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父の見舞い

サラッと書きましたが、おととい父の病院へ見舞いに行きました。
兄やんと一緒に。
兄やんはもう何年かぶりに会うといった様子。最後に会ったのは
いつだったろう。

父は15年ほど前にくも膜下で倒れて、四肢に異常はなかったけれども
脳に障害が残ってしまいました。
見当識障害というものです。

父は今82歳(こないだ聞いて来た)です。
少し痴呆も入っているようで
話していると話がかみ合わないこともあるけど
それはそれで少し微笑ましかったりします。

まず、病棟に入って父に向かって手を振ると
手を挙げながらも
「あんただれ?」という顔をします。
スタッフの方が
「ご家族です」っていうと
「あ?そうだっけ?」みたいな顔をします。

面会室に通されて、まず
「久しぶりだね。私は誰でしょう?」と聞いたら
「〇〇〇だ」といって、思い切り妹の名前を叫びました。
「違うよ。一番上が〇で、三番目が〇〇〇。
わたしは?」と聞いたら
「わかんねーな。忘れちゃったよ。自分の子どもの名前を
忘れるようじゃおしまいだなぁ」という。
わたしが名前を云うと
「あーそうだったなぁ」とか言う。
前に行った時は、
「一番上の娘の名前は〇だろ」って言ったきり
他の兄弟の名前は出てこなかった。
順番でいうとわたしなのになぜ3番目の名前を云ったんだろう。
ついでに、一番下の弟の名前を聞いたら
「覚えてねーよ」とか言ってた。唯一の長男なのに。

もちろん、孫の名前も憶えて無くて
「誰だっけなぁ。今いくつだい?」と聞いて
「今年で25歳だよ」と兄やんが言うと
「ほーーそんなに大きくなったのか」といって
兄やんが
「もう社会人で〇〇建設会社に勤めているんだよ」といったら
「へーーすごいなぁ。あそこは普通の人はなかなか入れないんだよ。
たいしたもんだねぇ」なんて話す。
※前回、ひ孫が生まれたんだよって話をしたら
「そこまでのことは俺は知らない」って言ってた(笑

そしてわたしが父に
「自分の年齢はいくつかわかるの?」と聞いたら
「わかるよ。82歳」
と答えた。
前回の時は
「65歳」といって譲らなかったのに。

そして
「私はいくつになったと思う?」と聞いたら
「そうだなぁ。36か?」とかいう。
なんていい人なんだろうって思ったけど
「そんなわけないよ。もう50も過ぎてるよ」と言ったら
前回同様、ガハガハ笑って
「お前、本当に可哀そうだなぁ」と言っていた。
こういう時って絶対、素で言ってる。

そして兄やんが
「さっきも云ったけど、俺は?」と聞いたら
「15才だろう?」と平然という。
プラス10歳をどこで忘れて来たのか(-_-;)

わたしと父の関係はあまり良好では無かった。

↑こうしてみると案外仲良し親子に見える(笑

↓でも次に泣いてるんだな。(笑


別になにをされたわけではないけど
褒められもしなければ怒られもせず
何をどう話していいかわからず、テレビドラマで見るような
父親に甘えるとか、悩みを相談するとか
そういう親子らしい記憶がほとんどない。
いつだったか通りで、父が近所に住んでる私の友達を
肩車して歩いてるのを見て
「わたしはこの家の子どもじゃないかもしれない」くらいの
衝撃を覚えたことがあった。

だからといったわけじゃあないけど
わたしは今良くわかってない父親に甘えてみるチャンスだなと
思っているのだ。
といっても、話がかみ合わないので何とも言えないのだけど。

父はこの病院の施設が完璧であって
何不自由なく過ごしてると話してくれた。
でも今は要介護3になって、怪我をしたり転倒することも多くなったという。

どこまでが父のホントでどこからが病気なんだか
よくわからないことがある。

いつだったか今は禁止されているけど
差し入れに月餅を持って行った。




すると・・
「お前も食べるかい?」といって
半分に割ってくれた。
あーそういう気持ちは残っているんだなぁと
嬉しく思って泣きそうになった。

話は戻り兄やん(息子)が
「今日は自分の車で運転して来たよ」と話した。
すると
「へーすごいなぁ。車買ったのか?」という。
ちなみに、父は修理工場の経営をしていたので
車の話は大好きである。

わたしが兄やんに
「将来欲しい車があるんだよね?」とふった。
その車はいっつも父が
「俺はこのメーカーの車が一番好き」といって
ずっと乗り回していたものだった。
だから父に
「お父さんの好きな車はなんだっけ?」と振ったら
「うーん。そうだなぁ。」

人人人人人_
> ベンツ <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄

と言った。
わたしも兄やんもイスからずり落ちそうになった。

違うよ違うよ、BMって言ってたじゃん。
だから兄やんは乗りたい車はずっとBMって言ってて
父の意志を継ぐのだと言ってたのに
継ぐどころかもう設定が変わってるじゃないか。
わたしと兄やんはともかく心を落ち着かせて
「でも、BMってことにしておこう」とお互い目くばせをした。

そして、外を見るとザーザーぶりだった雨が
少し小やみになってきたので
「じゃあもう帰るね」といって
1時間ほどで帰ることにした。
すると父が
「今日は来てくれてありがとうね」と言ってくれた。
あー、わかるんだなぁ。って思う。
そのわかることだけでもとっても嬉しい気がした。

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