吉田アミ

前衛家・文筆家・即興演奏家。超高音ハウリング・ヴォイスの第一人者。2003年アルスエレクトロニカ・デジタル・ミュージック部門ゴールデンニカ受賞。仕事の依頼はお気軽に!

夏の泉

榎本櫻湖

演劇というものが、生身の肉体や空間への異議申したてであるとしたら。この嫌悪すべきぶざまなからだを否定しつくすための営みであり、そうしてさえ消尽することのない、なかば熱をすって融けた氷枕のようなそれを手に提げ、悪罵されることも厭わずに捧げつづけることそのものを指すとしたら。そうであれば、肯定できないにしても、幾許かは自傷することの悦びを抑えられたかもしれぬのに、と悔やむものもいるのだろう

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「サマースプリング」公演に寄せて 立川貴一

三野くんとはじめて一緒につくった作品は、サミュエル・ベケットの「film」を原案とし、彼が演出した「Prepared for Film」という演劇だった。

論文のような文章の大群、そこに多少の台詞がある、それが当時の彼の台本だった。

「これは、犬です」
「これは、猫です」
「これは、花です」
「これは、鳥かごです」
「これは、オウムです」
「これは、カーテンです」
「これは、窓です」

犬なら

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「あしたのあたし」トークゲスト:細馬宏通

2018年11月3日に三鷹SCOOLにて行われたワークインプログレス公演「あしたのあたし」。ゲストに細馬宏通さんお招きしたアフタートークの模様を(ほぼ)ノーカットでお届けします。

■部屋に散らばったビーズを集める時は裸足になると足の裏にビーズを感じることができて集めやすい

吉田アミ(以下アミ)よろしくお願いします。

細馬宏通(以下細馬) はい。

アミ この部屋にようこそ。

細馬 この部屋

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【レビュー】「あしたのあたし」大谷能生(音楽/批評家)

大谷能生による、本公演に向けての応援レビューです。ありがとうございます!

 九〇年代から〇〇年代にかけて世界的なムーヴメントとなった、いわゆる「音響」的音楽のオリジネイターのひとりであり(2003年アルスエレクトロニカ・デジタル・ミュージック部門ゴールデンニカ受賞)、また、「サマースプリング」(太田出版)などの著作で作家としても活躍する吉田アミは、近年、舞台芸術の分野において独自の創作活動をここ

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世の中の迷いごとはだいたいお金で解決できる

「入院することになった」「お金は貸せないよ!」と、即答で言われたのはいい思い出です。

 いい思い出なわけあるか。

 金で解決できると言うとひじょうに性格の悪い人に思われるかも知れないが、解決できないことのほうが実際には少ないと思う。だとすれば金を工面すればいいだけで、まあ、それはなんとかなるんじゃないのかとは思う。そこでいきなり命を獲られるわけでなし。なんともならない。生きるか死ぬかそれが問題

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途絶えてしまったものがある

ワッツタワーズの111に今年も行った。いや、去年、行ったのかなあ。ちょっと覚えていない。わりと毎回、泣いてしまうのだが今年はやけに沁みすぎて、財布に入っていたお金をぜんぶ投げ銭に入れて、帰りはわんわん泣きながら家まで歩いて帰ったのだった。