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銭湯の匂い

 2024年1月28日

 昨日も今日もデニーズにて三人で新ネタ作りだった.

 昨日は半分,今日は五分の一ぐらいが,雑談.柿田さんがハリー・ポッターを知らなくて,新井さんがアズカバンの囚人と炎のゴブレットの説明をした.分かりやすかった.僕は炎とゴブレット以外は観たことがある.


 夜に銭湯へ.初めて一人で行った.誰ががいる時は,ただその人のまねをしていたので,改めて使う靴箱の松竹錠に手こずってしまった.

 眼鏡を外すと,ほとんど何も見えない.白くぼやけている.その分,熱気に意識が集まっていく.湯舟に浸かり,目を閉じる.そこまでくるともう,自分を包むお湯にのみ,感覚が機能する.

 しばらくしたら,すごく暇になる.当たり前だが,極楽に持続性などなく,むしろ熱さが気になり,もうあがりたいと思ってしまう.それに一人だから,話して気が紛れる,といったこともない.残るは,思考.それも,何にも思いつかない.飽き性だから仕方がない.

 でも,なんとか長時間入りたい.楽しみを見出したい.とりあえず,高温風呂と水風呂を行き来.泡風呂なども途中に挟む.手を変え品を変えても,結局,三十分ぐらいであがってしまった.


 正直,趣味が銭湯の人に憧れを抱いている.僕にとって,銭湯に入るのは美術館で絵を見る感覚に近くて,その人自身の感性で,滞在時間が変わってくると思っている.僕は銭湯にいてもすぐに飽きてしまう.銭湯に入るというシンプルな行為から楽しみを見いだせる人でありたかった.

 まあでも,こと銭湯においては,熱さへの耐性なども関わってくるか.

 あと,銭湯好きな人ってなんかアーティスティックな人が多い気がする.そういうのもあって,たぶん憧れている.「よく一人で銭湯に行きますね」って言ってみたい.


 銭湯の後,身体から銭湯の匂いがしている.ほよよんと漂う.あれはなんなのだろう.絶対,「ああこれは銭湯の匂いだな」と思う匂いなのだ.単色というか平面的というか.不可思議な匂い.赤ちゃんの匂いとかもそうなのだろうか.

 調べたら,普通に塩素の匂いだった.


 今日の帰り,改札の外に改札の中をじっと見つめている男女がいた.誰かを待っているのか.男の手にはソフトウェアの本があった.近くを通ると,二人で何やら改札内の電光掲示板について,小さい声で話し合っていた.

 僕はこの二人を見て,いいなぁと思い,結構ガン見してしまった.たぶん,同じものを好きな人たちを見るのが好き.例えば,何かの音楽などライブ帰りの人たちも,絶対見てしまう.

 同じものが好き,もう少し砕くと,「自分もあなたと同じものが好きなんだよ」という相手への共感,に対して,執着心がすごくある.それは,自分が人のことを理解するのが苦手だから,なのかもしれない.苦手だからこそ,自分と同じ気持ちを相手が抱いていると知った時,すごく嬉しくなる.


 そんなふうなことを思いながら,家へ帰った.そういえば,改札の前に誰かを待っている人がたくさんいた.どうせ帰るなら,誰かが待っているところに帰りたいと思う.


 世にも奇妙な物語のガラモン・ソングのリズムと,吉幾三の「おら東京さいくだ」は,同じようなリズムである.ガラモン・ソングのリズムで「おら東京さいくだ」を歌うと全然怖くなくなる.最近知った.






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