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むきむきの殿方をふわふわのリボンで飾るおこないについて 2nd Vision

自分でグッズを飾り付けること。オタクとして強くなるわけでもないし、人生のスコア的なものが上がるわけでもないのだけど、かわいいを自分で作る試行錯誤は楽しい。お友達にかわいいをお届けできるのも嬉しい。そういう話。


●◎●前回までのあらすじ●◎●

ひょんなことで推している殿方二人(DDTプロレスリング所属の上野勇希さんとMAOさん)の缶バッジを手に入れた私は、ロゼットを自作したところ視界にかわいいが誕生したのであった。

●◎●前回までのあらすじ ここまで●◎●



VS 素材の大海原

ある日のお買い物

ふわふわのリボンを重ねるとかわいいができあがる。この事実を手に入れた私は、もう一度ロゼットを作りたくなった。この縫い方であればどう仕上がったのだろうか?リボンの幅を変えるとかわいさの種類も変わるのだろうか?仮説を検証したくなったといえば意欲が旺盛だし、凝り性が出たと言えば昔からの血が騒いだとも言える。

私は船場にある日本紐釦へと向かった。検証したいロゼットの数を思い浮かべれば、リボンを巻で買った方が安くつく。問屋街とは敷居が高く感じられるかもしれないけれど、一般のお客様向けに開かれているお店もまあまああったと記憶している。

たくさんのリボンが並んだ棚に対峙して、ようやく思い当たる事があった。手芸店で買った時とはまた異なる質感のリボン。もしかして同じサテンリボンだとしても、素材感ってメーカーによって全然違うのでは……!?

なんだか気づいてはいけないことに気づいてしまった感覚。リボンの柔らかさ、ツヤ感、密度、色味。ロゼットの作りを考えるとサテンリボンは両面サテンが適していると思うけれど、それだけでも選べるものは膨大にある。
さらに前回みたいにヘリンボーンだったり、グログランのリボンを組み合わせで作ろうとなった場合って、あれ、選択肢は無限大というやつなのでは……?
(後日インターネットで調べた際に手芸資材だけでなく服飾資材という選択肢も目に入り頭がくらくらした)

棚の前で頭が固まる私。とりあえず、おそらく、これとこれとこのリボンは使う、だろうというふわふわした気持ちでリボンをカゴに入れて。この時点でカゴの中はなんだかえらいことになっている。知っていますか、1,000円の買い物だとしても10個買うと10,000円になる。そんなむずかしいことはなんもわからん。
今日は造花ピンや糸とか他にも買う予定のものはあるんですよ。インド刺繍リボンも他のお店で買う予定で来ているんですよ。(それにしても糸は尋常じゃなくお買い得であった)

考えることが急に積み上がり散らばってまとまらないままで売場をうろついてた私であるけれど。ふとカゴに入れていたリボンの表面の密度を見て、これはできるのではないかと思ったものがあって。リボンを数色追加して、お会計に向かうことにした。


お友達の推し(むきむき)をふわふわにする

しばらくは、お迎えしたリボンを使ったり使わなかったりして試作を繰り返していた。ボックスプリーツはかわいいだろうか、レースの重ねはかわいいだろうか。プリーツの三段重ねはかわいい。オーガンジーをインナーカラーみたいに仕込むこともかわいい。

ネイルパーツをお迎えして、缶バッジケースをラインストーンで飾ってみたりもした。きらきらした反射で埋め尽くすことは初心者ながらに心が躍る。

そうしているうちにプリーツ三段重ねで一度、ロゼットを作りたくなって。
テールなしのごつ盛りロゼットプリーツぎっちり盛り。

インターネットを見ている分にはあまりお見かけしない形だけれど、試作を作ってみたら現物はボリューミーでかわいい。たぶん、できそうな気がする。リボン棚の前で得た直感が像を結ぶ。
三段カラーで作りたい人。ぱっと浮かぶのは、缶バッジは持っていないのだけどお友達の推しに心当たりがあり。というわけで、やってみた。

いざ尋常に

ワイドなプリーツはロゼットに厚みが出て良い。ボリュームがあるプリーツはかわいい。パニエがあるときのスカートのようなものだと思っているけど、どう言語化することが正解なんだろう。

相変わらずできる限り手縫いでやらせてもらっているので、三段目のプリーツをフェルトまでぶち抜くのはなかなか気合いが必要。音を上げて厚地用の針をお迎えしたらそれだけでも仕上がる早さが違って驚いた。
しかしそもそも、指ぬきの存在をこれを書くつい最近まで忘れていたんです。まだまだ便利にできることはたくさんある。リボンを炙ることも覚えました。

つやつやのリボンはプロレスラーのコスチュームのイメージに馴染む。自分が頭の中に持っているお友達の推しのイメージをお裁縫という手法に変換して出力して形にする時間。
ただむきむきの殿方をふわふわにするという気持ち、かわいいを作りたいという気持ち以外にも、お友達の意思は汲み取れているだろうかと考えている時間。お友達が沼に潜行していった時間のこと。足と時間をかけて全国の大会へ飛び回っていたのを見ていたこと。

フェルトについてるリボン、缶バッジの針を通す用と認識しているけれど正しいだろうか。

ところでお友達の推している殿方である遠藤哲哉さんはカブトムシやクワガタムシが大好きであると聞いている。(そういえば最新のコスチュームもふんだんにそういった要素がありましたね)
なので、カブトムシかクワガタをどうしてもロゼットに足したかった。チャームを探したのだけどうまくいかなくて、ならばとアクセサリーを探したら大当たり。無事、ロゼットの具体性というか立体感が増す。イメージカラーだけの抽象性ある作りもかわいいと思う。推しを引き立たせると言う意味ではそれも正しい。けれどその選択肢はまた別にとっておいて良い。

チャームについては後から博物館等のショップをあたるという方法も聞いてなるほどと思った。いま一番欲しいのは伊勢海老のチャーム。ロブスターならいくつか見つけたのだけど難しい。

概念で遊ぶ図
*完成*

完成した時、途中からお友達にお渡しすることを前提に作っていたけれど喜んでくれるのだろうかと不安はあった。ロゼットの用途、本当に飾るか眺めるしかない。お役に立つとはなんだろうか。
果たしてお友達の手元にあるもちもちほっぺの缶バッジと組み合わせたときに、ふわふわでかわいい感じになるのだろうか。悩みながらロゼットを郵送するなどして。

お友達は痛バッグにロゼットが仲間入りしているお写真を送ってくれた。
大切にしてくれている、ように受け取ってとても嬉しくなった。とってもかわいいね。うれしいからお写真を貼っておこう。

ヘラクレスくんと親御さんと

こうやって人の生活に自分の手をかけたものがいてくれることって、なんだかうれしいね。お友達の怪文書も貼っておこう。宣伝行為。私は彼女の書くエネルギッシュで血の湧いた文章が大好きなので。


とてもたくさんのかわいいについて

ところで同じコンセプトでこちらの推している殿方も作りたくなってしまった。なのでやってみた。

三色の選定は結構難しい。手持ちのリボンを突き合わせて、色と幅とで悩んで。試作をこさえている時に思いついたことが色々あったから、ちょっと新しいこともやりたくなって。けれどその分悩みは増えて、なかなか前に進まない。

けれど悩む時間をちゃんと作ると、ある日ぽろっと分かるようになる。進めるようになる。リボン三色これだと決めて、ロゼットを作るべく裁縫箱を出した。

いざ尋常に

フェルトをカットして、リボンをプリーツにして縫い付けて。缶バッジを取り付ける土台を刺繍リボンで作って、飾りのリボンを取り付けて。造花ピンをつけて、キーホルダーにもチャームを装着して。

突き詰めてしまえば針と糸とフェルト。そういうこと、でしかないのだけど。それでもそれを組み合わせてふわふわのかわいいを作りたい。味を占めているだけかもしれない。いやしかしこれはかわいくなるのだ、糸を通してプリーツを縫ってパーツやリボンを添えればファンシーなふわふわを作れるはずなのだ。

好きである、という思考をお裁縫という手段に託して出力して形として置いておくということ。会場に持って行ってもカバンに引っ掛けておいて、そっと写真を撮るだけで、言われなければ見せることもほとんど無いのだけど。

そもそもこの形で作ることが最適なのか、と考えることもある。
時々インターネットでロゼットのお写真を探している。作例として参考にしたくて。表現の多様さを見ていると、どれもかわいいのだ。色の合わせ方が天才、プリーツがきれい。細やかなパーツがたくさんあって華やか。
たくさんのかわいいの意思表示があるということ。作り方もコンセプトも様々の、たくさんのかわいいがあること。好きがあるということ。その熱量と努力の結集にくらくらする。

私のかわいいはどうだろうか。玉結びは少し前より上手くなった。プリーツの乱れは前より少ない。できることは増えている。飾りリボンに足をつけられるようになった。

最適かどうかは分からない。けれど、胸を張れるかわいいだろうかと聞かれると、少なくとも自分には胸が張れると思う。どれだけ気を配っていても粗はまだある、糸もよく絡まる。目も手もまだまだ育つ余地がある。
しかしむしろ自分のためのものでしかないおこないだからこそ、粗のことを愛嬌だと思える。どれだけ他に楽できれいな手段があると知っていても、手縫いでやりたい理由の一つ。

とはいえ手縫いでやったからってオタクとして何らかのスコアが高くなるわけではない。それは断じてないと思う。けれど少なくとも自分は満足する。ロゼットがこれでかわいくなると信じているから。

それにしてもセットで作るとキキララみたいな色味してるわね
*完成*

そうして完成した二つめのロゼット。とってもかわいいと思う。
(缶バッジが少し浮いてしまうのは改良点だね)

最初に作ったロゼットは花のようなかわいらしさ。色合いがやわらかで、空気をふくんでふんわりとした表情。とにかく初期衝動をぶつけたままのかわいらしさ。
このロゼットはできることが少し増えて、みっちりとかわいさを詰めた仕上がり。ぱっきりとした色合いがポップでかわいい。優劣という意識は無くて、どちらにもそれぞれのかわいさがあると思える。

接近戦や入退場時にうおでっか……と毎回思い、試合で躍動する姿を見てはうわすっご……と毎回思う、むきむきの殿方をふりふりふわふわファンシーにするおこないについて。好きである、応援していたいという気持ちを言葉では無く物体として出力するおこない。非言語のお気持ちの具現化。

縫い物しながら映画を見たり動画講座を流したりすることもあるのだけど、縫い物をすることは直接何か有益!とか教養!とか即物的な人生のスコアが豊かになったり上がるようなことでは無いとは思う。
けれど、自分のしあわせやかわいいを自分の手で生み出す方法を見つけられているのは自分のお守りになる。好きと向き合う時間、好きであることをまっすぐ見る時間。

色々な応援の形のことをかっこいいと思っている。
声援、レポ、お写真、怪文書、接近戦。その人の思いがこもったもの、精神や身体を通して発された意思というものはどのような形でも眩しい。
とてもかわいいものたちとはまた別の、お気持ちの具現化。
そういったものが集まる場だから、現地は楽しいという再認識。

これからも出来ることは何かを模索しつつ、そろそろお名前プレートとか文字・言葉を作るやつも作りたい。お裁縫も楽しいから続けたい。
無理なく楽しく、時々がんばって、自分の情熱の輪郭を確認してゆけたら。推し活とはそういうことでもあると思う時間でした。

それではまた。


●◎●おまけ●◎●

ところで最近は何らかの売店に使用するときに使えるかもしれない、何らかの伝票を作るなどしていた。よく分からないのですけど、もしグッズを買うとかそんなタイミングがあればお好きにお使いください。使った際の感想などあれば改良もできるかもしれない。

●◎●おまけ ここまで●◎●

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