最近読んで面白かった本を軽くまとめる:7/16~/31

こんばんは。あんどーなつです。
暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか?私は暑さで疲れて、本を読むペースが落ちています。やはり読書するのに最適なのは秋だなとしみじみ感じています。

暑くても面白い本は面白い!ということで今月も紹介していきます!

1冊目は営業として働いている社会人の方と営業志望の学生と有料noteを書いている人に!2冊目はデータに興味がある人、理系的に人間の自由意志を考えてみたい人に!3冊目はアートとデジタルに興味があって、こつこつ読書できる人におすすめです。

キリンビール 高知支店の奇跡 田村潤


「ビールはキリン」といわれるほどに10年以上もビール業界第1位であったキリンが、アサヒスーパードライの登場により、徐々にそのシェアを奪われつつあった1995年。主力商品であったキリンラガーの味を変えたことでますます売上が落ち込ちこんでいる中で、上司と喧嘩をしたことがきっかけで、本社から高知支店へと「左遷」された筆者が、2年後にはアサヒビールからトップシェアを奪い返し、ひいては四国・東海地区の売り上げまでも伸ばしたという軌跡を描いたものです。

「はじめに」で述べられていますが、この本は、アサヒビールに勝つためにどのようなマーケティングを行ったのかという内容ではなく、売上が落ち負けることに慣れてしまった自社の風土をいかに変革するのかに焦点をあてて書かれています。

就活を終えた学生の視点で、この本が面白いなあと思ったのは、営業マンが0からどのようにお客さんと関係を作っていくのかが分かるところです。

何もしなくてもビールが売れる時代が長かったために、当時のキリンビールの営業マンは、キリンビールの特約店に割り当てを振り分けたり、本社への報告など売上管理がメインの仕事となっており、営業で工夫をしたことも苦労したこともなかったそうです。

そんな中で、高知支店に赴任した筆者は、アサヒビールにシェアを突き放されていた量販店や問屋への営業ではなく、今までほとんど営業してこなかった飲食店への営業に注力することに決めます。

突如、なんとしてもキリンビールを売ってこい!とほっぽりだされた営業マンたちは右往左往するばかりで、当然キリンビールは買ってもらえません。売れないことで営業がイヤになり、ますます売れない…という負のループにはいってしまいました。そんな営業マンたちでしたが、支店長にはっぱをかけられ、徐々に売れる営業マンへの変身していきます。

営業マンが最初にやったことは1つ。「とにかく訪問する回数を増やす」ことだったそうです。質よりも量を優先することを徹底したそうです。入社2年目のある営業マンは、1ヶ月に飲食店を200軒訪問することに決め、毎日10件をまわっていたそうです。

しかし、始めた当初から3カ月はとてもしんどい思いをしたそうです。(以前は1ヶ月に30~40店しか訪問していなかった!)

見も知らない店のドアをこんこんとノックしながら「お邪魔します!キリンをお願いします!」と言っても、たいてい無視されるか、「こんな忙しいときに!」と言って追い返されるか。
一度の訪問で「わかった、キリンにしてやろう」というような店主はいないものです。しかも顔をださない料飲店では、知らぬ間にアサヒに切り替えられていました。
ある若手営業マンは、回っているときにアサヒビールのベテランの営業マンに出くわして「なんかちょろちょろ回っているらしいけど、とれてないやんか」と言われて悔しい思いをしたり、いろいろあったようです。

しかし、結果がでなくても、4カ月もすると身体が慣れてきて辛くなくなり、少しずつ結果もでてきたそうです。

一軒一軒のドアをノックするのが苦ではなくなり、販促ツールを届けるというような大儀名分がなくとも平気で「こんにちは!景気どうですか?」とご近所の知り合い感覚で顔をだすことができるようになってきたのです。
すると不思議なことに、いい反応が少しずつ返ってくるようになってきました。
「また来たの?じゃあ、今度ちょっととってみようか」となってくる。
そして信頼関係ができてくるとさらに広がりが出てくる。
「店ののれん分けをするから、新しい店を紹介してやるよ」
「うちのお客さんがイベントするそうなので、キリンにするように言っておいたよ」
あるとき、こんあ話をされたことがあったそうです。
「これまでは顔の見えないキリンビールを売っていた。何の情報もなかったから、キリンがいいのか悪いのかもわからなかった。でもそこに君というキリンの顔が現れた。自分たちが売っているビールの会社の人間が来て話をすると、うれしさやキリンのビールに対する信頼を感じるようになった」

相手から好意的な反応が返ってくるようになると、営業マンは各々工夫をはじめたそうです。

・スナックのような夜にしか営業しない店には顔写真付きのメッセージを入れる
・「近所にこんな店ができましたよ」「今これが売れてるみたいです」といった情報を店主に伝える
・チラシの言葉遣いを土佐弁にする 

ほんのひと工夫で「キリンの営業はうちによく来てくれる」「うちを気にかけてくれる」という印象を与えられるようになったそうです。

こうした地道な営業努力を続けたことで、高知県でのキリンビールのシェアが、1998年にはアサヒビールと反転。2001年には44%となり高知県ではトップを奪回したそうです。著者はその功績が認められ、四国本部長へと移動するのですが、そこでも営業マンの面白い工夫が見られたそうです。

ここでひとりの南予(愛媛の地名)担当者M君が、自分の考えでアサヒ系の2つの問屋に行き、なんと、
「なんでもお手伝いしますから、トラックに同乗させてください」
と頼みこんで、問屋の営業マンと一緒に南予を回り始めたのです。
はじめはアサヒ系の問屋も提案にびっくりしていましたが、キリンの営業マンが一日中汗を流しながら、アサヒビールや日本酒の上げ下ろしまで手伝ってくれたものだから、「キリンの社員はプライドが高いと思っていたけど、本当に一生懸命やっていた」と信頼を得て、「これからはキリンも売ろうはないか。キリンと親しくなればプラスもある」。
何しろ問屋の営業マンとふたり、昼の弁当を食べながら一日中トラックの運転席ですから、40~50人いる問屋営業マン全員とすっかり仲がよくなり、その家族の方たちも知っているまでになったそうです。キリンの考えもよくわかってもらえるようになり、自分の分身が広いエリアにたくさんできたような気がするとM君は言っていました。

M君の発想力と行動力の豊かさには脱帽ですが、これを読んだときに、SHOWROOM社長の前田裕二さんの「人生の勝算」に書かれていた一節を思い出しました。

「プライドはコミュニケーションの邪魔になる。まず、お客さんとコミュニケーションの接点を増やせ。そうしないと、俺たちの仕事は始まらない。あいつバカだねと思ってくれたら、成功だ。バカを演じきった次の日に、お客さんに電話してみろ。俺の言っていることがわかるはずだ」
飲みの席でバカをやり切れるようになって以来、営業の電話をとってもらえる確率は飛躍的に向上しました。こんなことで、と最初は悔しかったのですが、前田は振り切って何でもやれるヤツだと評判も広がって、飲みのお誘いや営業での指名が増えました。

ビールでも投資でも、相手にものを売るには、自分がどんな人であるのかを分かってもらえたうえで、あなたを大切に考えていますよということを伝えなければものは売れないだと改めて感じました。

営業とまではいかなくても、私が書いている有料noteを多くの方が読んでくださるのはTwitterを通して自分はこういう者です、こういう考えでnote書いてますと発信しているからなのでしょう。

キリンビールの営業の姿勢は、私たちの仕事や趣味にも通じるものがあるのではないかと思います。
現在営業として働いている若手社会人の方、営業志望の就活生、有料note書いてるあなたはぜひ読んでみてください!!!

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ちなみに、「人生の勝算」のまとめは↓です。


データの見えざる手 矢野和男


筆者はリストバンド型のウェアラブルセンサを用いて、左手の動きを24時間365日観測することで、人間の行動全般の法則を明らかにしたうえで、「幸せ」と「運」と「購買」をコントロール可能としたうえでコントロールする方法を提案しています。

購買をコントロールする実店舗での実証実験も非常に面白かったのですが、それ以上に面白かった人間の行動の法則性についてここでは解説しようと思います。

結論からいうと、人間の行動はU分布とよばれる右肩さがりのグラフに収束するそうです。12人の被験者の腕の動きをプロットしたものが下図で、これがU分布です。

なんてことのないグラフじゃないかと思われるかもしれませんが、これの解釈が非常に面白いんです!

ここに示した腕の動きの実験結果はとても不思議で驚くべきことである。1分ごとの腕の動きを回数で測ると、その日、その1日の統計データは、図1-1(上図)のようになり、直線に乗るU分布である。
これは偶然かと思って、別の日を調べてみても、やはりU分布に乗っていた。さらに他の人のデータもすべてプロットしてみた。12人の被験者のすべてがU分布に乗っていた。不思議なので、当然、私のデータも調べてみた。毎日きれいなU分布にのっていた。
このことの意味を考えると、さらに驚くべきことが分かる。被験者は、自分の意思や思いで、自由に自分の行動を決めていると考えている。それとこの普遍的なU分布とは相容れないのだ。なぜなら、行動の種類によって、特徴的な動きがあるからだ。

相容れない理由は、直感的にも分かります。例えば、プレゼンテーションを行っているときは150回/分手を動かしていても、webを回覧しているときは30回/分しか手は動かないからです。

そのため、さまざまな行動を自分の意思で選択して、1日のどこでそれを行うのかが人によって異なるので、統計分布は異なることが予測されます。同じ人でも、1日ごとによって手の動く分布はことなるはずです。しかし、毎日統一的なU分布になるのです。

この矛盾を説明するために、筆者は「繰り返しの力」という言葉をつかって正規分布とU分布の違いを説明します。まず下図をみてください。

ここで碁盤目の全体はあなたの1日を表すと考える。各マス目が、その1日の中の1分間を表すと考えるのである。総数900個のマス目は、1日の活動時間が900分(=15時間)という想定に対応する。各マス目に、平均80個の玉がはいっているのは、1分間に平均80回、腕が動くことを仮定していることになる。
上の図に示すように、ばらついているものの、各マス目にはほぼ平均80個前後の玉が入っている。もちろん80個ちょうどではなく、そのまわりでばらついている。この統計分布が正規分布である。
このままでは、ランダムに玉を配置しただけで、マス目ごとの玉の数はそれぞれ独立にきまった。マス目とマス目の間には玉のやりとりがなかった。次に、このようにランダムに玉を分配した後で、マス目の間をやりとりさせてみよう。
ランダムにマス目を二つ選んで、一方から他方に玉を1個移す。そして、これを繰り返してみよう。もともと、ランダムに置いた玉なのだから、そこからランダムにマス目を選んで、玉を動かしても、結果は変わらないと思うだろう。
ところが論より証明である。図1-3の下の図(ここでは上右図)を見てほしい。これはこのやりとりを10万回繰り返してみた結果である。やりとりを繰り返すほど、玉の分布が「まだら模様」になっていったのだ。実は、このやりとりによって生じた「まだら模様」こそが、実社会のビッグデータに普遍的な右肩下がりのU分布である。
「右肩下がり」の分布の実態は、一様にランダムにばらまいた正規分布よりも、もっと「まだら模様」で「ばらつき」が大きい印象を与える。完全なランダムよりばらつきが大きい、というのは矛盾しているように聞こえるが、本当だから仕方ない。一様な乱数によるランダムさ、というのは、実はとても均一的な状態で、ばらつきの少ない状態なのだ。
U分布は偏りを許す、もっとも自由度の大きい状態なのである。

理系の方は、これを読んでお気づきになったと思いますが、これ気体の分子の運動とまったく同じ理論なんですよね!!!!すごくないですか!!!!!私はこの部分にとっても関心してしまい、この部分を2回読み直しました!

つまり、私たちは自分の意思で一日の活動を選択しているように見えて、U分布という法則の下、踊らされているだけだったということが分かったのです。

データ分析って面白いなあ!!!!!と改めて感じた一冊だったので紹介しました。著者は研究者なので、すべての内容が仮説→検証→考察という順で論理的に書かれています。それがイヤでない方はぜひ読んでみてください!

人間の自由意思は果たしてあるのか???と考えさせられる一冊です。

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さよなら未来 若林恵

Twitterの読書界隈で推薦されていたので読みました!アートとデジタルを軸に書かれた様々な記事がまとめられていて、面白かったです。

個人的には、デジタルの中でもブロックチェーンがしばしば取り上げられており、ブロックチェーンが社会で使用される根本的な意味は「政府」の拒絶だよね、と哲学的に新しい技術を考えているところが良かったです。

が、しかし、めっちゃ分厚い。枕にするにも高すぎる!
ということでおススメの記事のタイトルを書いておきます。立ち読みの際の参考にしてください!

「一六五二年のソーシャルネットワーク」 p147
「おいしいはフラット化にあらがう」 p239
「BB-8の親和力」 p246
「音楽にぼくらは勇気を学ぶ」 p277
「レモネード・ガレージ・いい会社」 p305
「夢の続き」 p364
「ニーズに死を」 p396
「リアルワールド報告書」 p436
「やがて哀しきワンマン・カルト」 p474

ちょっとずつ読むのが好きな人におすすめです!

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~Fin~


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