見出し画像

【誰も教えてくれないメニュー開発】季節限定ドリンクメニューのポイント①

どうも、カフェ業界一筋、あもむむ。です。

今回はドリンクの季節限定メニューについて、独断と偏見を交えつつ述べていこうと思います。

季節限定のドリンクメニューの作り方のヒントや、考え方などを色々盛り込みましたので、
絶賛カフェ起業中の方やカフェ好きの方などのお役に立てましたら嬉しいです。



カフェチェーンのメニューは時代を映す鏡

私はライフワークの1つに、カフェチェーンの季節限定ドリンクを調査する、というものがある。
新卒でカフェチェーン会社に入社したのち、独立し自営店にて日々メニュー開発に勤しんでいた結果、
純粋な客目線というよりは、メニュー開発者目線でチェックするようになった、いわば職業病だ。

なぜ、カフェチェーンのドリンクに着目するのか。
それは、一言でいうと、チェーンは、その時々のカフェ利用人口に対する「おおよそ万人ウケ」を狙ったメニューを作っているから。
(たとえば、あまりにトガったメニューは個人店なら良いかもしれないが、チェーンでは平均的に売れにくいため適さない。)

「メニュー開発部署」を構え、味はもちろんのこと、
非日常感や話題性、世の中の流行、人々が今、気になっている食材やキーワードなど、あらゆる要素を「バランスよく」注ぎ込んだ、ある種、時代を映す鏡なのだ。

メニュー開発する際は、カフェチェーンのメニューこそ、ぜひ参考にされたい。
全体の共通点や傾向、また逆に各チェーンのテイストが浮き彫りになるなど、色々と見えてきて、それもまた面白い。

今回は、全体的に見られる傾向などから、季節限定メニューの開発のヒントを私なりに分析してみようと思う。

ちなみに、
今日でクリスマスメニュー終わりやないかい!!!!というツッコミは受け付けていないので悪しからず。
あくまでチェーンカフェのメニューからの読み取り方の例、ということで参考にしていただければと。

私の行動範囲内にはなるが、街中でよく見かけるチェーンカフェの今季シーズナルメニュー名、価格、販売期間はこんな感じだった。(カフェ店舗数が多い順)


<スターバックスコーヒー>
メルティホワイト ピスタチオ フラペチーノ Tall:700円/2023.11.29〜22023.12.25
メルティホワイト ピスタチオ モカ(ホット/アイス)Short:550円、Tall:590円、Grande:635円、Venti:680円/2023.11.29〜2023.12.25
ジンジャーブレッド ラテ(ホット/アイス)Short:540円、Tall:580円、Grande:625円、Venti:671円/2023.11.29〜2023.12.25
ジョイフルメドレー ティー ラテ(ホット/アイス)Short:460円、Tall:500円、Grande:545円、Venti:590円/2023.11.1〜2023.12.25
クリームブリュレ ラテ(ホット/アイス))Short:550円、Tall:590円、Grande:635円、Venti:680円/2023.11.1〜2023.12.25

<ドトール>
京都府産一番茶使用 濃い贅沢ほうじ茶ラテ(ホット/アイス)S:580円、M:630円、L:680円
京都府産一番茶使用 濃い贅沢抹茶ラテ(ホット/アイス)S:580円、M:630円、L:680円

<コメダ珈琲店>
つぶつぶいちごミルク(アイスのみ)650〜890円(店舗による)/2023.12.1〜2024.1月下旬

<タリーズコーヒー>
アイリッシュ ラテ(ホット/アイス)Short:550円、Tall:605円、Grande:660円/2023.11.22〜
&TEA 苺ミルフィーユロイヤルミルクティー(ホット/アイス)Short:575円、Tall:630円、Grande:685円/2023.11.22〜
ホリデー苺チョコリスタ Short:640円、Tall:695円/2023.11.22〜

<サンマルクカフェ>
Happy Christmas 濃厚ピスタチオのリースラテ(ホットのみ)S:590円/2023.12.1〜2023.12.25
真っ赤なお鼻のトナカイメープルスムージー S:640円/2023.12.1〜2023.12.25

<プロント>
バタースコッチカフェラテ(ホット/アイス)ホットR:473円、ホットL:561円、アイスはワンサイズのみ:539円

<星乃珈琲店>
あこがれのブルーマウンテンブレンド(ホットのみ)550円〜700円くらい(店舗による。公式HPに掲載なし。)/2023.12.1〜

<カフェ・ド・クリエ>
とろけるチーズのクリーミーモカ 580円〜 /2023.12.6〜

<カフェ・ベローチェ>
ホワイトチョコラテ〜香るオレンジ〜 480円〜/2023.12.7〜2024.2.29

<エクセルシオールカフェ>
ハニーラテ(ホット/アイス)670円〜/2023.11.16〜
ピスタチオハニーラテ(ホットのみ)690円〜/2023.11.16〜

<上島珈琲店>
ジンジャーチャイ(ホット/アイス(+20円)2023.11.16〜2024.1月中旬
ラムレーズンミルク珈琲(ホットのみ)R:700円、L:820円/2023.10.11〜2024.1月中旬
金胡麻ミルク珈琲(ホット/アイス)R:730円、L:850円/2023.10.11〜2024.1月中旬

※価格は全て税込店内価格。

ホリデー期間ということもあって、各ブランド、力を注いできている印象だ。
では、ここからどのようなことを参考にすれば良いのか。


①フレーバーから、人気の傾向を読む。

ここで、ざっと見渡すと大体のフレーバー傾向が見えてくる。


*1 ピスタチオ(スターバックスコーヒー、サンマルクカフェ、エクセルシオールカフェ)
*2 苺(タリーズコーヒー、コメダ珈琲店)
*3 チャイ、スパイス系(スターバックスコーヒー、上島珈琲店)
*4 キャラメル、メープルなどのコッテリソース系(スターバックスコーヒー、タリーズコーヒー、サンマルクカフェ、プロント)
*5 抹茶、ほうじ茶(ドトールコーヒー)
*6 その他(星乃珈琲店(ブルーマウンテン。フレーバーというか、珈琲豆)、カフェ・ド・クリエ(チーズ)、カフェ・ベローチェ(ホワイトチョコ&オレンジ)、上島珈琲店(ラムレーズン、金胡麻))

今回、注目すべきは「ピスタチオ」フレーバーかと。

ここ数年で、日本のカフェ・スイーツ人口内でじわじわ認知度を上げ、今や人気フレーバーとなったこの「ピスタチオ」フレーバー。
「ナッツの女王」と呼び名高いピスタチオだが、どんな味?と聞かれて具体的に答えられる日本人はどれだけいるのだろうか。。

よっぽどのナッツ好きや食の世界に深い興味をお持ちの方はともかく、
大体の方は「なんとなく響きがオシャレ」「色が綺麗」「コクがあって美味しい」といったところだろうか。

それでも、とにかく現代のカフェ人口にとって「ピスタチオ」は好印象、人気の食材・キーワードであることは間違いなさそうである。

そこで、実際に3ブランド飲み比べてみたところ、まさに三者三様!
そこから得られた発見や考察などは、今回長くなりそうなので、
こちらは次回記事にてあらためてお話しすることにする。

ピスタチオフレーバーや今後人気のフレーバーをドリンクメニュー開発に使いたい方など、ぜひご参考までに。


②ブランドの特色(ターゲット層)に合わせたメニューづくりを考える。

また、
各ブランドごとの特色も見えてくると思う。
たとえば、

スターバックスコーヒーのメニュー展開の豊富さ(*1、*3、*4のフレーバーを網羅、コーヒー・紅茶のメニューどちらも用意)
バラエティー豊かなメニューづくり、幅広い層に向けたメニュー展開。


タリーズコーヒーは毎回、コーヒー、紅茶どちらもシーズナルメニューを用意している。甘さ、見た目、ともに控えめ。
紅茶にも力を入れていることのアピール、大人の客層にもウケやすいメニューづくり。

タリーズコーヒー「アイリッシュラテ」
タリーズコーヒー「&Tea 苺ミルフィーユロイヤルミルクティー」



サンマルクカフェの分かりやすく見た目に力を入れたメニュー
→いわゆる「映え」メニューで若い客層にウケやすいメニューづくり。

サンマルクカフェ「Happy  Christmas 濃厚ピスタチオのリースラテ」
サンマルクカフェ「真っ赤なお鼻のトナカイメープルスムージー」



上島珈琲店カフェ・ド・クリエなどのオリジナリティのあるメニュー
→シーズナルメニュー目当ての新規顧客獲得が期待できる。
しかも、毎回この方向性でメニュー開発をすることにより、「シーズナルメニューのリピーター」を増やせる。

星乃珈琲店のコーヒー豆で季節感を出すメニュー
珈琲の専門店として印象づけられる。

など。

それぞれのブランドイメージに合わせたメニュー開発が必要であり、見た目、味、トッピング・・・など、どこをとってみても各社特色が出たメニュー展開となっている。

そして、これはメニュー開発の際とても重要なことで、「お客様がどういったものを求めているか」、このニーズに沿ったものでないといけない。
たとえば、星乃珈琲店でサンマルクカフェのような「映え重視」のかわいいクリスマスラテを売り出したとしたら、おそらくコケてしまうだろう。

ちなみに、ドトールコーヒーは今回、クリスマスメニューを作らず、「抹茶ラテ、ほうじ茶ラテ」のみと、ある種振り切っている。
これについては次項で考察する。


③販売期間を考慮する。

先ほどの、ドトールコーヒーが今回、季節限定メニューを「抹茶ラテ、ほうじ茶ラテ」にしたというのは、
クリスマスをあえてスルーして、その先のお正月を見越したメニューにした、と考えて良いのではないだろうか。

こうするメリットとして、販売期間が長く設けられる、ということが挙げられるだろう。

ピスタチオやジンジャーブレッドなど、クリスマスを連想せざるを得ないメニューは、販売がやはりどうしてもイベント終了と同時に強制終了となってしまう。
その点、その先の1月、2月まで「冬」という括りで売り出せるフレーバーであれば、より長い期間、季節限定メニューとして稼働してもらえるのだ。
これは材料のランニングコストや、アルバイトなどに教える労力などを考えてもメリットがある。

また、抹茶、ほうじ茶系は以前から日本人にも支持されており、通常メニューに劣らず人気の「安心メニュー」である。
さらに、リピーターも見込めるとなれば、長く置いてもメリットの多いメニューと言えるだろう。

ちなみに、他にも「冬」という括りで活躍してくれるメニューがある。
例として、カフェ・ベローチェのドリンクでも使われている「ホワイトチョコレート」だ。
事実、こちらも販売期間を2023.12.7〜2024.2.29と、かなり長めに予定している。

このように、シーズナルメニューを考える際に、販売期間を考慮する、というのも一つの手ということであろう。


おわりに

まだまだ他にも、味の基準や、トッピングのバリエーションや材料、ネーミングや価格帯など、チェーンカフェのメニューの作り方から学べることというのは実にたくさんある。

しかも、多くのカフェチェーンが「昨年好評だったメニュー」をより改良して出している。
SNSや自社アンケートでお客様の声を聞き、常にブラッシュアップしているため、よりリアルな傾向が分かるのである。

私も個人経営時代は、カフェチェーンのメニューを手がかりにすることで、かなり心強かった。
また、「大筋外していない感」が手応えとしてあったのを覚えている。
ご参考までに。


さて、今回はここまでです。
少し長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださり、どうもありがとうございました。

各企業のこうした努力に感謝とリスペクトを抱きながら、いくつか季節限定ドリンクを味わい思考を巡らせてきましたので、
次回記事もぜひご覧いただけたら嬉しいです。

それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?