見出し画像

【月刊あめのもり】2020年11月「シカイ、シナイ? うん、シタイ!」

はい、今月もやってきました。恒例の月一コラムです。
もうコレを言うのもイヤになりますが、ほんと「1か月って早い」ですね。

特に11月は、3日間にわたって開催された『浅草エーラウンド2020秋』のお手伝いをしたり、漆器で有名な石川県の輪島まで撮影に行ったりと、休日出勤も多く、あっという間に過ぎ去っていった印象があります。
同じように12月も気づけば終わっているんでしょうね。

さて、そんな中、今日はその浅草エーラウンドにも少し関係する話をしてみましょう。

(この記事は2020年11月30日に株式会社アイタイスの公式サイトに公開されたものの転載になります。)



司会のお仕事がたくさん!

先日、アイタイスのサイトでも紹介した通り新型コロナウイルスの影響もあってオンラインで開催された革とものづくりの祭典『浅草エーラウンド2020秋』
11月6日から3日間に渡って開催されたこのイベントの中で10本近く放送されたすべての生番組の司会を、僕が担当させていただきました。

それとは別に、日本のマンガカルチャーを世界に向けた発信・普及に努める
FUKIDASS』のオンラインセミナーにおいても、僕が司会を務めています。

つまり最近、僕は司会づいているんですね。

いや、これは最近に限った話ではありません。
振り返れば20代後半から30代前半あたりでは、友人の結婚式の二次会の司会も、素人としてはかなりの数を任してもらいましたし、30歳の時から6年間、講師を務めた専門学校でのトークイベントでも、何度も司会をしました。

専門学校では、あまり興味のないビジュアル系バンドに関するイベントで司会をすることがめちゃめちゃ多かったな……。

そこで今日は、さまざまなイベントや複数人で行われるディスカッションのような場で司会やファシリテーターを担当する人にちょっとしたアドバイスになるかなと、そういった状況の中で僕が心がけていることを、少しまとめたいなと思います。


大事なのは最初の5分!

本編の“ド頭”にも関わらず、引用から始めるのもどうかと思いますが、ナニワ経営道でもおなじみ、株式会社BHFの廣瀬社長が、昔こんなことを言ってたのをよく覚えています。
   
司会をする上で大切なこと

  • 司会(廣瀬社長が言う司会は、結婚パーティーの、ですね)は主役じゃない。目立ちすぎてはダメ。

  • ただし、全体をまとめるための、確固たる存在感も必要。

素人に毛が生えたレベルの僕とは違って、廣瀬社長はMCのガチプロ。
彼が言う言葉には説得力がありますね。
僕も司会的な仕事をする時には、まずこの2つを念頭に置いています。

そして、次に大切にしているのは、最初の5分でインタビュイーや鼎談者、その場にいる観客の気持ちを掴むこと。
これは、以前に書いた取材の心得に関する記事と基本的には同じ考え方です。

「あ、この人は、私の話にすごく興味を持ってくれているんだ」

「この人に、自分のことを話すの、楽しいな」

勝負は本当に最初の5分。その短い時間で、上のように思ってもらえるかどうかが最も重要です。

素人に毛が生えたレベルの僕とは違って、廣瀬社長はMCのガチプロ。
彼が言う言葉には説得力がありますね。
僕も司会的な仕事をする時には、まずこの2つを念頭に置いています。

そして、次に大切にしているのは、最初の5分でインタビュイーや鼎談者、その場にいる観客の気持ちを掴むこと。
これは、以前に書いた取材の心得に関する記事と基本的には同じ考え方です。

「あ、この人は、私の話にすごく興味を持ってくれているんだ」

「この人に、自分のことを話すの、楽しいな」

勝負は本当に最初の5分。その短い時間で、上のように思ってもらえるかどうかが最も重要です。

ではそのために何をするのか。いくつか方法論はあります。

一つ目は、「本質的な質問をする」ということ。
インタビュイーが一番聞いてほしい、深い部分をえぐるような質問で、かつ、どんな人でも出てくるものではなく、切り口に独自性がある質問ができるといいですね。
ここではこれを「キラークエスチョン」とでも呼びましょうか。

互いのグルーヴを高めるというか、互いにしびれるというか、そういう高いレベルの質問を序盤で放り込むことができるのが一番いい状態です。

そんな“芯を食った”質問ができると、その瞬間、答える側の方々の姿勢が
グッと前のめりになってくるのを感じることがあります。そうなればこっちのもの。

僕がこの「冒頭5分のキラークエスチョン」を意識するようになったのは、
20代前半に、音楽ライターをやっていた経験が関係しています。

当時の僕は、いろいろな偶然が重なって、クラブミュージック専門のライターをすることになったのですが、取材相手は、普通の音楽雑誌だったら、編集長レベルが担当するようなビッグネームばかり。

そんな偉大な音楽家陣に対して、弱冠24〜25歳の僕が登場するわけですから、向こうは「この子が今日のライター? 大丈夫??」と訝しさを抱いていたと思います。

でも僕には、紙の資料とサンプル音源を事前にチャチャっと目と耳を通すレベルの普通の音楽ライターには負けないレベルで深い議論ができる自信がありました。

従って早めにその深度に辿り着くためにも、冒頭の数分で若い僕に対する不安などを払拭して、全幅の信頼をしてもらうための「キラークエスチョン」を投げる必要があったのです。

「キラークエスチョン」につづき、相手の気持ちを掴む2個目の方法。
それは、「本質的変換」です。わかりやすく言うと、「例える」「言い換える」ですね。

この「本質的変換」の中にも、2つあります。
まず、相手の話が抽象に寄りすぎていた時は、具体的に例える。
「〇〇が〇〇するようなものですね」的な感じで、具体的な例に変換します。

その例えも、たとえば割と年配の方が相手であれば、往年のプロ野球選手に例えたり、逆にターゲットが絞れないのであれば、ドラえもんやサザエさんなどの国民的作品の登場人物や、もしくはスマップや嵐、さんまさん、タモリさん、たけしさん、ダウンタウンといった誰でも知っている有名人などで例えるのがいいですね。

次にもう一つの変換は、上とは逆に、相手の話が具体に寄りすぎている時に、抽象化、概念化して、「つまり、〇〇〇〇っていうことですよね?」と何の話をしているかを説明する方法。
この変換が何度も炸裂できれば、相手のテンションもグッと上がっていきます。

これらの2つを、「キラー変換」とでも呼びましょうか。


その他、冒頭でやるべきこと

他にも最初の約5分で行うべきいくつかの作業があります。
僕がまずやるのは、「どれくらいアドリブに対応できる人なのか」という確認です。

その辺の対応力がありそうな人なのであれば、割と無茶振りをして場の空気を和ませることができますよね。

その無茶振りに相手が応えられるか否かはさほど問題ではありません。
なぜなら、応えられないなら、応えられないなりに、その事実をいじるなど、こちらのフォロー次第で何とでもなるから。

大事なのは、そういった振り(場合によっては“いじり”)への耐性があるかどうかの確認です。
本当に嫌がる人もいるので、慎重に、かつ早めに確認するのがいいですね。
もちろん事前打ち合わせでも確認はするのですが、そこでは分からない塩梅があります。

さらにもう一つやるのは、「誘い笑いで、場の空気をつくる」こと。
つまりは、自分でボケて、自分でちょっと大げさに笑う。
「これくらいカジュアルで、気楽なトーンで話そうよ」っていう線引きを自ら設定するための工程です。

もちろん、主催者にどれだけくだけたトーンが許容されるかを予め確認しておく必要がありますけどね。


もう一つ大事なこと

もう一つ、僕が司会をする上で、常に意識している(というか、もう無意識に体がやりますけど)ことがあります。

それは、嬉しいことに、大きな笑いがとれて場の空気がよくなった瞬間に、
すぐ次のキラークエスチョンやキラー変換を繰り出す
、ということ。

笑いがとれるのは気持ちがいいことですし、場も盛り上がります。

ですが、自分の繰り出すちょっとしたボケや秀逸な例えなどがばっちりハマって、大きな笑いが生まれたからといって、そこで“ドヤ感”を出したり、その気持ちよさの余韻に浸ることなく、そういうタイミングにこそ、割と真面目な質問を投げたり、次の本質的な話題を振ったりする。

それが僕がいつもやっていることです。これをやると、話の駆動力がグッと上がる気がします。

話相手と場を和ませる笑いを提供し、その瞬間にまたグッと締める。
これを繰り返すうちに、インタビューの内容もどんどんと本質的な部分へと進んでいきますし、何よりインタビュイーも「いい話ができて、しかも笑いもとれた」と気持ちよくなってくれます。

「いや、別に芸人でもないし、笑いがとれたところで、何になるの?」と思われそうですが、いやいや、そんなことはない。僕が知る限り、笑いがとれて喜ばない人は、そうはいません。

これは僕が大阪出身だからとか、そんなのは関係なく、やはり自分の発言で、周りにいる人が笑っていたという事実は、普遍的な価値だと思っています。


司会をする時の一つのゴール

だからこそ、僕が司会をする場における目的の一つは、それです。

つまり、「インタビュイーが面白い人だ」と言う印象を残して終わるということ。
これはおそらく誰でもできることではないので、そういう意味では司会者としての僕の強みと言えるかもしれません。

ここで言っているのは、「intersting」という意味の面白いだけでなく、「funny」の意味の面白い印象も付与するということですね。

昔、ある友人が僕にこんなことを言ったことを覚えています。

あめやん(=僕のあだ名)としゃべってると、自分が面白くなったと勘違いしちゃう

最高の褒め言葉ですね。

たとえば、テレビの視聴者である我々は、ダウンタウンDXに出ている有名人や、HEY!HEY!HEY!(例えが古くてすいませんorz)に出ているミュージシャンたちに対して、「すごく面白い人たちだな」という印象を持ちます。(当然、本当に面白い人もいるでしょうけど……)

実際はそんなことはなくて、ダウンタウンが面白いだけなのですが。
僕がやりたいのもそれなんですね。

つまり、僕が司会をやる上では、大きな目的として、一つ目にやはりその人の取り組みや、従事している事業やサービスの良さ・強みをしっかりと伝えることがあり、次に、その人自身が、その取材や対談などを楽しんでもらうこと、そして最後にもう一つ、視聴者に対してその人が面白い人だという印象を残すということ、と3つを掲げています。

そのすべてを達成できると、司会を担当する僕としては100点の仕事になるというわけです。


まとめ

僕が司会をするときに心がけていること。

  • 目立ちすぎず、でも存在感を(廣瀬社長のお言葉)

  • 最初の5分でつかむ。その方法は大きく2通り。

  • 1つ目は「キラークエスチョン」

  • 2つ目は「キラー変換」

  • 「キラー変換」には「具体例」と「抽象化・概念化」の2通りがある

  • 最初の5分で「アドリブへの対応力を確認」

  • 笑いがとれたら、すぐに次の「キラークエスチョン」を出す


では実際に見てもらいましょう。

今日やりたかったのは、つまりはこのアーカイブ映像の紹介だったんです。
ここまでお付き合いいただけた方、長々とすいません。

実際に浅草エーラウンドで放送された生放送をいくつかピックアップして紹介していきましょう。

スタジオトークVol.01【ティックワールド/アトリエ MADE IN ME】

スタジオトークVol.02【bookcobar asakusa】

スタジオトークVol.04【レッザボタニカと旅するサステナブルな世界】

革とモノづくりの祭典 スペシャル対談

「日本の靴 150年」を語る(冒頭、音のトラブルあり)

オープンファクトリー トークバトル!【モノマチ/燕三条/スミファ/葛飾ライブファクトリー/浅草エーラウンド】

僕の司会が良し悪しは別としても、どれもとても面白い内容なので、時間をつくって、ぜひご覧になってください!

浅草エーラウンドチャンネル


はい、今日はここまで。

ありがとうございます。

すこし話は変わりますが、ここ数年、お仕事でご一緒させていただいている浅草の職人さんたちもそうですが、日々の仕事を通して、やはり日本というのは、ものづくりの国なんだなと強く実感することが多く、それと同時に、その現場にいる人たちが直面している問題に関心が移ります。
つまりは、輸入品の台頭による事業規模の縮小や、世代交代ができず、後継者不足に悩んでいることなどですね。

彼らには、ものすごい技があり、それが日本という国が経済大国へと成長する礎を築いたという揺るぎない事実と実績を持ち、さらに作業風景はめちゃめちゃかっこいい。

なのですが、自分たちで自分たちの凄さに気づいていなかったり、それを伝えられる形に変換することもできていなかったりするという現状があります。

なかなか悩ましいですね。
ぜひとも一緒に何かしらの取り組みを行いたいなという思いが募ります。
来年は、そんなことにも挑戦できればいいですね。

ではまた来月。みなさん、ぜひエーラウンドの番組、お楽しみください!

あ、ついでにFUKIDASSのオンラインセミナーもお願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?