を分かち合える人がいるだけで緊張も半減し、大分心が楽になる。
二人でやばいやばいといい続け、メイク直しをし、ブレスケアをして準備万端。
撮影ブース前で待機していると、まだ始まっていないのに自身の携帯を持って突然現れる推し。
心の準備ができてない。やめてくれ。死んでしまう。
ファンの様子をうぇーーいと言いながら動画に収めると、ブースに戻っていった。きっとあの動画にはしっかりと私の姿も映っていた。イコール、推しの携帯の中に私の居場所が出来た。もう思い残すことはない。

そうして思った以上に早い回転率で進む写真撮影。
覚悟を決めるにはあと5時間ぐらい必要なのに、私の番はもう目と鼻の先。
そして持ち物を全て置き、身一つで撮影ブースに入る。
推しがファンと写真を撮ってる!!!!!ファンを抱きかかえ、アロハポーズをしてる!!!!!!しんどい!無理!!!!かっこいい!!!!!
1人大体10秒ほどで次々と進んでいく撮影。
次は私が推しの隣に立つ。
スタッフさんが
はい、深呼吸して〜。落ち着いて〜。笑顔ですよ〜。
と声をかけてくれる。ありがたい。
はい、行ってらっしゃい!
スタッフさんの掛け声と共に推しに向けて歩きだす私。時間はないから腕を拡げながら近づく。
ハグ、オーケー?
次の瞬間にはあの太い腕で、ぎゅっと抱き寄せられていた。私は夢を見てるのか?
推しの手が私の肩に??
恐る恐る片手でハートの形を作ってみる。すぐに気付いた推しが私に合わせてハートを完成させてくれる。
次の瞬間シャッターがきられていた。
Thanks you.イケボが頭の上から降ってくる。
せんきゅー!あいらぶゆーー!!
そう言い捨てて私はブースの外に出る。

推しに触れた。推しに抱きしめられた。推しの手に触れた!!頭の中では今の10秒を何度もリピートしていた。印刷された写真を受け取り、自分のニヤケ顔に笑ってしまった。なんとも幸せそうな顔である。

以上が30年生きてきて、初めて推しという存在に触れた話である。
未だに余韻から抜け出せない。推しは人生を豊かにすることを改めて実感した一日だった。また推しに会うために働こう。稼ごう。


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