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田舎の坊さんに呆れた話

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こういうnoteを書いて、思ったより反響があってうれしかった。
でもまぁ常にこんなポジティブで悟ったような思いでいるわけじゃないからさ。ちょっと聞いて。

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8月13日 祖母と母と、親子三代で墓参りに行った。

いかにも盆の田舎の寺といった情景で、盆の墓参りに来ている家族で賑わっていた。(寺を賑わっていると表現するのは適切かわからないが)

港がほど近い寺で、蒸し暑くはあるが風が心地よい。
ろうそくはすぐ消えてしまうが線香の香りが立ち込める穏やかな空間だった。

私の実家からも歩いて数分の場所にあり、そこの住職は私を小学生の頃から知っていた。

正直私は昔からその住職のことが大嫌いだった。
相当に太っていて見るからに煩悩の固まりという出で立ちであることもさることながら、
私が高校生になった頃からものすごくいやらしい目で見てきて、
高校生の私にいきなり、訳もなくお小遣いを渡そうとしてきたりするような男だったからだ。
私は当時「住職のくせにそんな目で見てくるなら金を貰って当然だ」とすんなり受け取ろうとしたが母と叔母に勢いよく止められた。
「お寺さんからそんなお金もらうなんてお前は何てやつだ」軽く叱られまでしたが、意味がわからなかった。
ニヤニヤ見てきて金を渡そうとしてきたのはあっちだ。

今から数年前、法事か何かで会ったとき「おお、リタちゃん。結婚した?」と挨拶もそこそこに聞いてきて私は面食らった。
その時は確かかなり仕事が忙しく、東京から駆けつけたばかりでほとんど化粧もしておらず肌も髪もボロボロだった記憶がある。
その後の会話も「そんな歳で結婚もしなくてお前はどうするんだ」くらいのニュアンスがあって、怒りを通り越して呆れた。

そして今年。
墓参りを終えたらすぐに東京に戻ろうと思っていたので化粧もちゃんとして、寺に向かった。
夏バテも後押ししていくらか痩せたし連休中ほとんど寝ていたので肌も髪も状態はいい。

「ああ、いつもどうもXXさん」と信心深い祖母に挨拶してきた住職は私に気付くと
「おお、リタちゃん、すっかり東京ナイズっていうか、いい感じらね。今どうしてるん?」
と話しかけてきた。
「東京で、仕事してます」
「いやそうじゃなくて」
本当に私は何を言っているかわからなかったので「ん?」という顔をした。
「結婚は?」
ああ、そうだった。こいつはそんなことしか聞かないおっさんだった。
「してません」
「あぁそう、まぁ東京は独身の人いっぱいいるから」
「そうですね」
100%の作り笑顔が上手くなったのだけは本当に、東京ナイズと言えるだろう。
そこで母が口を挟む。
「もうそうなんですよ、困ったもんで」
「今27くらい?」
「もっといってます」
また見事な笑顔を作った。住職は奥に行って「こんなものしかなくてごめん」とお茶とジュースを差し出してきた。
15年前は金だったのにね。

この一連の流れで私は心から思った。地元に戻って働くことはまずないだろう、と。
私の労働力、生産力を捧げる気にならない。こんな年寄りしかいない田舎に。

「困ったもんで」と母も言うが困ったもんなのは女を見たら結婚しているかしてないかしか話題も興味もないこの坊さんだ。
「どんな仕事をしているの?」なんて聞かれたこともない。

夫と、子供を連れて帰らなければ一生こんなこと言われるんだろうな、この坊さんに戒名なんて絶対つけられたくないなと思ったが、私より先にこの坊さんが死ぬ。(はず)

ちなみに私はこの先絶対に結婚しないとか、子供もいらないと言っているわけではない。実際過去何度か結婚しそうになったことはある。
ただこの2017年において結婚して子供を産むことだけが幸せとしてあるべき姿であると決め付けられることに少々(というかめちゃくちゃ)窮屈さを感じるのだ。

と、東京じゃ普段全く感じない「独身女」としての洗礼を受けた記念に書いてみました。

好きなように生きましょうね、みなさん。自分の人生です。

というような記事がまとめて電子書籍になりました。
是非読んでみてください!


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