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有声音・無声音と濁音・清音 日本の学校が教えない英会話術⑫

今回は英語発音の基本である有声音(Voiced)と無声音(Voiceless)の話と、子音の繋がりについて。

一応、「有声音って何?」という人のために、軽く解説します。

もう知ってるよという人は1.は読み飛ばしてもらって結構です。

1. 有声音と無声音

日本語で言うと、濁音の子音は基本有声音です。

ガ行(g音)、ザ行(z音)、ダ行(d)、バ行(b)

なぜ「有声音」と呼ぶのかというと、その名の通り「声帯を震わせながら発音する音」だからです。

試しに喉に手をあてて「g」を発音してみてください。

喉を震わせずに出すことは不可能だとわかると思います。

次に「k」を発音してみてください。

これは喉を震わせなくても出せると思います。

これが無声音です。

無声音は有声音とは逆に、「声帯を震わせながら発音することができない音」です。

なお、上で紹介した4つの有声音には下記の通りすべて対応する無声音があります。

カ行(k音)、サ行(s音)、タ行(t音)、パ行(p音)

ここで1つ注意すべきなのが、「b音」に対応する無声音は清音の「ハ行(h音)」じゃなくて半濁音の「パ行(p音)」だということです。

有声音と無声音の関係と、濁音と清音の関係は結構似てるんですが、厳密には結構異なります。

矛盾した言い方ですが、要するに発せられる音の関係性は似てるけど、発声の考え方が異なる、ということです。

対応する有声子音と無声子音は唇と舌の位置が同じになっているのです。

無声子音の「h」に対応する有声子音は存在しませんが、あえて言うなら母音が対応しています。

つまり、母音はすべて有声音です。

声帯を震わせずに母音を発音することなんて不可能ですよね。

なお、それ以外にも有声と無声の対になっている子音が存在します。

「f」と「v」、「ch」と「j」がそうですね。

また、「th」はこれだけで有声と無声の両方の発音があります。

「this」や「that」のときの「th」が有声子音で、「thank」や「three」のときの「th」は無声子音になります。

ここまでで無声子音はすべて出そろいましたが、有声子音はまだあります。

「l」「m」「n」「r」「w」「y」はすべて有声子音ですが、対応する無声子音はありません。

有声音と無声音の違い、なんとなく理解できましたかね?

2. 両方あるパターンの子音

場合によって有声音だったり無声音だったりするややこしい子音があります。

上述した「th」なんかがそうですね。

「th」が有声子音になるか無声子音になるかは、めんどうだけど覚えるしかありません。

法則が全くないわけでもありません。

まず、私が知る限りにおいては、語尾にthがくるときは絶対に無声子音になります。

また、単語の頭にくるときも無声子音の場合が多いです。

頭で有声子音になるパターンを探してみると…

this that these those they their them themselves then there therefore though thus

ありゃ、結構あるわ…笑

でも、とりあえずこれ以外は特に浮かばないかな。

他に両方あるパターンとしては「s」と「d」があります。

「s」はそのまま無声音で発音するときと有声音「z」で発音する場合があります。

一方の「d」は本来は有声音ですが、無声音「t」の発音になる場合があります。

「s」「z」「t」「d」と「th」は舌の位置や発声し方が似ているので、実際の音もかなり近いですよね。

これについて次節で解説します。

3. 「s」「z」「t」「d」と「th」の違い

日本人の天敵、というか英語圏以外の人がだいたい苦戦するらしいのが「th」の音です。

まず、対応する片仮名が存在しないことから、日本語に存在しない子音だということが容易にわかります。

例えば、「this」は片仮名で「ディス」と書かれることが多いですが、「that」は「ザット」って書きますよね。

でも、「this」のときの「th」と「that」のときの「th」は全く同じ発音なんです。

「ディ(d音)」でも「ザ(z音)」でも無いわけです。

なんでこんな現象が起きるかというと「日本人の耳にはそう聞こえるから」に他ならない。

ぶっちゃけた話、これはしょうがないです。

だって近いんだもの。

「s」と「z」は歯茎摩擦音、「t」と「d」は歯茎破裂音という名前がついており、対して「th」は歯摩擦音と呼ばれます。

名前からして似てるでしょ?

ちなみに摩擦音というのは空気の通り道を舌や唇ですぼめて空気の摩擦で出す音、破裂音というのは舌や唇で空気の通り道を塞ぎ、息を溜めてはじき出す音という違いがあります。

そして、「d」は破裂音でありながら、有声音の振動のおかげでやや摩擦音っぽくも聞こえる特徴があります。

一方、「th」は舌を使う摩擦音ですが、短母音「i(イェ)」や長母音「e(イー)」に繋がるときには舌が後ろに引き抜かれるような動きになるため、やや破裂音っぽく聞こえます。

やや摩擦音っぽい破裂音「d」と、やや破裂音っぽい摩擦音「th」。

苦戦して当たり前ですね。

「th」は「r音」に繋がるときにも破裂音「t」っぽくなります。

結構、意外に思う人がいるかもしれませんが、北米英語の「Tuesday」と「Thursday」は聞き間違いやすいので注意が必要です。

イギリス英語だと「Tuesday」は「テューズデイ」、「Thursday」は「r音」が脱落して「サーズデイ」に近い音になり、両者は明確に違いますが、北米英語だと「Tuesday」は「u」の発音の「y音」が脱落して「トゥズデイ」、「Thursday」は「トゥルズデイ」に近い音になり、「r音」に敏感な耳を持っていないと聞き間違います。

この2つを何の問題もなく確実に聞き分けられるようになったらそこそこ自信を持っていいかもしれません。

以上のように色々と区別の難しい音ですが、それだけではなくてこの3つ(有声無声の区別を入れると6つ)は有声無声が切り替わるという共通の特徴を持っています。

4. 有声・無声が切り替わるってどゆこと?

「th」が有声子音だったり無声子音だったりするという話はすでに述べましたが、実は「s」もそうです。

「This」と「 is」の「s」発音は前者が無声音、後者が有声音になっていますよね?

私は中学一年生のときにこれを習って、「ああもう無理キモチワルイ」となって英語学習を拒絶してしまいました。

「s」と「th」は発音も似てるくせに、有声無声が切り替わる性質まで共通しているんですよね。

「s」が有声音なのか無声音なのか、判断するための法則かなんかないのか?

明確な法則はたぶん無いです(笑)

こればっかりは覚えないとしゃあない。

でも、いくつか法則っぽいことはあって

語の頭文字になるときは基本的に無声音、語尾にくるときは基本的に有声音になります。

特に頭文字の「s」が有声音になる単語はちょっと思いつきません。(あるかもしれませんが)

一方、「s」が語尾に来る場合ですが、無声音になる場合はある程度の法則があります。

語尾が「ss」となる場合は無声音です。

例・・・miss, kiss, boss

直前の母音が「a」の長母音もしくは「u」の短母音の発音のときも無声音になりやすい。ただし、名詞の複数形や三単現の動詞につく「s」は例外。

例・・・us, thus, bus, campus, base, case

これ以外はだいたい有声音と思っておいて大丈夫です。

最後に、複数形や三単現の「s」についてですが、これは上記の「語尾に来ると有声音になる」という原則に従って「z」の音になります。

・・・なのですが、そうじゃない場合があります。

しかし、このルールは単純明快。

直前が無声子音の「k」か「t」か「p」のときだけ無声音の「s」になります。

実際には「ts」は音が一体化して歯茎破擦音という特殊な音、ほぼ日本語の「つ」に変化しますので、「s」が無声音化するのは語尾が「k」か「p」の単語だけです。

なんで無声音になるのかというと、理由は単純で無声音の子音の後に有声音の子音が続くと発音しにくいからです。

これは実は同じ無声音の子音「s」や「ch」、そして「f」が来る場合も同様で、これらの語尾の場合は単語が変化しますね。

例えば「knife(ナイフ)」(語尾のeは発音しない)は「knives(ナイヴズ)」と有声音化するのは有名ですね。

一方で語尾が「s」か「ch」で終わる場合は短母音の「i」の発音を挟んで「イェズ」と発音します。

「bus」は「buses」に、「catch」は「catches」となりますね。

中学で習うこの面倒くさいルールですが、理由を考えれば非常にシンプルです。

発音しにくいから、発音しやすい形に直しているだけです。

ただし、一個だけややこしいのがあります。

「th」で終わる名詞の複数形。

上述の通り、語尾の「th」は無声音なので、「th」で終わる単語に「s」が付く場合は「es」となります。

例えば「cloth」の複数形は「clothes」。

しかし、発音は「th」をすっ飛ばして「クロウズ」となります。これは例外中の例外で、「th」で終わる可算名詞や動詞はほぼ存在しないので、覚えてしまいましょう。

5. 「ed」の発音にも注意

複数形や三単現の「s」と同じような存在として、動詞の過去形につける「ed」も似たような発音ルールを持っています。

「ed」は原則的に「e」を発音せずに「d」だけで発音します。

「live」の過去形「lived」は「リヴド」と有声子音「v」と「d」を連続して発音します。

もちろん、母音で終わる単語であれば語尾に「d」の発音をくっつけるだけです。

「play」の過去形「played」は「プレイド」と発音しますね。

と、上で「原則的に」と書きましたが、実は例外の方が多いです…笑

まあ、これもルールは明快。

まず、語尾の発音が「t」か「d」の動詞であれば、三単現の「s」と同じように短母音「i」の発音を挟んで「イェド」となります。

「wanted」は「ワンティド」、「added」は「エァディド」です。

「t」以外の無声子音の場合は「d」が無声音化して「t」の発音になります。

「based」は「ベイスト」、「developed」は「ディヴェロプト」です。

プレゼンなんかで日本人の発音を聞いていると、「based」を「ベイス」、「developed」を「ディヴェロップ」と発音してしまっている人をたまに見かけますが、すげー訛ってる感じになるので注意しましょう。

実は、韓国人や中国人も語尾が「ド」になっちゃってるケースをよく見ます。これは日本人と違って母国語のルールの問題だったりします。

と、まあ長々と書いて今更なんですが、語尾の子音の有声音と無声音の切り替えを間違えても、ほぼ問題なく通じます。

ぶっちゃけ、語尾の子音には当然ながら母音はついていないので、アクセントが乗ることもない、つまりほとんど誰も気にしません。

むしろ注意すべきは「母音を乗せてしまうこと」の方かもしれません。

ときどきネット上なんかで「タイガース(tigers)」の正しい発音は「タイガー」だ、と書かれているのを見かけますが

どうでもよろしい。

「タイガーズ」と言おうとしすぎて語尾に「ZU」と母音を乗せてしまう方が格好悪いですよ。

まとめると

1. 有声音と無声音は日本語の濁音・清音の関係に似ているが、厳密には異なる。

2. 同じ子音なのに有声音と無声音が切り替わるパターンがあることに注意

3. 三単現の「s」と過去形の「ed」が有声音か無声音かについては、明確なルールがあるが、そんなに気にせんでよろしい。

以上です。

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