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‪できていることを願って買う方が正しい検査薬の買い方

ストレスを感じると、すぐに遅れる。
きっと今回も、そんなことだろう……と思っていたら、あっという間に生理日管理アプリが知らせる予定日から7日が過ぎた。たぶん、いつものことだ。ただ、いつもと違うのは、今回は予兆がない。かといって妊娠の初期症状もない。PMSのイライラも、胸の張りも、いつの間にか治ってしまった。どちらとも判断がつかない。なんにもない。

夕方から友人と飲みに出掛けて、その店で大好きなチェリーのビールが生樽で入っていたから、それだけで気分が良くなった。このところあった小さな騒動を笑い話に昇華して、その勢いで帰り道の薬局に入って、念のために妊娠検査薬を買うことにした。

これだけは何度買っても慣れない。 いつだって、明るすぎる薬局の棚の前で、少しの後ろめたさと躊躇いが生じる。今月も、ただ遅れているだけのはずで、いつも検査をした翌日に来たりするのだから、こんなのはお守りみたいなもので、今回が初めてじゃないし、記憶を巻き戻してみても、あの時は失敗はしていないはずだだし、大丈夫。と思った瞬間に、ふと「失敗って、なんなんだろう?」という疑問が浮かんだ。

そうか。私には、できないことが「せいこう」なのだ。性交が成功しないことが成功なのだ。賛成の反対の反対なのだ。これでいいのだ。頭の中のバカボンのパパが、これでいいのだと言うから、なんだか少しバカバカしくなって、一番安いピンクの検査薬と、いつもより高級な洗浄器をレジに持っていった。