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民法ー一般の先取特権

先取特権・・・民法その他の法律に従い、その債務者の財産について、
の債権者に優先して
自己の債権の弁済を受けることができる法定担保物権
(民法第303条)


2024,1.28

今日の朝刊 「養育費の不払い対策 議論大詰め
      合意なくても一定額差し押さえを容易に
      通常国会へ法案提出目指す 」の見出し
  父母間の取り決めがなくても 一定額を請求できる「法定養育費」や
  養育費を払わない人への差し押さえを、し易くする制度の関連法案の
  提出を政府は目指す。
  養育費は「覚書」など当事者間の私文書で取り決めるケースが少なく
  ないため差し押さえをするには、裁判所に調停や訴訟を起こす必要
  ある。
  そのため、ほかの債権より優先的に請求できる「先取特権」を与える
  方向で検討中。
  先取特権を認めれば、調停などを経なくても、一般的な子供の生活に
  必要な金額に限り、給与などを差し押さえることができるようになる。
  と、記事には書いてある。

そこで、今回は一般の先取特権についての学習をしたい。
 先取特権には、①一般の先取特権、②特別な先取特権(動産の先取特権、不動産の先取特権)がある。
 一般の先取特権者は、債務者の総財産を目的として、他の一般債権者に優先する地位を有する。
 特別な先取特権者は、目的である特定の動産、または、特定の不動産について、一定の順位に従って他の債権者に優先する地位を有する。

1.一般の先取特権
 一般の先取特権は、債務者の総財産について、どの財産に強制執行がされたとしても、配当において一般債権者には優先する。
 一般債権者(乙さん)は、公文書である確定した判決書(甲は乙に対して金何万円を支払え)などの=債務名義を持っていれば、債務者(甲さん)のどの財産に対しても強制執行をすることができる。
 強制執行をしかけた一般債権者(乙さん)以外の債権者も、一定の要件を満たすと強制執行の手続に参加して配当を受けたいという配当要求の申立てをすることができる。
 一般の先取特権者(Aさん)は、債務者(甲さん)のどの財産に対して強制執行がされた場合でも、配当要求をすることができ、一般債権者(乙さん等)よりも優先して弁済を受けられる。
 一般の先取特権者(Aさん)は、一般の先取特権の実行として競売申立てをすることもでき、一般債権者(乙さん等)よりも優先して弁済を受けられる。
 不動産を目的にしても、一般の先取特権の登記がなくとも、一般債権者に対抗できる強い効力がある。

上記のように強い効力があるので、一般の先取特権によって担保される債権は、その性質が特に保護されるものであって、債権額の比較的少額なものに限定される。

2.民法が定める一般の先取特権
 ① 共益の費用の先取特権(総債権者の共同利益のために支出された費用)
 ② 雇用関係の先取特権(未払い給与等)
 ③ 葬祭費用の先取特権(お葬式代金等)
 ④ 日用品供給の先取特権(日用品、光熱費の代金等)
①~④の先取特権者が互いに競合する場合は、①が第1順位②第2順位・・・④第4順位の順番となる。

3.一般の先取特権の行使についての制限
一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、不足がある場合でなければ不動産から弁済を受けることができない。また、不動産については、まずは抵当権等の特別担保の目的となっていないものから弁済を受けなければならない。 

4.一般の先取特権の対抗力
 一般の先取特権は、債務者の総財産を目的とするものなので、債務者の不動産上にも成立する。不動産物権変動の一般原則からすれば、登記をしなければ第三者に対抗できないはずであるが、一般の先取特権者は不動産についても登記がなくても、抵当権等の特別担保を有していない債権者には対抗することができる。(債権額は比較的少額であるから、登記がなくとも他の一般債権者を害する恐れがないであろう理由で認められた)
一般の先取特権者に与えられる対抗力に関する保護も、登記をした第三者に対する関係では及ばない。第三者には、特別の先取特権者、質権者、抵当権者、第三取得者である。登記のない一般の先取特権者は、これらの第三者に対しては先取特権を行うことはできない。

はたして、先の記事の「養育費の先取特権」は実現するのだろうか。

今回も、noteに書いてみて、大分、頭の整理ができました。感謝


 





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