95番 おほけなく うき世の民に おほふかな わが立つそまに 墨染の袖
訳:身の程もわきまえないことだが、このつらい浮世を生きる民たちをおおってあげようか。この比叡の山に住みはじめたばかりの私のこの墨染めの袖で。
決まり字「おおけ」
幼い頃百人一首の漫画を繰り返し何度も読んでいたはずなのに、この句の訳をちゃんと理解したのは今日が初めてかもしれない。
あまり意識していなかったけれど、子どもの頃のわたしの興味を引いていたのは華やかな恋の歌や、同姓である女性の詠む歌だったんだなぁと思い起こしたりして。
それはそうとして、、
この歌の話に戻りますが、歌の意味をあらためて知り、なんと志の高い僧なんだろうと思って調べてみたら、20代の若い頃に詠まれたものだそう。
(まだ歌の言葉自体の意味しか汲み取れないので、ある程度年齢の重ねた僧が詠んだのかと思った。)
若い頃の理想を謙虚さとともに表現されているとのこと。
調べていて、現代語訳によって伝わり方が少し変わってしまうような気もしたのだけれど、使命感のようなものが詠まれたことはやっぱり伝わる。
そういうの、すごく好きだ。
子どもの頃あまり惹かれなかったものに、今はとてもぐっとくる。
”墨染”に”住み初め”の掛詞も良い。
また好きな歌が増えたなー。
100首ちゃんと学び直したら、違う歌集ももっと読みやすくなっているだろうか。たのしみ。
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