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奥手男子と侮るなかれ

この半年ほど、男性が極端に多いコミュニティに所属している。最初の3ヶ月はプライベートの交流は無かったのだけど、春めいてきた空気の所為か、男性5人の中に私だけが女性の6人グループで休みの日に出かけることが増えてきた。

元々、私が8ヶ月やめていた煙草を再開したことで喫煙所でのコミュニケーションの輪が広がり、今に至る。煙草は百害あって一利なしと言うけれど、これまでにも、そうやって広がったコミュニティというのは確実にある。嫌煙家の方には理解してもらえないかもしれないが。

一昨日も花見に出掛けた。
こんなにきちんとした名所で花見をするのは何年振りだろう?河原の公園でさくら祭なども開催されていて、随分と賑やかだった。
夕方に別件で用事のある2人が離脱して、4人になったところで、解散するか、カラオケに行くか?で迷った結果カラオケに行った。

このグループでは初めてのカラオケで、初めはお互いに探りあいながらも選曲していたが、それぞれ、趣味の幅が広い人ばかりで、ハードロックから歌謡曲まで色んな曲で盛り上がり、最初は皆、2時間くらいかな?と思ってたのに、あっという間に4時間ほど経ってしまい、終電の時間も近いので飲酒をしていない人の車で最寄り駅まで送ってもらうことになった。

先々週までは、この人の車で移動するときには、他の人が「こういうのは女の子が助手席の方がいいから」と促しても、本人は頑なに助手席には男性を希望していて、更に言うと、私が話しかけても目をそらされることも良くあったが、何度か皆で出掛けたりしているうちに慣れてくれたのか、助手席に座ることも拒否されなくなったし、目を見て話してくれるようになった。

いや、目を見て話すどころか、最近は微笑んでくれるまでになったし、家にあるのを忘れて2冊買ってしまったという小説を「これ、あげます」と言ってプレゼントしてくれる程になった。自意識過剰と言われることを解っていて、あえて書くけれど、たぶん、そこそこ好意を寄せてくれているのではないか?という気がしている。

それに対して、私は恋愛感情というものが今一つ解らない。仲のいい人のことは、みんな好き。その中から特別な好きになるのは、だいたいいつも「私のことを好きになってくれそうな人」なので、もし彼が私のことを気に入ってくれているのなら、たぶん私も彼のことを「特別な好き」のカテゴリに入れると思うし、そういう意味で今、彼のことは最も気になる存在である。

車を発進する前にカーナビに最寄駅までのルートを設定し、そのついでにカーステレオの設定をした。カラオケで斉藤和義が好きな人が多かったからか、スピーカーから流れてきたのは「ずっと好きだった」という曲だった。

……みたいなことがあった気がするけれど、もしかすると春が見せた夢か、私の都合のいい妄想かもしれない。