挨拶〔二次創作major〕

どっ
どうもお義父さん

大柄の男が俺に会釈する。
いや深々。
大リーガー。
たった一人でアメリカで、人気ピッチャーに上り詰めた男。
聖秀に野球部をつくり、強くした男。
娘に野球を教え、息子の性根を変えてくれた男…

でもこれだけは、これだけは言わんと!

と思い詰めていたらつい手がでて、拳骨を一発お見舞いしていた。

あなた!

お父さん!

茂野吾郎は吹っ飛びもせず、きょとんと俺を見返している。
厚い胸板、張った腿。
これが俺の娘を抱くのだこれからずっと…

いや。

小学校の頃、その剛速球を娘に、
よくも娘に受けさせてくれたな、とね

あ。

茂野の顔が奇妙にゆがんだ。
いきなりわっと土下座した。

ガキでした!
考えなしでした!

そんな昔のこと!

薫が真っ赤になって抗議する。

ちげーよ薫。
お父さんの言うことは正しい。
硬球がどんなに危険かちゃんとわかってるはずなのに、俺って昔から…なあ。


しょげる茂野君をみて合格だと思った。

殴って悪かったね。
さ、当初の目的を果たしなさい

茂野君は顔を真っ赤にして、今その一言を俺に言うのだ。

「娘さんを…」

それでも地球は回っている