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新規事業に携わって実感した、ビジョンの存在意義

amiのもり(@atsukomr3)です。

わたしはこの1年、スタートアップデータベース「entrepedia」、起業家とサポーターがつながるライブアプリ「ami」に携わりました。その中で、ミッション・ビジョン・バリューに関する学びがもっとも実感できたことでした。それを備忘として残します。

本noteでは以下について簡単にまとめています。

・ミッション・ビジョン・バリューの定義
・ビジョンを自分ごと化するまで
・ビジョンを自分ごと化して得られたメリット
・これからの課題

ミッション・ビジョン・バリューの定義

以降に登場するミッション・ビジョン・バリューは下図をイメージしています。

出所)リクルートマネジメントソリューションズ「IT Management Journey vol.5ミッション・ビジョン・バリューをどうやって浸透させるのか?」

前提として、わたしは今年1月からユーザベース(以下UB)子会社であるジャパンベンチャーリサーチ(以下、JVR)へ異動しています。組織の規模は移動時点で雇用形態に関わらず15名前後です。JVRは2017年にUBに買収され、グループの中で新規事業の位置づけでした。

異動前は、ユーザベースのSPEEDAに所属していました。SPEEDAの組織規模は日本だけで雇用形態に関わらず100名超でした。

ミッションとバリューはGr共通のものに対して、UBとJVRの違いはビジョンです。前述の図にJVR着任時(2018年1月1日)の具体的な状況を当てはめると下記になります。

2017年、JVRはPMIがメインでした。2017年後半に当時の所属メンバー全員でこのビジョンを決めています。(PMIについてはこちらでも触れています

したがって、わたしはこのビジョン策定には関わっていません。異動の話をしたタイミングがJVRのビジョン策定の時期と重なっていたため、採用面談でされる「うちはこういうビジョン目指してるけど、大丈夫?」のようなやりとりも発生しませんでした。

そのような中でも異動できた理由を振り返ると「明るい(?)アナリスト」と「データ好き」の需給の一致もあったと思います。でも、それよりも解像度は粗いものの、自分なりの仮説を持ちビジョンを自分ごと化できていたのことが大きかったように思えます。

(写真:JVR年始のお参り。なんかみんな顔ちがう・・・?)

ビジョンを自分ごと化するまで

わたしは2017年後半からSPEEDA所属のアナリストとして、JVRのレポート執筆作業を委託していました。

わたしが担当したのは、スタートアップに明るかったからではありません。むしろ弱い。当時、SPEEDAのアナリストチームへ異動直後で特段の役割がついていなかったこと、時系列データのレポートを書きたいと言い続けていたことが理由としてあげられます。

担当にアサインされたはいいものの、スタートアップは全くの未知の領域でした。なんの単語を検索すべきかも土地勘がなかったため、リサーチは論文検索から入り、大学図書館などをあたりました。体系的な理解を得られることを期待して。

そこでわかったことは、日本の事例はほとんど網羅的な定量分析がなされていなかったことでした。他方、米国の先行研究では、そういった網羅的なデータに加えて、アンケート調査を用いた分析も進んでいる印象をうけました。

参考文献についても体系だったものは少なく、主たる情報源はインターネット上での記事や実際にスタートアップ業界にいる人からの伝聞であることもわかりました。

(写真:夏のami合宿時。昼間から酒を飲む証拠を押さえた)

状況は理解できた。しかし、出稿期日は迫ってくる。さて、どうしたものかと困った記憶があります。

ここで、はたと気付いたことがありました。わたしで困るのならば、スタートアップで挑戦する、あるいはしたい人はもっと困っているのではないかと。

なぜ、このような状況なのか。スタートアップ業界は「業界」というくくりでみられることもありますが、一般的な「業界」とは少し異なります。共通してることはその成長スピードや文化などで、サービス業種は多様です。そして、この界隈は流動性が高いため、ナレッジが貯まりにくいこともあるでしょう。

でも、それにしてもとても情報が偏っていると感覚的に思いました。そして、この偏りはファクトベースでの共通認識がないからかもとも。

社会にある課題を解決するため、ただでさえリスクの高いことに挑戦している人たちに情報格差がこんなにもあっていいのか。

もう少しこれが解消されれば、革新的なサービスや企業が生まれ、日本が世界が前進するんじゃないか。謎にワールドワイドな仮説を持ちました。

当時のわたしの研究テーマが「情報開示が資本コスト(ダウンサイドリスク)へ与える影響」だったことも影響していたしていたかもしれません。

(写真:amiリリース後はじめてのユーザー会)

そして、それに必要な武器が手元にあってしまった。そう、entrepediaのスタートアップファイナンスデータです。entrepediaだとなんかやれちゃいそう。そう思ったら、やるしかない。使命感が途端に湧き出し、それを代表に話して異動するに至りました。

使命感を持った背景に、前職で融資判断の形で経営者の方々と接していました。その中で経営の厳しさを目の当たりにしていたこともあるでしょう。

アナリストとしての実務経験もなければ、期待されるような分析力も全くありませんでしたが、使命感を買ってもらったかんじでしょうか。直前にシステム導入をやりきって、少し信頼をもらえていたことも後押ししたかもしれません。

幸運だったことは、わたしの謎仮説とモチベーションが結果的に策定されたビジョンと大きく離れていなかったことです。

ビジョンを自分ごと化して得られたメリット

この「自分がやる理由」を持てたのは、その後のパフォーマンスにも大きく影響したと思います。

JVRへ異動後は、データの希少性から、文字通りいろんな人が目にし、あらゆる意志決定に使用される資金調達レポートのリリースや「スタートアップをファクトで知ってる人」という前提での取材やプレゼンの依頼。

すべてこれまでやったことがない領域・業務。めちゃ面白かったと同時にプレッシャーにやられて口癖は「やばい」と「お腹痛い」。

それから、「でもなんかできそう」。

(写真:amiリリース後、Techableさんにとり上げていただいた用にオフィスで)

折れそうだったけど、折れずにどんどん前進しようと思えたのは、チームをはじめとして周りの支えがあったことは言うまでもなく、やっぱり「なんかやれそう」という未来への想いだと思います。

また、わたしは自分だけではさばけない量の仕事をどんどんつくりだしては、「1人ではできない!」と騒いでチームや役職関係なく周りの人にやってもらう迷惑なタイプです。

でも、その増やした仕事が全部未来の「なんかやれそう」に繋がってる理由を話すと、同じくビジョン共感度の高いメンバー(ビジョンを自分たちでつくっているメンバーなので共感度が高い)はそれに対して嫌な顔をせず「どうしたらできるか」を一緒に考えて取り組んでくれる。この好循環があったから、成果に繋げられた。

これは、先行研究にもあるみたいですね。

出所)リクルートマネジメントソリューションズ「IT Management Journey vol.5ミッション・ビジョン・バリューをどうやって浸透させるのか?」

それに加えて、周りのみんなが進んで一緒にやってくれた要因としてもう一つ大きいものはバリュー。目標に対して実際の行動基準は違うんです。UBGrには「7つのルール」というバリューあり、それを徹底しています。仕事でのミスは怒られないけど、7つのルール違反は怒られるし、怒る。

この行動基準が浸透しているから、たとえ状況が違う者同士であっても、細かい目線合わせのコミュニケーションぬきで通じる。だから、安心して全力疾走できる。これは本当に大きかった。まじ創業者たちに感謝。

挑戦しようと思うには、安心感がある程度ないと没頭できないし、チームの不安定に繋がる。ビジョンでゴールを定め、バリューで走り方のベクトルをそろえる。これを解像度高く自分の言葉で話せるようになったことは大きな収穫でした。

(写真:JVR12月の合宿時)

これからの課題

今年、JVRは増員しチームが拡大しました。来年も新しいメンバーが増えていくでしょう。それは、ビジョン策定に関わってないメンバーがチームに占める割合が高くなることを意味します。

その中でこれまでのように、組織が高いコミュニケーション水準を維持できるか。そして、各自が高いパフォーマンスを発揮するために、モチベーションをあげられるか。その源泉である、各自がビジョンを自分ごととして捉えられるかが次の課題です。

マズローも自己超越を想定していたらしいです。

出所)リクルートマネジメントソリューションズ「IT Management Journey vol.4個人の意欲をどのように高め、組織の力に転換していくか?」

行動とパフォーマンスの部分はOKRなどでみていける(承認もできる)思いますが、ビジョンの部分はビジョンを自分の言葉で話せる人を増やすくらいしか思いついていません。

そのためには、話せる人が普段から言い続けて内省のきっかけを生み出すことや、当事者にならないとわからないことも多いので任せてみる。役割はどんどん変えて視点を増やす。

そして、それに対して個々のキャリアを結び付けられるように、仕事のほうをデザインしカスタマイズしていけるかが来年の課題です。

「~しなければならない」や管理といったことが自分は大嫌いなので、仕事にフィットしてもらいたい。反対に、仕事や役割に縛られて組織が停滞するほうが怖い。

なので、自分が興味ある「直感」を解像度高く話すことや、周囲もそういったことが自発的になされるような環境を仕組みをつくっていくことが目標。

そして、自分たちも成長しつつ、今年はユーザーのみなさんに助けられる場面が圧倒的に多かったので、来年、挑戦する勇気と機会を生み出せる強いプラットフォームをつくることを進めたい思います。

(写真:年末のJVR合宿。ストレングスファインダーでの相互理解やりました)

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amiをなんでやってるかは下記記事もご覧ください


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