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初めてサークル参加した同人イベント

 レ点=サンがそんな記事を載せていたので(下記)、私も便乗した。書く。


 私が初めてサークル参加した同人イベント。

 なにせ去年のことなので、かなり覚えている。ジャンルはおそ松さんというアニメだ。

 2016年6月のおそ松さんといったら、最終回を迎えてからまだ3ヶ月、とんでもない勢いの続く大ジャンルであった。参加申し込みはもっと前だから、放映中のことだ。「うわーっこのジャンルで形の残る本を出したい!!」という強い思いのままに、そのオンリーイベントにサークル参加の童貞を捧げたのだが、今考えてもわりと無鉄砲である。


 それまでは、描いた絵や漫画はもっぱらインターネットに放流して見てもらうだけで満足というらくがきマン歴が長かった。アンソロジーや合同誌に寄稿することはあれど、初めて自分の描いたものを自分で物理的に本にしたのは、2015年のことだ。当時はそれだけでへろへろになってしまったため、その本はイベントでの委託販売にお願いした。それでも、会場で自分の本が売れているのをそばで眺めて「ウワーッ」と密かにドキドキするのは楽しかった。

 あれを……自分でサークルの机を借りて売るまでやったら、どうなるんだ? ゆめのようだ!


 かくして2016年6月19日、おそ松さんの76ページBL本を作って持っていったのだった。口絵をつけたり箔押ししたり覗き穴開けたりと装丁も凝って、かなり立派な本になった。内容も今でも自分で読んで楽しいと感じる。

 本文はネットで事前に公開していたので(今でも読める)、後日談のおまけなどがついているとはいえ物理本はほとんど記念品のようなものと思っていたのだが、その記念品を手に取ってくれた方が思った以上にいた。とても嬉しかった。また、頒布に関しては頼れる友人2人に助っ人を頼んでいなかったら本当にどうなっていたかわからない。いくら言っても言い足りない感謝をここでまた表明したい。

 当日、両隣のサークルにいた方々も、一般開場ギリギリに来てモタモタとしている私を見て、優しく声を掛けて手伝ってくだすった。この件に関しても、本当に感謝しかできない。私の初めてのサークル参加は、周囲の方々の好意に支えられてのものであった。


 ……サークル参加は楽しかったが、なんというか、ものすごくMPを使った。メンタルポイントだ。これはぜんぜん悪い意味ではなくって、今ではあの精神ダメージは全ていい思い出として残っている。単に、ものすごく、緊張した。

 まずそもそも人生初の参加申し込みの時点で頭のネジを数個吹っ飛ばす必要があったのだ。一生に一度の祭りだ。もう死ぬ気でやっちまおう。後のことは後で考えよう。フェーェ!!!!! といった気概だった。

 当日、友人たちと電車を乗り継いでビッグサイトに向かっている最中も、精神がぐわんぐわんに揺れ動いており、焦燥感なのか圧迫感なのかよくわからない感情で吐き気を催していた。前述したが、別に悪い感情ではないはずなのだ。なんなんだろうアレは。悪い感情……「こんなの嫌だ! 家に帰りたい!」とか、「もう怖い! きっと大惨事になる!」とか、そういうのではないのだ。考えていたことといったら「ヒェ~~~~ッアワ~~~~~ッッうおおおおお」という悲鳴だけで、つまり脳がパンクしていたのだろう。朝ごはんに何も食べていなくて本当によかった。胃に何も入っていないのに食道はなにかを吐き出そうとするエア嘔吐だけで済んだ。

 ただただ緊張しただけで、別に嫌ではなかったのだ。

 若干のトラブルがあり、前述したようにサークル開場時刻からかなり遅れて会場近くの駅へ着いた。友人に大きな荷物を任せ、ひとり早足でスペースへ向かった。

 ところでサークル参加は初めてだったのだが、ネットで公開した本文が好評だったためか、スペースは壁だった。公開された時はすごいビビった。

 着いたら、机の前にもう列ができていた。よく見ると、列途中の札を持っている人が居る。続く先を見たら近くのシャッターから出て会場外まで達しており、最後尾は見えなかった。


 ヒェ~~~~~ッ


 もう完全に精神が焼き切れ、予備電源めいた業務用の私が出てきて、ワタワタしつつも周囲にアイサツをしたり机に布を掛けたりダンボールを開けたりお釣りを準備したりしていた。列の先頭に並んでいた人が布を掛けるのを手伝ってくれたことを覚えている。業務用の私はしばらく前にチェーンのうどん屋さんでバイトをしていた経験があったので、自分の前で列がたくさん並んでいても、慌てるより先にやるべき作業を割り出して、それに傾注するという心のスキルを備えていたのだった。

 しばらくもしないうちに友人たちが到着し、人手が整ったため、頒布はなんとか滞りなくできた。隣のサークルの方がダンボールを開けて在庫を出すのを手伝ってくれた……というよりは完全に人員として尽力してくれていた。(本当にありがとうございます)(列がさばききれなくて何度も前を塞いじゃってごめんなさい)(交換した御本めちゃめちゃ良かったです)

 私は受け付けたスケブを後ろで描いてたり、たまに列を整理したり在庫を出したりしていて、友人2人がテキパキテキパキと頒布してくれるのを眺めていた。そうしているうちに精神も落ち着いてきて、持ち込み分が全冊なくなったころには会話もできるようになった。


 いっぱい差し入れやお手紙もいただいて、応援のお言葉もいただいて、戦利品もいくつか手に入って、本当に、本当に楽しい経験だった。


 ところで今月、件の友人のうちの一人が人生で初めて同人イベントにサークル参加をするらしい。応援している。がんばれ!

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