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フリースクール活動日記 2023/06/01-科学技術館

 今日は、先週のΧαοσとの約束で、行き先が町であると言うことは決定していた。その詳細については火曜日に決定することとなったものの、皆が皆思い思いの行き先を意見すると言うこともあって、まったくまとまる気配がなかった。
 それに業を煮やしたレイセンが強引に行き先を「貨幣博物館」に決定しようとしたこともあって、慌てる皆の説得に成功。今週の行き先を「科学技術館」にしてもらうことに成功した。
 僕は今週、月曜日。霞ヶ関へと行った。その際、ほかの「国立科学博物館」や「国際子供図書館」などが休館だったため、本当であれば、この「科学技術館」へと行く予定だったのだ。ところが、その日僕は寝坊してしまい、結局ここへ来ることはなかった。そのため、仇とばかりに皆を説き伏せレイセンを説得し、ようやっと行き先を科学技術館にすることが出来た時は、かなりの達成感を得ることができた。
 そうして当日、今日。朝に予定が入っていたため、早めに家を出た。そこの開館は9:30からだったため開館と同時に駆け込み、用事を済ませてから電車に乗る予定だった。またその際、駅から4,5分かかることもあって、集合場所への到着に、若干の遅れが出ることも考えていた。
 ところが、これはいったいどうしたことか。予想以上に早く現地に着いてしまった。集合予定時刻より20分も早い。当初は皆が集まっているところを目指して進む予定だったのだが、失敗した。僕は集合場所についてはそれほど詳しくないため、何処へ行けば良いのかさっぱり分からないのだ。
 1人、駅の地図を前に唸っていると、後ろから声を掛けられた。Χαοσらである。漸くだ。漸く集合場所へ行ける。これでΧαοσらが集合場所を知らなかったならばかなり危ないが、幸いそういったこともなく、集合場所へと無事辿り着くことができた。
 田安門の前で待っていると、イマンモやレイセン、龍角散と全員が揃った。今回カッパくんは欠席。なんでも水疱瘡になったらしい。
 少し前にはトラさんが。その次には僕が帯状疱疹に。更にその次、今週にはカッパくんが水疱瘡となった。最近のフリースクールでは、これが流行っているのだろうか。
 もとは田安門から入り、公園を抜けて科学技術館へ行く予定だった。けれども、昼食などを買うためにコンビニへ寄る必要のあるメンバーが幾人もおり、相談の結果コンビニに立ち寄った後、そのまま南下して清水門から入ることとなった。

奥が清水門。
僕は「きよみず門」と読んでいたが、本来は「しみず門」と読むのが正しいらしい。


 門の前にある石橋を皆で渡り、門の脇にある小さな扉を調べに行っていると、それだけで既に時間は11時に迫ろうとしている。急いで階段を上って、降りて。科学技術館を目指そうとしたのだが、それが見える頃になって皆が皆一様に立ち止まり、唖然とした。
 科学技術館の前に、行列ができている。がやがやわいわいと五月蠅い小学生。人数は少ないけれどもその分あちこちにばらけている中・高校生グループ。総勢は100人を軽く超すだろう。人混みが苦手なメンバーは顔をしかめて。逆に人混みが好きなメンバーは顔を輝かせて、僕たちは科学技術館へと入った。
 順路どおりに最上階へと上がって、各々が好きなところを回る。様々な角度から自分を見てみたり、皇居をドローンで上空撮影した映像を見たり。5階のテーマは「光」や「影」、「音」がメイン。これらの展示が存外に面白く、あっという間に時間が過ぎてゆく。気がついてみると、なんと。まだ5階だというのに、それだけで1時間ほども経ってしまっていたとは!

5階、光の展示のある部屋「オプト」
僕とΧαοσの影法師。
光で照らした対象の影が、
僕達がいなくなっても残っていた。


 こうなった原因は明白だ。もともと僕は、さっさと4階に降りようと皆を説得して回っていた。が、その際。「メカの部屋」で出会ったレイセンに、「これやってみろ」とある仕掛けを指さして言われたのが運の尽き。高速で回転するそれを、迷路のような壁にぶつけずにゴールまで運ぶという、その仕掛けの面白さにどっぷりとつかってしまった。その様子に呆れた周りの皆にいくら「早く終わらせろ」、「下の階へ行くぞ」と言われても、手を止めることができず、いよいよそれに業を煮やしたレイセンに置いて行かれそうになった。
 かくいうレイセンも、出口に近いところに置いてあった似たような装置に興味を持って、その操作に没頭していなければ本当に置いて行かれる危ないところだった。
 その後は4,3,2階と徐々に下っていったものの、意外なことに5階のように面白い場所は全くなかった。こんなことならもう少し5階に残っていれば良かったと考えるも、時既に遅し。1階に降りて、また5階へ上ろうと準備をし始めたときには、もう集合時間の13時となってしまった。
 しぶしぶと皆を科学技術館前の段差に座って待つ。が、待てども待てどもΧαοσらはあらわれず。暫くたって視界に入ってきたのは、人の大群。小学生らが30人グループを4列、5列と作って科学技術館に向かって歩いてくる。それに伴い、技術館の職員がこちらにやって来て言った。ここは団体集合所であるから、今すぐ立ち退けと。
 こちらだって総勢20人にもなる「団体」。そしてΧαοσらと「集合」するためにここに居る。だから、この団体集合場所を使ってもいいじゃないか。と思うもそんなことは通用せず、結局立ち退くことになってしまった。僕と龍角散が館の前に備えられていた郵便ポストに、よじ登ったのが悪かったのか。あるいは……
 陽が燦々と降り注ぐ中、暫く待って漸くΧαοσが出てきた。ここに残って彼を待っていたのは、僕とパイセンと、レイセン。他の皆は「待ちきれない」と言ってイマンモに付き従って先へ進んで行ってしまった。Χαοσの合流を待って慌てて後を追う。
 合流した先で、昼食は北の丸公園でとることになったと聞いた。実際に行ってみると、かなりの敷地が工事中で立ち入ることができない場所だったが、あちこちを彷徨い歩く内、川に架かっていた橋を渡った広場は空いていた。漸く腰を落ち着けることができる場所に出た。そこにブルーシートを広げて弁当を食べた後、誰からとも無く遊ぶことになった。原因はたしか、僕が弁当を食べているときに龍角散に追いかけ回されたことだったか。それによって皆の闘争心に火が点けられたのか、Χαοσや龍角散によって腕相撲大会が行われた。


 龍角散に追い回され、渇いた喉を潤すために日本武道館まで彷徨い出て水を買った。そうしているうちに、いつの間にか15時となり解散することとなった。帰りは一刻も早く九段下駅へ着くために、田安門から出たのだが、その際に、堀の中にスワンボートが浮かんでいるのを目にした。まったく場に合わないそのボートが気になってイマンモに調べてもらったのだが、どうやらボート乗り場があって、30分500円だとか(区営千鳥ヶ淵ボート場)。誰か大臣の息子などが乗っているのかとも思ったが、そうではなかったことが残念だ。けれども、また今度来た時には、これに乗ってみるのも面白いかもしれない。

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