HiDPIディスプレイのすヽめ

【転載】この記事は、2017年4月16日にMediumにて公開した記事です。文脈を整えるため一部加筆修正を行なっています。内容は当時のものであり、現状と異なる可能性があります。

皆さんは、普段どんなディスプレイと向かっているだろうか。スマートフォンの普及で高DPIのディスプレイに向かうことが多くなった今、PC向けディスプレイはあまりにも粗過ぎないだろうか。

1.標準的なDPI

Windowsが想定していたのは96dpiだった。まぁ、おおよそ100dpiと認識してもらって構わない。1985年の初代Windows発売から、この値は変わっていない。一応高DPI向けの改良もされているが、どうにも上手くはない気がする。

現状販売されているデスクトップ・ディスプレイ(以下「ディスプレイ」は特記のない限りこれを指すものとする)のほとんどはフルHD(1920*1080)だ。100dpiというと、21.5インチあたりが該当する(96dpiだと23インチ)。30インチを越えると大画面の域に突入するが、その少し下の27〜28インチでも80dpiしかない。

2.Retina革命

超高DPIディスプレイの歴史は、私の記憶する限り"iPhone 4"に始まる。どこで読んだかは忘れてしまったが、漢字圏の文字を綺麗に読めるように表示するには200dpiほどが必要らしい。それまでのiPhoneは3.5インチHalf VGA(320*480)液晶で、169dpiだった。それでも高く見えるが、スマートフォンは操作する際に目との距離が必然的に近くなるため、粗かった。iPhone 4では"Retinaディスプレイ"が開発され、以降iPhoneのDPIは326dpi以上で維持されている(大型モデルを除く)。対抗馬として期待され、今尚(唯一)立ち向かうAndroidも超高DPIディスプレイで追従し、デファクトスタンダードとして成り立った。

AppleはMacにもRetinaディスプレイを搭載した。私はこれを革新的・革命的だと思った。スマホをはじめとするスマートデバイスに慣らされた目には素晴らしいものに映った。220(15')/227(13')dpiと、必要十分なDPIを備えたPCは、Macのその操作性も相まってかつてないほどの快適な作業を実現した。

3.それはPCでも

スマートフォンでAndroid他が追従したように、PCでもWindowsが追従している。Macのように"Great!"とは言えないが。

技術革新の進行により、4Kディスプレイも低価格化が進んでいる。そのうち4K・8Kスーパーハイビジョン放送の開始によってさらなる低価格化や普及も見える。そんな今だからこそ、HiDPIディスプレイの導入を勧めたい。

4.快適さの理由

他の理由を紹介しよう。ディスプレイと見え方の話だ。
私が21.5インチのFHDディスプレイを使っていてフラストレーションが溜まったのは、超高DPIに慣らされた目にはあまりにも低いDPIによるジャギー…ではなく、縦横無尽に走る、細かい「網目」だった。ドットを区切る細い線が、PCを扱う距離ですら邪魔に思えた。これはOSの改良やフォントの開発でどうにかできる話ではない。要は新しくHWを入れる必要があった。
高いDPIになってくると、ドットピッチが詰まってくる。そこに区切り線を入れるスペースが無くなってくる。必然的に「網目」が見えにくくなっていく。

5.私のケース

私はJAPANNEXT JN-IPS320UHDを導入した。32インチの4K(3840*2160)ディスプレイだ。解像度は4Kだが、32インチともなると、たったの(?)138dpiしかなくなる。だが、期待していた効果は明らかにあった。

Windows 10の(Creators Updateで更に進化した)DPIスケーリングは、4Kディスプレイとの組み合わせで、確かに目への疲労を減らした。視界を遮る「網目」が近づかないと見えにくい。DPIを高め、更にスケーリングで大きくして擬似的に超高DPIに近い快適さを実現している。

だが、「網目」が完全に見えない訳ではないので、RetinaなMacでの使用には少し粗く感じるかもしれない。23.8インチあたりだと、185dpiまで上がるので多少は解消されるだろう。

6.まとめ

スマートフォンに慣れ、PCから遠のいてしまった人にこそ、ぜひHiDPIディスプレイを勧めたい。その快適さは、PCでも実現できるのだ、と。

参考リンク


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