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マタギの湯①

温泉日記vol.2【打当温泉 マタギの湯】

少し前の話になりますが、北秋田市阿仁町の『打当温泉 マタギの湯』に行って来ました。

車のダッシュボードに据えられたカーナビは、角館町から阿仁町まで距離が44kmあり、所要時間が1時間30分掛かることを告げていました。

「44kmで1時間30分?」
「いくら何でも掛かりすぎじゃないだろうか?」

僕の車のカーナビは古いので、いまいち信用できません。

「まぁいいや。とりあえず行ってみよう。」

結果的に言うと、カーナビは正確でした。
角館町から阿仁町に向かうには、つづら折りの急坂な山道を越えなくては行けないのです。

ちょっとしたドライブのつもりが、本格的な日帰旅行になってしまいました。

阿仁町は秋田県の内陸部に位置していて、雰囲気的には「町」というよりは、「集落」と読んだ方が正しいような感じです。

その土地の面積の96%が森林ということで、厳しくそびえ立った山々が、空を狭くしています。

日本の奥地たる「秋田県」の、そのまた奥地。まさに最深部にあたるのです。

その為、日本の昔ながらの生活が、今なお純粋に保全されており、全国的に有名なマタギがいるのも、この土地なのです

阿仁町についたのは、午後の14時。
温泉に行く前に、「道の駅あに」に立ち寄ります。

大きな木彫りの熊が出迎える建物の中を進むと、熊関連のグッズが見えてきます。「熊の油」や「熊の毛皮」、そして「熊の爪」までもお守りとして、販売されています。

そして、大きな冷蔵庫の中には、熊の肉。その他にもウサギの肉、シカやイノシシの肉などが販売されています。

先頃、世間ではジビエ料理が流行りましたが、僕は正直言うと、それらの肉をお土産に買って帰りたいとは思えなかったですね。

それは、まさに一つの生から切り取られた命の塊のように見えたのです。

(つづく)

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