ボタニカル日記アメタカオル4章

4章ハクモクレンの木

 

 

 2016年11月。ハクモクレンの赤い種が黒い躯から出てくる瞬間は醜悪だ。はっきりいって汚い。怖い。あの白い花が咲き誇る時間とは大きく違う。もうすぐそのハクモクレンの赤い種の時間が終わろうとしている季節。今年は紅葉とセットのはずの蕗の黄色い花はピンで咲いている。上は赤や黄色の紅葉、下は蕗の花 いつもは揃って秋の里山を彩る二大スターなのに、今は蕗の黄色い花の独擅場だ。紅葉は全然はじまっていない。夏から野菜の値段が高騰し続けていて、私はもうずいぶん普通の野菜(キャベツとか レタスとか)が買えていなかった。何を買っていたかというと冬瓜とハヤト瓜と時々甘ししとう。なが〜〜いささげ(小豆なのだけど、インゲンの長い奴)との再会も果たし、買ったなぁ今年。鹿児島ではハヤト瓜は買うものでなくて薮からとってくるものだけど、買っているといったら、風の丘でトミーがハヤト瓜の園につれていてってくれた。藪漕ぎをしてエプロンやポッケに一杯のハヤト瓜をたくさん貰った。ハヤト瓜はどうやってたべるの?とよく聞かれる。私はカレーのじゃがいもがわりにいれたり、そのまま、焼いたり、油と相性がいいのでグラタンもおすすめ。でも最高なのはハヤト瓜の麹漬け。おばあさんになったら、颯爽とハヤト瓜の麹漬けをつけたい。鹿児島では麹漬けは本当に冷蔵庫のおかげでできるけれども。随分前、誰かの本で旬の野菜が栄養価が高くてしかも安いので賢い主婦は。。。なんたらかんたらと。。。そう言っていたのを思い出した。そのときはふーんと思っていたけど、今年は本当に実感した。もしかしたら私は今年初めて夢の中から実世界にデビューしたのかもしれない。と思っている節があるのだけど、それはその証拠のひとつ。同じ小説を何度も読んだり、同じ歌を何度も聴いたりして、毎回違うところで反応したりするのに似ているけど。ちょっとちがう。今年私はやっと夢の世界から実世界にでかけたんだよ!そこにハクモクレンの赤い実は怖すぎた。その怖さはちょっと滑稽で浅草の花屋敷のお化け屋敷のお化けに似ていると思った。怖がらせようとしていることが日常で仕事でルーチンワークになっていて少しこなし気味。実はそのことには気がついていたのだけど、よく見てなかった。今年は直視している。ハクモクレンの白い花が咲き誇る姿は私がこの世で一番美しいと思っている姿の一つだ。葉っぱなしで花だけさくその姿を本当に毎年楽しみにしている。花びらが散り出して、夕暮れ時に空を切り絵のように切り取る枝の動きもたまらない。梅の枝の空の切り取り方も見事だけどハクモクレンのほうが好み。理由をかくとそうだけど、好きなことにはたぶん理由はない。心あつく惹かれるだけ。白い花が多いかなぁ。うん。白い花は好きかも、すごく。赤い花も好きだけど、白い花は別格。百日紅も断然白に限る。そこには歴然と大きな海ほどの隔たりがある。私は。そこまで差があることも珍しいかもしれない。例えば洋服は白すきだけど、花の白ほどじゃない。。特にハクモクレンの白い花はもう熱狂のサッカー場のように心躍るかもしれない私は。静かに静かに静かにテンションがあがっている。わかる!という人!友達になってね。心の中のお庭にハクモクレンが植わっている人。【現在2017.3.14 鹿児島ではハクモクレンの花が咲こうとしています。楽しみですね。岩ツツジも準備してますね。】

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