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25年前のエラーに思う。

うちの夫は色覚特性を持っています(色弱です)。
だから、なんだ?って話なんですが、ふと「あ、感じ方が違うんだ」と思うことがある。
どんより曇り空の時に「太陽が眩しい」と言ったり、紫と水色の区別が曖昧だったり。色の感覚がちょっと独特だったり。私だって、どこまで見えていて、感じられているのかわからないけれど、ともかく夫と私は世界の見え方が少し違う。

先日、小学校時代の友人数人と飲む機会があった。小学校といっても、私は小学五年生の時に転入してきた身なのでそこまで思い出を共有しているわけではないのだけど、夫も同級生なので(飲み会の日夫は家で子供達とお留守番してました)ちょいちょい夫のことが話題にのぼる。
その日は少年野球をやっていた夫が平凡なファーストフライをエラーした時のことを友達が話してくれた。
「あいつベンチ戻った時に太陽が眩しくて落としたって言うんだよ。全然太陽でてないのに。」
その場にいた皆が笑った。

私は小学生時代の夫を思ってなんだか切ない気持ちになった。きっと本当に眩しかったに違いない。
「ああ。彼は色弱なの、本当に眩しかったんだと思うよ」
フォローとも言い訳ともつかない言葉を発して、一瞬盛り上がった話題をくしゃくしゃに丸めてポイっと捨てた。
私の自己満足にしかならないかもしれないけど、平凡なフライをエラーしてしまった少年を25年ぶりに救えた気がした。

おわり。

#夫 #色覚特性 #野球 #野球少年

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