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俺らは1993。

悔しかった。悔しかったんだ。ほとんど同じ時間を生きてきたのにこれだけ人生が違う。輝き方が違う。これからどうしていくかちゃんとわかってる。そんな目をしていた。負けたんだ。全てをぶつけたつもりだった。でもまだまだ足りなかった。足りなかったとか言うもんじゃなかった。

貪った駅弁にやまない耳鳴り。視点が定まらない。長崎に向かうかもめは定刻通りの運行だ。眠りにつくものもいればスマートフォンに入り込むものもいる。彼ら一人一人が何を思っているのか、そんなことを知る由もないが、せめてこいつらくらいには負けてやるものかとそんなしょうもない思いが芽生える。負けず嫌いな心が燃えている。そもそも何で戦ってるんだとも思うが、今は戦いたくてしょうがないのかもしれない。

かけられた一言一言、かき鳴らされた音、笑顔、何かを秘めたその声。失敗した、間違った、あえて間違った、そんな経験が積み重なったそんな時間。真っ向勝負、憧れ、友達。そんな誇らしい存在に泣かされそうになる瞬間もあった。

悔しかったんだ。まだまだだった。こんな生き方してたらずっと負けたままだ。逃げてきたんだと思う。進むべき道や志した道。ギリギリのところで踏ん張ってギリギリの生き方をしてる。それで良かったのかと問われれば今こうやってもう一度戦おうと思えているし良かったのかもしれない。悔しい。悔しくて死にそう。同い年、生きてきた時間はほとんど変わらないのに。あんなもの目の前で見せつけられたらやってられん。悔しい。言葉が出てこない。なんで頑張らなかったんだ。なんで頑張れなかったんだ。悔しい。

悔しい。人間として負けた気がする。勝ち負けがないのは知ってるけど。でも。あいつらが歩んだ道と私が歩んだ道、何が違ったんだ。私だってそれなりの修羅場をくぐってきた自負はある。ただやっぱり逃げたからなのか。どこかで自分の知らないうちに逃げ続けたからだろうか。その逃げ癖が私をこちら側に導いたのだろうか。悔しい。悔しくて死にそうなんだ。毎日毎日少しずつ頑張っているつもりだった。でもそれが何になっていたというのだ。それが本当にお前が欲したものだったのか。これからの戦いに必要なものなのか。必要だとして、もっと大切なものはないのか。悔しいだろう?ああ、死にたいくらいには悔しい。

とりあえずリベンジのチャンスがある。あいつらだって必死なんだ。こっちも必死にならなきゃ置いてかれる。今は追いかけないといけないかもしれない。でもいつかは、ちゃんと対等に、ちゃんと勝負をしたい。

俺らならやれる。
ずっと一緒に歳を取っていく友達、そう、俺らは1993。

にゃーん。