見出し画像

サイレント映画鑑賞-調布市市民会館たづくり

 この日、調布市にて開催されるサイレント映画の鑑賞をしようと母に誘われた。講演時間は14時から。映画は2本、「血と砂」と「椿姫」で、どちらも悲恋映画であるという。主演はルドルフ・ヴァレンティノで、どちらも母曰く「駄目な男」の役を演じている。
 そんなことを教えられ、ホールへと入ってみる。年齢制限などは無かったはずなのだが、未成年はどう見ても僕しかいない。U25割引などあるために、ほかにも何人かいるのではないかと思ったけれど、いたのは23,4歳ほどであろう男性のみ。ほかは全員30歳以上と考えられる。
 このあとまっつんと授業があるため、僕は最初の1本「血と砂」のみを見て帰ろうか、などと考えていた。実際、このホールの2階上には図書館があるというので、そこで時間を潰しているつもりだった。
 しかしながらいざ始まってみるとこれがなかなかに面白い。サイレント映画であるため、傍らに楽団と弁士が居てそれぞれ場面に合わせて曲を演奏したり声を当てたりするのだが、実際に専門の声優が居て一人一人声を出しているような(活動弁士は1人で全員の声を当てている)錯覚に陥った。
 普通の映画ではなくサイレント映画にある利点として、音がないことが―あたりまえだが―ある。映画館で映画を鑑賞するときはときたま騒音に悩まされることがあるのだが、サイレント映画であれば人物の声のみ。非常に静かで、聞き取りやすいために物語の把握が容易い。
 あれよあれよと、気がついたら「血と砂」を見終わって、いままさに「椿姫」が始まろうとしていた。
 今回の活動弁士は沢登翠という人だったが、今度また「折鶴お千」というサイレント映画にも登壇するらしい。これはもとは泉鏡花の「売色鴨南蛮」という小説だそうで(なぜ鴨南蛮なのだろうか)、会場も開演時刻もいちおう行くことの出来る時間帯であり、場所だ。今回の件でサイレント映画が好きになっていたために、ぜひ行ってみたいと思うのだが、チケットはとれるだろうか。今回もかなりの人数が会場に詰めていたし、そこが心配だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?