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【考察まとめ】LiquidやBakktで採用される"T+1"という取引方法の謎を追え!

始まりは、テレグラム内のQASH(Liquid)のコミュニティ内での、あるユーザーのコメントでした…。

ダイレクトマーケットアクセス(DMA)、t+1、プライムブローカレッジはいつ利用可能になるのか?これらの提供に関する仕事は銀行や資産管理パートナーとの間のものか、それとも殆どは開発業務なのか?
→「DMAはプランにあるが、ローンチ時には提供されない。これが可能になるまでには、パートナーや銀行等と更に多くの仕事をする必要がある。」
(ここまで)
知らない用語、t+1って何?


ニュースを流し読みしていると、BakktとLiquidの特徴が"流動性"と"決済仲介"というキーワードのユーティリティにおいて相似している部分もあり、記事内の"T+1"と関連性があるのかと結びつけて考え始めました。

抜粋「バクトは仮想通貨取引所と同じような感じで売買を成立させるけど、受渡はT+1となっています。Tとは「トレード日」を指し、+1は「翌日」を指します。つまりビットコインを売った翌日が決済日だということ。これはビットコインの取引が数十分後にマイニングによって確認されるのとちょっと違ったノリです。でも「受け渡し日」がカッチリと設定されているということは実業界や投資家にとっては安心です。」

スタバでラテを買った支払いをビットコインで この夢がバクト(Bakkt)で実現に近づく?  - MarketHack


ここから推測すると、"BakktやLiquidのような決済業者はトレード仲介の際に、金融的な文脈の何らかの理由において、取引日+1日(T+1)を持たせることが必要であると感じ、さらに調査を進めました。

そして、以下記事内容から、"T+1=BTC引渡し1日先物契約"と翻訳可能であり、その目的は"BTCのボラティリティによる価格増減を抑えた安定的な取引"であると推測しました。

さらに、先物取引の一般的な"売買する価格を先に決定してから取引できる"というルールにより、"業者が預かったBTCを翌日に指定の価格で売却できる"という仕組みにより、BTCの激しいボラティリティによる極端な価格変動があったとしても、リスクを軽減した取引を行えるというシステムであると想像できます。

これにより、一般ユーザーの取引においてもBTC利用が促進され流動性が増す事で、本来的な"通貨"としての役割が高まっていくというシナリオも描け、その期待値の高さの要因とも結びつきます。

抜粋「Bakktの"BTC引渡し1日先物契約"は、投資家(機関投資家)も、企業(スターバックス)も、価格のボラティリティを抑えながらデジタル・アセットのポジションを変換することが可能となるわけです。業界的に言えば、Bakktは機関投資家による日常的取引に必要なインフラを提供する形になります。」

著名アナリストが解説する、巨大金融運用会社と仮想通貨への資金流入の関係性 - Coinpost

<用語>
先物取引とは? 先物取引のイメージ - 知るぽると

このBakkt等の決済仲介システムでのマネタイズ(徴収方法)についても考察してみました。

最も合理的かつ簡便であるのは、決済システム利用時のBTC:フィアットを交換する際のレート換算の値に予め差をつけ(スプレッド)ておき、その価格差のサヤ取りをする事かと考えました。改めて利用履歴の算出などのシステムや手間もなく、さらに請求が後回しにならない事もメリットだと感じます。

もう一歩踏み込んで考えると、その費用をペイするのはクレジットカードのように販売店側なのか、それとも利用者から徴収するか、はたまた双方からなのかというポイントについて公式の発表が気がかりです。


「仮想通貨を即時にドルへ変換してくれるBakktのような仲介業者の存在が必要なのが現状だ。」
「店舗が仮想通貨の現物を決済手段として受け取るメリットは少ない。現物を受け取らずに仮想通貨の支払いを受け付けることが可能になる。」
→店頭でユーザーはBTCで決済する、店舗はBTCF現物は受け取らず後日フィアットで受け取る

「仮想通貨を即時にドルへ変換してくれるBakktのような仲介業者の存在が必要なのが現状だ。」
→BakktはユーザーからBTCを受取り、後日店舗へドルを支払う

「仮想通貨決済の店舗手数料は約1%だ。店舗に現金が振り込まれるまでの期間が比較的短いというメリットもある。」
→手数料はわずか1%、店舗にフィアットの到着が早い

「ICEは11月にビットコインの商品先物取引の提供を開始することも合わせて発表。商品先物取引は現物決済となっており、Bakktが保有するビットコインが活用される。」
→Bakktの取引で集めたBTCは、ICEで現物取引用に活用する(しばらくはBTCは売らず手放さない?)

ICEが仮想通貨のエコシステム構築を目指す新会社Bakktを設立 - BTCN

抜粋「ICEが計画する取引所Bakktが提供するカストディ・サービスと「BTC引渡し1日先物契約」の重要さがまだ投資家に認知されていないことも相場の停滞に直結しており、全体的に、市場は投資家たちの反応を待機中とのことで、いずれBakktの取引開始とビットコインETFの誕生は下落トレンドの転換に繋がるだろう」

ビットコイン一時復調も、仮想通貨相場停滞には投資家の重要材料軽視が影響 - Coinpost


このサービスのスキームや作業機序について考察した際に、"既存のものとはまったく違う仕掛け"があると仮定して考えを進めると、アイデアが思いつきました。それは"ユーザーの代わりに決済会社(Bakkt)が資金を預からず、建て替えないシステム"であるという考えでした。

こうなると、決済会社はリスクを抱える必要がないので純粋にシステムを動作させる利用料のみで賄えるという部分と、先にあげたT+1の"先物取引"を使用する必要があるという2点で整合性があり、画期的なシステムと呼べるのではないかと仮定が立ちました。

<決済フロー>
(1) 客は店舗でフィアット分の当日レート額のBTCで支払う
(2) 支払われたBTCは直接店側Bakkt口座に着金し決済会社は授受しない
(3) 店側口座内でシステムは受領したBTCを自動的に当日レートで先物取引市場に売る
(4) 取引完了しフィアットで店側に入金(除くシステム利用料)

※2-4までが店側の口座内で自動的に処理される

まるで魔法のようにBTCとフィアットが瞬時に変換されて取引完了する仕組みです。上記にあげた動作機序が正しいとなると、Bakkt同様に"T+1"が必要とあげられており、"客の取引している通貨自体には関与せず、その通貨を変換するシステムのみ"のMMOなどを提供するLiquidとも親和性が高いと感じました。

抜粋「Bakktは、非流動資産のために通常使われている"1日先物"契約を使用して、Bitcoinの取引プラットフォームを提供する予定です。 この動きにより、取引は現金市場と同じように1日で決済されます。 言い換えれば、投資家と商人は、必要なだけ速やかにポジションに出入りすることができるため、価格変動のリスクを軽減することができます。 業界では、Bakktは定期的な機関取引に必要なインフラを提供します。
"Bakkt倉庫"に保存された多数のデジタルトークンがあると、機関投資家はトランザクションをブロックチェーンに報告することなく終日取引することができます。 しかし、このすべてがバックグラウンドで行われている間、小売顧客はBitcoinをいつものように購入してから、ビットコインを使ってコーヒーを買うことができます。」

New Bakkt Venture Could Make Bitcoin As Mainstream As Starbucks - Forbes [自動翻訳]


さらに、"なぜこのシステムでは先物決済が望ましいのか?"という部分については、"店舗が早期にフィアットを受領できる"という点と、店側が指定価格で販売できるため"為替差損ヘッジとなる"という2点となるかと思います。先物取引のユーティリティとも言えるヘッジについては下記リンクで解説があります。

またシステム側の立場として考えられるのは、ICEはBakktに先行して現物BTC取引所を開設予定でして流動性を高めることで、小売による少額な取引の相手先のマッチングについては集められる自信があるという事が背景にあるのかと想像しました。

抜粋「オレンジを販売する側のD農園は、作っているオレンジが値下がりすることによって元が取れなくリスクを避けるために先物取引でオレンジを売っています。このように、販売側が商品の価格が下落することによる損失を避けるために行う先物取引を"売りヘッジ"といいます。」

先物取引とは|現物取引にはない3つのメリットとは - 投資の教科書


ここで起こる"決まった価格で販売できる"という仕組みの背景は、「先物において所有している現物と同一価格と量で、正反対の売りポジションを所持しておく事で、価格が値下がりしたとしても現物を売って変化した分の損を出すのと同時に、売りポジションを精算し変化した分の利益を獲得する。」

この双方の取引結果として相殺されプラマイゼロになるという仕組みというのが根底にある事も確認できました。

抜粋「ある現物を保有しており(または将来確実に入手することになっており)、将来時点でその現物の売却を予定している場合に、今後の価格変動(特に値下がりによる損失)を回避するため、先物市場において当該現物の先物を売りつけること。

現時点で将来の売却数量に相当する先物の売りポジションを建てておき、将来、現物の売却を行うときに、この先物の売りポジションを買い戻しにより決済する方法が一般的であり、実際に価格が下落(上昇)した場合には、現物取引(先物取引)での損失が先物取引(現物取引)での利益により相殺され、価格変動リスクを回避(ヘッジ)することができる。」

売りヘッジ - 投資用語集


先物での証拠金取引のオプション取引でのプット・コールでも同様の仕組みは構築できるような気がしますが、"プレミアム"という手数料の発生という追加コストと差金決済の仕組みになりシステムが複雑化するため、必要な"現物"はすでに手元にあり証拠金取引の必要なしとの根拠と、そもそも論としてトレードして利益をあげる目的ではないとの理由により、現物による先物の売りポジション利用の方法を採用しているのではないかと感じました。

先物・オプション取引 > 先物・オプション取引とは > オプション取引の具体例 - SBI証券


こうして、整合性のある答えにたどり着いたため、現在の仮の結論をここに記しておきたいと思います。追って、訂正等があれば追記して行きたいと思います。

推論まとめ

<T+1とは?>
・BTC取引においては、"BTC引渡し1日先物契約"とも呼称される。現物の仮想通貨の売却時に、決済時レートを固定のうえ反対となる売りポジションを先物取引で持ち、その後の価格変動での影響なく決済時点での交換レートで確実かつリスク無くフィアットへ交換できるスキーム。


<Bakkt(Liquid)の処理>
1BTC入金(=レート60万円) → [Bakkt (T+1処理)] → 60万円払い出し

結果としてBTCを安全かつ即時的に決済時レートの現金と交換し払い出す


さあ、今夜も布団をかぶってホールドです!

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