“5か月”の謎解き
紀元前16世紀
モーセは創世記を書き始めた。
紀元1世紀
使徒ヨハネは黙示録を書き終えた。
実に1600年程の期間を経て聖書は書き終えられた。
黙示録の難解な預言を理解するためにはそれまでに書き記されたすべての書に精通していなければ理解できないようになっている。
逆に言えば、精通することとその時が来ることとによって理解は可能であるということだ。聖書の言葉は聖書の言葉で説明できるようになっている。これが人の勝手な解釈を持ち込まずに正確な理解にたどり着くための大切な方法だ。
“第5の天使がラッパを吹いた。すると,天から地に落ちた星が見えた。その星である者に,底知れぬ深みに通じる穴を開く鍵が与えられた。”9:1
天から地に落ちた星である者とはだれのことか?
“私イエスは天使を遣わし,各地の会衆のためにこれらのことについてあなたたちに伝えました。私はダビデの根また子孫であり,輝く明けの星です。”22:16
この星はイエスを表しているようだ。
では、底知れぬ深みは何を表しているのか?
ルカ 8:31、ロマ 10:7、啓 20:3の用法を見るなら、拘禁するための場所や拘禁されている状態を指して用いられている。
“その者が底知れぬ深みに通じる穴を開くと,大きな炉から出るような煙が穴から立ち上り,その煙によって太陽と空が暗くなった。そして,煙の中からバッタの群れが地上に出てきた。そのバッタには,地上のサソリが持つのと同じ権威が与えられた。 ”9:2,3
バッタは出エジプト記に出てくる。
“もし私の民を去らせることを拒み続けるなら,明日,あなたの領土にバッタを送り込む。バッタは地表を覆い,地面が見えなくなる。…バッタは国中の地面を覆い,その土地は暗くなった。”出エジプト10:4,5,15
イスラエル人がエジプトの奴隷状態から解放される際にエジプトに臨んだ8番目の災厄がバッタの襲来だった。地表を覆い尽くして地面が一切見えなくなるほどの大量のバッタは陽の光すら遮りエジプトに暗い影を落としていた。
黙示録に出てくるバッタの正体は何だろうか?
“バッタに告げられたのは,地上の植物を,どんな草や木も損なってはならないが,額に神の証印がない人々には害を加えてよい,ということだった。”9:4
イスラエル人を虐待していたエジプト人たちへの裁きが下ったように神に是認されない人々にとって苦痛となることがバッタによって生じるということだ。
“バッタに許されたのは,人々を殺すことではなく,5カ月間苦しめることだった。人々が味わう苦しみは,サソリに刺された時の苦しみのようだった。”9:5
聖書の預言で用いられる1ヶ月は30日で計算されている。5ヶ月を日で換算するなら150日になる。聖書で150日が出てくるのは創世記のノアの日の記録だ。
“水は150日間,地表をすっかり覆っていた。”創世記7:24
ノアの日の大洪水の際の描写だ。
陸地が完全に水で覆われていた期間が150日、つまり5ヶ月間であったことが分かる。
バッタとの共通点は地表がすべて覆われるということだ。
地表が覆われることについて鍵となる言葉がイザヤ書に記されている。
“水が海を覆っているように, エホバについての知識が必ず地上に満ちるからである。”イザヤ11:9
神と敵対する立場をとる人たちにとって神についての知識は苦痛となることだろう。
バッタがエジプト全土を覆ったように
あるいはノアの日の際の洪水の水が全地を覆ったように
バッタのような人々によって神についての知識が遠く広く全世界に渡って満ち溢れるようになることを預言しているように思われる。
“そして,王国の良い知らせは,全ての国の人々が聞けるように世界中で伝えられます。それから終わりが来ます。”マタイ24:14
黙示録は聖書中で語られたあらゆる箇所を理解してはじめて読みといてゆくことができる。創世記のノアの日の大洪水で地表が完全に覆われていた期間が150日であったという記録が記された目的が黙示録によって1600年越しに明らかになっていることが何を意味しているかを考えてみてほしい。
モーセがそれを意図したのか。ヨハネがそれを操作できただろうか。
“どの預言も,人間の考えによって語られたのではありません。人が聖なる力に導かれて,神からの言葉を語ったのです。”ペテロ第二1:21
底知れぬ深み、無活動の時代から解き放たれたバッタは今、世界中で良い知らせをふれつげている。
世界の終わりはいつ?
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