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夜中の図書館の返却ボックスってめちゃくちゃこわい

・3月の日記
 劇団のメンバーである木幡さんが地元に帰ることになった。結婚されてとてもおめでたい理由なのでわたしもうれしい。地元が遠い場所だから演劇もやめてしまうのかと思ったけど、劇団は所属し続けるらしい。
 最近は心なしか劇団のツイキャスへの出演頻度が上がったようなきがする。配信の終わり際ちょっと寂しそうにしていて、この前の藤木との配信の時もずっと話し続けるのでなかなか配信が終わらなかった。
 藤木がそれについて触れたら実際に寂しいらしく、「俺から切れないから先切ってよ」と切ってもらっていて、10代のカップルの長電話みたいでちょうど気持ち悪かった。
 木幡さんは大学のサークルの先輩だったんだけどサークルの中では団長で厳しい人だった。卒団してからはいつのまにか牙が抜けたようになったけど、当時はよく怒られた記憶がある。
 19歳の時に出会ってなんだかんだ10年以上、人生の三分の一は割と高い頻度で会っていることになる。この歳になると大体の知り合いとこのくらいの長さの付き合いになるんだろうけど、仲良しの子でも一年に一回も会わなかったりするので(最近は特に)劇団員って濃いつながりだな~と思う。

 東京最後の日は、アナログスイッチの旗揚げ公演から参加しているれいねさんちに集まって、お別れ会をした。お別れムービーをアナログスイッチの主宰の佐藤さんが作ったんだけど、今生の別れかってくらいの壮大な映像で、木幡さんが劇団に所属し続けるということを一瞬忘れそうになった。
 お世話になった人のインタビューもあり、結婚式さながらのボリュームだった。ちなみにこの映像を作る為に佐藤さんは4時間くらい遅刻していた。元も子もなくない?
 昼から集まったんだけど、結局次の日の朝まで飲むことになった。朝まで残ったメンバーは偶然大学のサークルからのメンツばかりでサークルの春合宿のような空気感だった。
 私は20歳までお酒を飲まないようにしていたので飲み会の雰囲気は苦手で、さらに夜にも弱くて合宿でも毎回速攻寝ていたんだけど、この日も割とすぐ寝てしまった。
 でも、この人が騒いでいる隣で寝るのって幼児返りした感覚になる。子どもの頃大人たちが飲んでる隣で寝たのを思い出すというか…。朝起きると宴会が終わってて寂しい気持ちになるんだよな〜
 隣でみんなが騒いだり、まじめな話をしているのを聞きながら寝たりおきたりしていると、私の上着を着た渡辺さんがハイテンションでコンビニ行くよと起こしてきたりして、大学時代のだらだらしたかんじを思い出した。
 次の日は予定があったので朝早くおきたら木幡さんも起きてきて、別れがたそうに部屋をうろうろしていた。木幡さんはまだ家を出る時間じゃないし、見送ってくれるのかな~と思い、話しながら準備をしていたら、そろそろ家を出るぞというタイミングで唐突にトイレに行ってしまった。
 今行く?!と思ったけど電車の時間がギリギリだったので、トイレのドアに向かって「帰るね、元気でね!!」と言うと「うん」と返ってきた。最後の木幡さんとの会話はトイレのドア越しだった。わざわざ起きてくれたわけだし、ドラマでよくみるような別れのシーンをちょっと期待したけど最後はトイレのドアだった。
 明け方まで別れを惜しんで飲んでも、実際の別れ際は意外とこんな風に情緒のないドタバタになるものだな~

 大学のサークルはいろいろあって一年半で辞めたけど、同期も先輩も(すぐやめたので後輩との接点がほぼない)みんな優しくていい人だったし、何度もいろんなところで言っているけど私の絵を面白がってくれた最初の場所だった。
 いろんな人がいたからみんなが私の絵が好きだったわけじゃないけど、みんな否定せず面白がってくれることがうれしかったし、当時の絵は今よりもかなりアングラだったのでそれでも肯定してくれる場があったことは貴重だったな。
 美大でもないのに絵を始めることは不自然だったし高校でも弓道部に所属して、中学の美術部は途中でやめてしまって、なんとなく自分が創作していいと思えず、罪悪感を感じていたのでうしろめたさを排除できたのが大きい。絵の勉強してなくても、下手でも、絵を描くのを許されたような気がした。
 今思うとそれまでネタとして自分の絵を出すことで本気で向き合うことと避けていたのかもしれない。「画伯」みたいなネタとして笑いを取るのは楽だったし、でもそこをちゃんと本気で向き合ってくれて、公演のチラシに使おうよと言ってくれたり、小道具に絵を描いてよと言ってもらえたり‥求められて作るという経験が出来たのが自信につながったんだと思う。
 今年の春はいろんな別れとダブってとても季節を感じた。
 サークル時代のみんなに会いたいな~というか中学の友達も高校の友達も今だったらもっとうまく仲良くなれるのに、とめちゃくちゃ思うわ。そんなことないんだろうけど。。

例の映像
今年結局花見しなかったな
学童保育のような雰囲気
この中に木幡さんがいる

・5月の日記

 無事に個展が終わった!今回初めて来てくれた方が多いように感じた。東京駅の構内で人通りの多い場所だったので偶然通りすがりで見て、立ち止まってくれた方もきっと多いと思う。嬉しい。
 これから少しずつ活動を広げていきたい。最近は昔から応援してくれている方が私と同じように活動の広がりを喜んでくれて、それがなによりもうれしい。
 親や恋人や友達でも一緒に同じように喜んでくれることってあんまりないと思う。応援してくれている人と作家の関係って唯一無二だなと思う。
 映画「ジュディ」でいつも来てくれるファンの二人に精神を支えられるみたいなシーンがだったんだけどこの気持ちが本当によくわかる。
 不特定多数の誰かに刺さろうと思っているとどこにも刺さらないものが出来上がるので、やっぱり思い浮かぶ人や自分自身の為に頑張っていきたいなと思う。
 テレビの効果は大きくて、今回イワクラと吉住から知ってきてくださった方ともお話しできて楽しかった。
 私はすごく掘るタイプで、このテレビの美術かわいいなとかこのMVに出てくるイラスト誰だろうとか、エキストラでもこの人なんていう人なんだろうとか、気になったらエンドロールから名前を探してそれらしいものを検索して追ったりするんだけど、 今回同じように調べて私に行きついて展示まで来てくれたことが本当にうれしい。
 きてくれる方は性質が似てる気がする。具体的に好きなものが違くても趣味の掘り方が近い気がして話していて楽しい。学生時代こんな風に近いタイプの人と出会えたら絶対楽しかったな。
 これからもこういう風な活動をつづけながらもっと納得のいくものを納得のいくクオリティで作っていきたいです。
 本当に今回きてくださった皆様ありがとうございました!
 前回のブログで、一月の個展について後で振り返ると書いてあったのに全く振り返ってないので今回の振り返りもかなり先になりそう…できないことは言うべきじゃないね…

グッズコーナーの一部の様子
会期の中盤あたりの様子
在廊日気合い入れてかわいい服を着たぞ
ちょっとの間の在廊だったのですが本当に元気もらった!
私のキャラをネイルに…うれしい
搬入直後の様子


最終日の様子


これより下、読んだ本だよ~

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・太宰治全集2
 こりゃ面白いわ‥と思ったのは大体単行本になっている。太宰、特に好きだったわけじゃないし、少し離れているとむしろ苦手になるくらいなのに全集読み進めていくと好きとか嫌いとか抜きに愛しく感じてくるな。人としてのかわいげがあるって本当に得だなと思う。

・母を訪ねて三千里
 意外と読んだことないので読んでみようと思った本の1つ。昔は生き別れとか本当にあったんだろうな。ロミオとジュリエットとかもそうだけど電話やネットがないからこそのすれ違いが発生する物語、好きだけど全く体感的に分からない。。分からないのが残念・・

・オズの魔法使い
 映画は小さいころから何度も読んだけど原作は初めて読んだ。アメリカのファンタジーらしい、珍しい。展開の軽さや突飛さもなんだかうなずけた。ブリキの男の設定が怖くてこれそのまま映像化した作品そのうちギレルモデルトロとかに制作して欲しいと思った。(最近読んだピノッキオの冒険、絶対ティムバートンとか映像化したいやつじゃん~と思ったらデルトロが作っていると知ったので・・)

・そしてバトンは渡された
 よかった。小中学生の子供がいたら課題図書に渡したい。

・スター
 こうなるだろうなーと期待させてから全く違うオチ。朝井リョウと思ってもっと穿った目で読むんだった・・

・春のこわいもの
 コロナが出てくる世界線の小説を初めて読んだので新鮮だった。整形の話怖かった、知らない時は気にせずいられたのに知ってからはもう知る前に戻れないことってあるよね。てか、みんなこんな顔面の解像度の高い世界で生きてるの?生きづらすぎる。


・きみはあかちゃん(4/10)※読んだ日をここから記録していきます。
 私はどうしても川上未映子が好きなので、、客観的な感想が書けない。
 妊娠して焦る夢を妊娠してからみなくなったが、いつかそれを見てしまうのではないかとおびえていたという話はすごく共感したし、こどもの頭の形を少しずつ回転させる話なんかは私の母が私にやってくれたことと全く同じで勝手に親近感を感じた。
 好きだなとおもうところが多すぎて羅列するだけの感想になってしまいそうなのでここらへんにしておこうと思う。個人的にはあとがきが二つあるんだけど、(単行本化したときと 文庫化されたとき)過去の発言に関しての訂正や、現在の気持ちなど丁寧に書かれていて、この心遣いが本当に素敵、と惚れ惚れした。思考停止しちゃいかんな何事も・・

・白夜(4/14)
 ドストエフスキーって本当に精神的にMというか、、悲観するべきところで興奮しているから普通の小説と違って明るく読めてしまうというか、狂気じみてて逆に面白いんだろうな。白夜は特に明るくて、人としてのぐずぐずっぷりも全肯定しているあたりやっぱ最高だなとおもった。思っていた終わり方と違く読後感さわやか。ドストエフスキー一冊目にはおすすめしない。

・包帯クラブ(4/17)
 高校生の一番この作品の適齢期に読んだのにこの本から何にも学べなかったな~~~~~~~~と反省。高校生の時たくさん本を読んだ気でいたけど、冊数じゃないなと改めて感じる。
 自分の基準だけで生きていると、知らない内に誰かを傷つけていることや、傷を周囲の人間と共有することで楽になること、共有するのに時間がかかる傷は無理して開示しなくてもいいことなんか、この30年近い人生でようやく会得したのにちゃんと、こんな、健全な文章で教えてくれていたんだな…中高生に絶対読んで欲しい。

・アルプスの少女ハイジ(4/24)
 昔の名作を読むと良く思うけど結構戦争色が強かった。これも意外と知らないなーと思って読んでみたうちの一冊。アニメは何度も見ていたけど原作は初めて読んだ。
 出来ない、と思い込んでいると本当にできなくなる、というピーターが文字を覚えられないときの話の教訓がよかった。あと、個人的に謎だったアルムのおじさんの過去がかなり壮絶で、それについてさらっとしか描かれていないしその後の言及は一切なく、心情も描かれていないところなんかとても大人向けに感じた。これはもうフェチに近いけど、「魔女の宅急便」でトンボがキキからおそのさんの手紙を受け取って読むシーンが大好きなんだけど、それにそっくりなシーンがあって感動した。元ネタだったりするのかな。偶然の一致かな?
 戦争って、これまではその最中の大変さばかりに目がいっていたけど、最近はそれによるその後の人生、精神的肉体的な後遺症もとても深刻なんだと思った。心の傷って見えない分深いだろうし。
 これはアニメでもあったけどハイジがアルムの森が恋しくて何にも食べられなくなってしまうところなんかは見ていて切なかったな。普段陽気にしているキャラクター達みんなちょっと闇があって、作者の半生を少し調べたけどそれも反映されているんだろうなと個人的に興味深かった。

・地下室からの手紙(4/29 )
 おもしろすぎる・・・・・・・・・・・・太宰がある短編で、「まだ若いからかカラマーゾフの兄弟のような作品が書けない、いつか将来書けるようになるのだろうか、」というようなことを書いていたけど(雑引用)かなり影響を受けているように感じた。
 主人公の垂れ流しの思想は下衆さを超えてむしろすがすがしいというか、かわいそうで笑えて来る。基本的にクズの話ってイライラすることが多いんだけどドストエフスキーの描くクズは極端で面白いから見ていられる。陰キャはみんな共感するんだろうな。よかった。

・蝶々の纏足 風葬の教室(5/1)
 山田詠美初めて読んだんだけど面白い。。教室のみんなを「風葬」することにした主人公がたくましい。きっと大人になったら心を通じ合わせることの出来る人との出会いもあるんだろうな。二作とも主人公の精神的な地盤がしっかりしている感じがした。10代の時に読みたかった本だな。

・白痴1(5/14)
 主人公はアリョーシャ的なキャラなのかな?と期待して居たらちょっと違った。
 違ったけどこれはこれで面白い。すごい理想的な人間で今のところ大好きだな。まだ一巻目なので伏線的な描写も多くて分からないけど、最後のお金のシーンなんか最高だった。最高の美女を描いたと言われているけど、どういう意味か気になる。

・選んだ孤独は良い孤独(5/17)
 男性の具体的な生きずらさを描いていて、男女どちらも大変な時代だよな~と思った。これを女性が書いているのがすごいなあと思う。

・心の中に毒をもて(5/24)
 岡本太郎の生い立ちが気になって発言が頭に入ってこなかった。家庭環境やばすぎでは

・「愛」という名の優しい暴力(5/26)
 岡本太郎の流れでACについて調べたくて読んだ。自分の家族を客観視することはできない、というのすごくよくわかる。普通なんてないよな~

・表現の技術(5/28)
 一回ちゃんとお話を書きたくて読んだ。こういうハウツー本っぽいのは一切読まないで生きてきたんだけどそろそろ読んでも変な影響は受けないだろうと思って・・
 実際参考になる内容だった。テーマは普遍的かつ自分の思いを凝縮させたものにする。というのすごいわかる。あと、上手なプレゼン力を身に着けるより本当に面白い企画を考えられればプレゼンがうまくなくても面白さは伝わる。というかなり感情というか、作家の想いに寄り添った内容だった。私は喋るの苦手だから、プレゼン力磨く方法は恐らくむずいのでアイデアを煮詰める努力をしていきたいと思う。

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