ナザレのイエスが白人で描かれても誰も文句は言わないのに、黒人エルフは許されない。
『黒いアテナ』(1987)を鵜呑みにする訳ではないが、科学的根拠と照らし合わせても史的イエスは決して白人ではなさそうだ。にもかかわらず、聖画に描かれる人々はみな「美しい」白人の姿をしている。私はそれを批難するつもりはないし、同時代の表現を狩る姿勢には反対の立場だ。
さて、「黒人エルフ」に対する批判の声に、「トールキンは、支配者層、無意識の差別者、特権者層としてエルフを描いた。これは白人のメタファである。なので、黒人が演じることは作品への冒涜である(大意)」というものがあった