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日常らしくはない日常

 2023年2月22日

 ここ数日は新井さんの体調不良でいろはラムネとしての活動はお休みだった.2,3日会わないというのは,7月に新井さんがコロナ療養した時以来で,一昨日会った時,恐ろしく時が経ったような気がした.新井さんはやけに元気そうだった.良いことだ.

 休み期間のほとんどを,大学のレポートで消費してしまった.強いて何かあったと言うのなら,前回書いた無謀なお散歩と,近所の家の塀にもっちりした白いハムスターのぬいぐるみが引っかかっていて持って帰るか悩んだことぐらいだった.大学の近くに住んでいた時も,道に落ちていた大きな茶色の犬のぬいぐるみを持って帰った.ペットとして可愛がった.コップという名前をつけていた.おそらく,柴犬.

 一昨日はカラオケでネタ合わせをして,昨日もカラオケでネタ合わせして,夜にテレビの扉というライブに出演させて頂いた.

 いつも通りカラオケ館でネタ合わせしていて,ドリンクは注文制なのだが,柿田さんがアイスコーヒーを頼んでも何故だかアイスココアが運ばれてくる.これについて,毎回の普段のネタ合わせで,柿田さんが氷無しお冷ドデカサイズという大量のただの水を頼んでいることが,店員さんに何らかの影響を与えたのではないかと僕は睨んでいる.

 ライブの会場は,渋谷ユーロスペースという場所で,普段の会場よりもかなり広く,ぶるぶる震えた.他の出演者も豪華で震えは余計増した.でも,皆さんすごく優しくて,緊張しながら隅で着替えていても,声をかけてくださった.「一年目?」「は,はいぃ!い,一年目ですぅ!」と上手に返答できなかったが,やっぱり声をかけてもらえることはすごく嬉しい.しみじみと嬉しさを味わった.柿田さんが,フランスピアノのなかがわさんに「目元がシマウマフックのやかべさんに似てる!」と何度も言われていた.

 出番前,トイレで手を洗う際,センサーがなかなか反応せず,全然水が出てこなかった.スタッフさんがトイレにいたので,「あれ,この人センサーが反応していないぞ,焦っているぞ」と思われたくなくて,手洗い場の横にある蛇口付き洗面台で手を洗った.でも,今考えると,僕が手を洗っていた場所は掃除用の流しだったと思う.オシャレな作りだったから,気づかなかった.結局,恥ずかしくなった.

 鉄板のネタを一本した後に,企画を挟んで,尖ったネタを一本をした.企画は大喜利だった.あまり活躍は出来なかったし,貢献できていないけれど,お客さんと出演者の全員で楽しいものを作っているような感覚がして,すごく充実した時間だった.ああいう時間を作り出せるように頑張りたいと思う.あと,尖ったネタとして獅子舞のネタをしたが,最後の,僕が獅子舞の中に入るという展開は,練習で一度しかできなかったため,獅子舞の中で眼鏡がどこかに飛んで行ってしまい,暗転後,舞台からハケることができないという緊急事態を経験した.真っ暗闇の舞台で目も見えず,獅子舞の中にいるというのは,おそろしかった.

 最後に楽屋を出た時,スタッフさんに「面白かったです」と言っていただけた.それがすごく嬉しかった.悲しみとか苦しみならいくらでも出てくるのに,嬉しさとか楽しさはどうして表現が難しいのだろうと思う.文字や言葉に変換してしまうとどうしても単調になってしまう.だから,せめて!と思って,満面の笑みで「ありがとうございます!」とお辞儀した.

 帰り道,京王線の電車内で,横にいた人が間違って非常通報ボタンを押してしまって,うーうーうーと鳴り始めた.すぐに駅員さんからボタン越しに「大丈夫ですか?」と無線が入り,その人が「間違えて押しちゃいました」と言って,事なきを得ていた.その間,僕が反応してしまうとその人は恥ずかしくなるかなと思って,気づかないフリをしていた.

 そして,今日は大学のゼミだった.あのもっちりとした白いハムスターのぬいぐるみはなくなっていた.大事に扱ってくれる人に拾われていることを切に願う.

 あと全く関係ないが、中央線には三鷹駅,吉祥寺駅,西荻窪駅と並んでいて,どれも字面から昔話に出てきそうだなと最近思っている.

 「昔々,ある村の西には荻の野原が広がっており,大きな窪みがあったそうな,そして,そこに住む三匹の鷹が村人を困らせておった,ある日,困り果てた村人のところに,吉祥寺というお寺のお坊さんがやってきた」

 今に中央線の電車内アナウンスから流れてくるんじゃないかと思っている.

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