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精神病棟の帰り道に考えたこと。

アル中のTさんがついに精神病院に入院することになった。

Tさんは普段は大人しい人なのだが、お酒が入ると気が大きくなって喚いたり、路上で寝ては警察に保護されたりすることを繰り返していた。

それでも酒を飲むことはTさんにとって生きることそのものなので、私たちは飲みすぎないようにたしなめつつ、大事には至らぬよう見守りを続けていた。

しかし、ある日とうとう過ちを犯してしまい、本人同意のうえでアルコール依存症の治療のための入院をすることになった。

山奥にある精神病院までの道のりは遠い。緑が深くなる車の中でTさんは「酒とタバコがなかったら死んだほうがましや」と寂しそうに笑った。

Tさんが退院したときに、酒とタバコがなくても楽しい世界を見せてあげられるだろうか。

そんなことを考えながらひとりで帰った。

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さとうみくる

ちょっぴりsensitive な日常の記憶と記録。感情の触れ幅こそが生きている実感。▽本業のホームレス支援の現場の話はウブマグにて連載中http://ubmag.jp/

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ホームレスのおいちゃん達と私の日々です。 ▽ウブマグで連載中。 http://ubmag.jp/tag/%e3%83%9f%e3%83%a9%e3%82%af%e3%83%ab%e3%83%8f%e3%83%83%e3%83%94%e3%83%bc%e3%83%9b%e3%...
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