生まれる

わたしは父親と一度も暮らしたことがない。婚外子なわけではない。ただ、父親と母親が別居中に生まれた子どもだ。父親は元々浮気性な夫で、母を何度も裏切って浮気をしていたらしい。そして、愛人と一緒に暮らすために子ども3人と母親を置いて出て行ったのだ。だがわたしができた…。母が言うには、何ヶ月ぶりに父親が帰って来て「元気そうだ」と言って母を抱いたらしい。要はSEXしたわけだ。そして、わたしを身籠った。母は40歳近くで妊娠。当時は“40の恥かきっ子”と言われるくらい高齢出産は恥ずかしいもので、既に3人子どもを産んでいた為、周りに降ろせと言われたらしい。母は熱心な宗教家でその宗教では堕胎を赦してはいない。それと母はわたしを産めば夫が戻るかもと思ったのかもしれない。妊娠43週目(通常40週までで出産)4,000g越え(通常3,000g前後)逆子で自然分娩(現在では逆子は帝王切開で出産が基本)という悪条件の中、丸一日以上かけて生まれてきた。当時エコーでの性別判定もなく、母が言うには「逆子だったから女の子だということがわかった。だから頑張れた。男の子だったら、力尽きてたかも。」と笑いながら言っていた。既にいる子どもは男子3人で念願の女子だったのだろう。「ピンク色の大福餅みたいにおへちゃ(不細工)でどうしようかと思った。」と母は言っていた。

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