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最近読んで面白かった本を軽くまとめる:8/1~/15

こんばんは。あんどーなつです。
私は先日読書コンサルというサービスを始めました。おかげ様で、現時点でなんと15人の方にご利用いただいています!!!
とても嬉しいです!ありがとうございます♡♡♡

読書コンサルってなあに?と思った方は、こちらの記事をご覧ください。

唯一困っているのが、読書コンサルが盛況なおかげで自分の読書の時間が激減してしまっていることです。それにあたって、読書の仕方を変えることにしました。今までは頭から終わりまで飛ばさずに読んでいましたが、今後は興味のある部分をつまみ食いする方式に転換しようと思います。

つまみ食い方式の読み方に慣れたら、その方法のコツやポイントをまとめようと思っています。楽しみに待っていてくださいね!

今回は頭から終わりまで読んだ本を3冊紹介します。
1冊目は有力な大人に見初められたいと考えている学生と若手社会人の方に、2冊目は日本酒を愛するビジネスパーソンに、3冊目は採用活動に携わっている社会人の方におすすめです。

武器としての交渉思考 瀧本哲史

京都大学で著者が行っている「交渉術」の授業を1冊に凝縮してまとめた本です。巷に溢れる小手先のテクニックは一切書かれておらず、交渉をする際に考えるべきポイントと考える順序が理論だてて書かれています。

交渉のための考え方はもちろん面白かったのですが、それ以上に面白かったのは交渉術を学ぶための理由です。本書ではガイダンスと第1章の部分です。

学生が交渉術を学ぶ理由のキーワードとして、著者は、「時代の変化」と「仲間」、「同盟・革命」の3つを挙げています。

「時代の変化」はトップダウンで上司の命令が絶対だった時代は終わり、若い世代の人たちは『自分のアタマで考え、自分たち自身の手で、合意に基ずく「新しい仕組みやルール」を作っていかねばならない』ということを指しています。

この「時代の変化」はよく言われていることなので面白くありません。著者ならではのユニークな視点だと私が感じたのは、「仲間」「同盟・革命」の視点です。

さまざまな国でこれまで起こされてきた革命は、ほとんどすべてが若者たちの手によって成し遂げられてきたのです。
しかし、ここで見落としてはならない重要なことがあります。
それは、革命の裏には必ず、若者たちをバックアップするエスタブリッシュメント層(社会的な権威・権力を持つ人々)がいたということです。

著者は、明治維新の志士である江藤新平には前藩主の鍋島直正の、桂小五郎には藩主の毛利敬親の、さらには協賛革命の毛沢東には中国共産党の初代トップである陳独秀のバックアップがあったことを説明したうえで、以下のように続けます。

つまり、本当に世の中を動かそうと思うのであれば、いまの社会で権力や財産を握っている人たちを味方につけて、彼らの協力を取り付けることが絶対に必要となってくるわけです
そのことは政治だけでなく、ビジネスの世界においても同じです。
とはいえ私は、「自分が成功するために、老人たちにうまく取り入れ」と言ってるわけではまったくありません。
若者が「世の中を変えよう!」と立ち上がるだけでは、けっして社会は動かせない。革命を起こすには、大きな権力を握る大人と対等に交渉して、合意を結び、具体的なアクションにつなげていかねばならない。
つまり、彼らにこびるのではなく、「将来見込みのある若者」として、彼らから「投資の対象」と見なされる必要があるわけです
この本のキーメッセージのひとつが、まさにここにあります。
世の中を動かすためには、自分ひとりの力ではとても足りない。ともに戦う自分たちの「仲間」を探さねばなりません。
そして、彼らを味方にし、ときには敵対する相手や、自分よりもはるかに巨大な力を持つ「大人」とも、交渉によって合意を結ぶ。
そうやって初めて、世の中を動かしていくことができるわけです。

自分の優秀さを示すための手段として交渉術を習得する、という考えは私にとって斬新でした。自分を魅力的に見せる話し方やプレゼンテーションなどの本はたくさんありますが、交渉術と組みあわせるのは新しいなと思ったからです。

加えて、著者の熱意も面白いと感じました。どうやら著者は、若者に世の中を変えてほしいと本気で願っているらしいとガイダンスを読んだだけで伝わってきます。この「熱意」が本書の隠れたキーワードなのではないかと私は考えています。

それを最も感じたのが、第6章の「交渉は断られてからが勝負」で取り上げられているオトバンクというベンチャー企業とJALの交渉エピソードです。

オトバンクは市販の本を声優になどに朗読してもらい、その音声データをMP3プレイヤーなどで聴けるように配信して販売するという事業を行っている企業です。オトバンクは現在はほぼすべての大手出版社と契約をし、ベストセラーを配信できるようになっていますが、そのきっかけとなったのが、JALとの契約だったそうです。

オトバンクの社長である上田さんは、JALとの交渉で2回も断られたものの、最終的には合意にこぎつました。

上田:「オトバンクをJALの機内番組の1つにいれてほしい」と提案する。

JAL:「機内エンタメ事業は番組がいっぱい。他の会社からも提案がたくさんあって、順番待ちの状況となっており、そこに新規の企画が割り込むのは難しい。」と断られる。

上田:「わかった。機内エンターテイメントに入れないのは仕方ない。では、私たちがMP3プレイヤーを用意して提供する。プレイヤーのメーカーとは自分たちが交渉するから、メーカーからの試供品として配布してほしい。そうすればノーリスクで新しいコンテンツを増やせる。」と再提案する。

JAL:「面白いアイディアだけど、現実的に機内のどこでMP3プレイヤーを渡すのかを考えると難しい。フライト中は客室乗務員は忙しく、今のオペレーションでは不可能だと思う」と再び断られる。

このような流れで2回目の提案を断られてしまった上田さんですが、面白いのはその後の行動です。

2回目に断られた後にJAL本社を出た足で羽田空港に向かい、東京から大阪に向かう国内線のチケットを買い、飛行機に乗り込んだそうです。そして、搭乗口から飛行機を降りるまでの動線をすべて写真に収めました。

もしメーカーの試供品としてオトバンクを提供するなら場合、「ここで使い方を説明する」「ここでMP3プレイヤーをわたす」「ここで回収する」とプランを練り、写真付きで詳細に企画書にまとめたそうです。

それを後日、担当者に見せながら「こんなふうにやれば実現可能です」と示したそうです。すると担当者は根負けしたという表情で、「分かりました。つぎの番組改編で入れてあげましょう」と上田さんの提案に同意したそうです。

このエピソードから分かるのは、最後に人を動かすのは自分の熱意だということです。上田さんのオトバンクを飛行機の中できいて欲しいと願う気持ちが、実際にやるとなると面倒だと思っていたJALの担当者の気持ちを凌駕したのでしょう。

このエピソードを読んで、著者がなぜこんなにも熱いのかが分かったような気がします。交渉の考え方や伝えた方ももちろん大事なのでしょうが、それは熱意があるときに初めて有効に作用するものなのでしょう。人を動かす難しさとロマンを感じた1冊でした。

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逆境経営 桜井博志


先月の水害で獺祭の倉が被災してしまったというニュースを見て、この本のタイトルを思い出し読みました。(買ってから読むまでの期間があいてしまったのはご愛敬で許してください)

獺祭をつくる旭酒造の社長が獺祭が生まれることになった背景や、獺祭の作り方、獺祭に込められた思いなどが述べられています。小さなテーマがいくつも並べられているので、エッセイのようにさらさら読めます。

私がこの本で面白いなと思ったのは、社長の獺祭の海外展開に関する思いです。旭酒造では、ニューヨークとパリを主要市場と想定し、日本とまったく同じ獺祭を販売しているそうです。

「日本で成功している」「日本人が美味しいと思っている」酒を、そのままのスタイルで、欧米にも理解・納得してもらることを目指していかないと、たとえ一時的に売れたとしても、おそらく長続きしません。そして、日本酒業界にとっても決してよいことにはならないでしょう。
海外での私たちの仕事は、ワインと似せたような酒や、酸っぱかったり甘かったりする酒ではなく、私たちがよいと感じる酒、現に、お客様に納得いただいている酒を出して、そのうえで「日本酒とは何か」「日本酒の美味しさはどこにあるのか」という根源的な意味を説明し、理解してもらうことです。
海外進出を広げてきたなかで、いろいろな意見が市場から返ってきます。
たとえば、香港では、「〈獺祭〉は北京語では読めるが、広東語圏の香港人には読めない。だから、彼らも読める名前に変えろ。」
ヨーロッパでは、「ヨーロッパ人に、今の純米大吟醸の酒質は繊細すぎて分からない。酒質を変えろ。」
こんな話が、頻繁にはいってきます。
だけど、変える気になれないのです。
〈獺祭〉、つまり、旭酒造の酒はどこで飲んでも同じでありたい。私たちがいいと思っている酒質も、商品のスタンスも変えたくないのです。

このかたくなに「獺祭」を守り続ける背景には、社長の日本文化への敬愛があるそうです。

実は、海外に〈獺祭〉を輸出するにあたり、〈獺祭〉のスタイルにこだわる背景にも同じような気持ちがあります。日本の食の文化に自信を持って、大事にしながら、〈獺祭〉を広めていきたい。ですから、海外の嗜好や国内の一部の嗜好に合わせて、酒を変えたくない。あくまでも日本の酒の本質を追求し、日本の食文化の代表として誇りをもって海外に輸出したいと思います。

この社長のポリシーは、地方の小さな酒蔵がとるべき経営戦略として合っているのかもしれません。小さい酒蔵だからこそ、たくさんの種類の日本酒を生産・管理することはできない、そのかわりに1つの味を大切に育てて守って行くというのは、理にかなっているように思います。

その代わりに、獺祭を海外に輸出する際の課題をきちんと認識しています。その1つが、ワインと日本酒の違いを外国の人にきちんと知ってもらうことと、もう1つが高価格の日本酒を開発することだそうです。

実際、日本酒には、ワインのように1本70万円~80万円もするものはありません。これは技術や品質の問題ではなく、これだけの商品をつくり上げる構想力とか哲学といった総合力不足だと思います。
世界で日本酒がワインと同様に戦っていこうとするとき、高価格帯の日本酒がないというのは致命的です。現状の価格帯の商品では、ワインと比べて一段劣った飲み物として欧米のテーブルに乗らざるを得ません。

「高額の日本酒がない」というのは私にとって目から鱗の指摘でした。手頃値段で美味しいのが日本酒のいいところだと思っていたのですが、それが仇にもなりうるようです。実際、獺祭の主要顧客として世界の上位5%を見込んでいるというのだから、驚きです。

この本は社長の獺祭への思いを楽しむために読むこともできますが、小さな企業の経営方針を学ぶためにも読むことができると思いました。絶対に譲れない点を1つ決め、それを実行するために必要な手段を考え、ミクロだけでなくマクロな視点も取り入れるという経営の教科書のように抑えるべき考えがきちんと記されています。

ぜひ日本酒好きのビジネスパーソンの方は読んでみてください!

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How Google Works エリック・シュミット

Googleが求める「スマートクリエイティブ」な人材はどのような考え方をもって、どのように働くのか。そして、スマートクリエイティブな人材をどのように獲得するのかを記した本です。

正直なことをいうと、人を使って仕事をしたことがほとんどない私には少し早すぎる内容でした。私の視座が低くて、内容に共感しにくかったためです。起業したいぜと思っている学生さんや、人事として働いている社会人の方なら、なるほどね!この視点ありかも。と楽しめる内容だと思います。

そんな中でもなるほどなと思った箇所が数か所あったので、備忘録として記しておきます。特に面接に関する考え方は、来年以降働きだしてから実践できそうなので、ここに書きます。

ビジネスパーソンが磨くべき最も重要なスキルは、面接スキルだ。経営学の教科書やMBAコースでは、そんなことは言われなかったかもしれない。CEOや大学教授、ベンチャー投資家は、成功するのに一番重要なのは人材だ、とはよく言うが(実際そのとおりだ)、実際にどうやってその優秀な人材を獲得するのかには触れないことが多い。彼らが口にするのは理論であり、面接という人工的かつ時間的制約のある状況で、候補者の能力を見極めなければならない。それには特別な、そして高度なスキルセットが必要だが、はっきり言ってほとんどの人は面接が下手だ。
面接の準備をするときには、評価を受けるのは相手だけではないことを頭に入れておこう。優秀な候補者は、あなたと同じくらい厳しい目で、あなたを評価している。面接の最初の数分を、履歴書に目を通したり世話話をするのに使ったりすれば、複数の選択肢がある候補者は(最高の人材はたいてい複数のオファーを受けている)は良い印象を受けないだろう。第一印象は互いに与え合うものだ。
面接のスキルを高めるには、練習するしかない。だから私たちは若手社員に、面接する機会があれば積極的に活用するべきだと口を酸っぱくして言い聞かせている。アドバイスに従う人もいるが、ほとんどは耳を傾けない。もっと重要な仕事に時間を使いたい、と考えるのだ。
どれほどありがたい機会をもらっているのか、まったく理解していない。「目を覚ませよ。これは給料をもらって一番重要なスキルを伸ばすチャンスだ。しかも、判断を間違っても、自分がそいつの上司になる可能性は低いなんて、これ以上うまい話はないじゃないか」といっても無視されてしまう。

就活時に面接は大事だよ!たくさん練習しな!と言われた経験があったので、この内容は非常に腑に落ちました。

Googleでは面接を行うことを非常に重視しており、面接を上手に行えるようになりたいと思う社員に対して「信頼できる面接官プロジェクト」となるものを行っているそうです。プログラムのメンバーになると、実際におこなった面接の信頼度(時間に遅れない・ドタキャンしない)やフィードバックの早さと質などが評価され、この評価が公開されるそうです。

自分が面接する側になると、どのような能力が養われ、それがどういい変化をもたらしてくれるのかは身をもって体験しないと分かりませんが、ひとまずは、Googleのいう面接の大切さを信じてみようと思います。


~Fin~



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