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偽・アカシックレコード

最近、デキストロメトルファン(以後DXM)との相性がすこぶる悪い。メジコンは必ず吐き気(出るときもある)をもよおすし、コンタックではBADに入る。見るのはサイケデリックではない。物言わぬ肉塊となって閉じ込められ、長い時間を過ごすのだ。それこそDXMを知って間もない頃はトリップが楽しかったのだが、回数を重ねる毎に理想とは程遠いものに成れ果てていく。仕方ない、ならばあの時に戻れるように、暫く断薬をすることとしよう。はいはい、という事で今日はここまで……というのはあまりにもつまらないので、自分がよく覚えているトリップを2つ程挙げておこう。まず一つ目は、パワハラ上司に苦しめられ、DXMというものを知って間もない頃の話。いつもの通り、効いたところで目を閉じてみる。夢を見ている様で…それでも現実世界での意識もあって…その間をぷかぷかと漂っていた。ふと目の前を見れば、つるつるピンク色の塊が綺麗に並べられている。生々しくはなくポップな形ではあるが、それは間違いなく私を構成するパーツ。右手、右足、左手、左足、肺に心臓etc…。まるで片目を瞑り脳の半分だけを休ませるクジラがいる様に、そのパーツの一つ一つも「睡眠」をしている。その肉塊達とぱっきり乖離しているのか、それらを見つめているのも間違いなく私であった。なるほど、便利だなぁ…だって、朝が来るのが嫌な私の意識はシャットダウンされずとも、体の疲れが取れるのだから。後から考えてみれば何一つ意味が分からないし狂気でしかないのだけど。そして2つ目は、それから1~2ヶ月後のこと。少しずつ抜けてゆく薬を惜しむように目を瞑った私の胸元に、黒くてトゲトゲとした塊が浮いていた。それを見て私は、これは具現化された「私の病みの全て」であると直感的に感じ取った。手を伸ばしてそれを握り潰せば、私はもう二度と病まずに済む。だけどそれを何かが邪魔をした。くだらない承認欲求だ。これを潰してしまえば私には何が残るのだろうか?もうフォロワーの皆と話すことが出来なくなってしまうのだろうか?貴方の言うこと分かるよといいねを押してくれる存在がいなくなってしまうのではないか。悶々と考えているうちに時が来てしまい、その病みの結晶は二度と私の目の前に現れなくなってしまった。と言っても、病みの結晶だなんて現実世界で見ることが出来る代物ではないし、薬が魅せた虚像でしかないのだけど。結局、私は全知の書(アカシックレコード)を手に入れることは出来ない。薬が一時的に魅せてくれる偽物の全知の書に頼ってしまっているのだ。もし、私が本当に全てを知る時に待っているのは、自己の崩壊か、はたまた…。分からないものにはまだ手を出さないでおこう。そうやって密かに決意をした今日この頃であった。

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