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ニューハーフ風俗嬢、旅をする

レアキャラ中のレアキャラ

そこは青森のビジネスホテル。
ルームナンバーを確認して
ドアをノックすると、
しばしの静寂のあとドアが開かれ、
現れたのは髪を短く刈り込んだ
浴衣姿の中年男性。
「デリヘルの子?」と問われると、
わたしは120%の笑顔で、
「はい。よろしくお願いします♪」
と答えつつ、一抹の不安を覚える。
(やや、この第一声のパターンはもしかして……)
「身長、ずいぶん高いね。ハーフの子?」
「ふふっ、純日本人ですよ?それはそうと、ホームページのプロフィールをご覧になってご指名頂きました?」
「いや、実はツレの奴らが呼んでくれて……」
(うげ。やっぱり……)
わたしはこの時点で
「失礼いたしました〜♡」
って帰りたい気分だったけれど、
気を取り直し、
200%の笑顔で右手を上げて言った。
「はーい!!いきなりで申し訳ないんですが、衝撃的なお知らせがありまぁす!」
「えっ、なに?」
「わたし、ついてるんです」
「は……?どういうこと?」

「わたし、ニューハーフ風俗嬢の夏目あんと申します!以後お見知り置き下さいませ♪そして、何はともあれ、今宵は楽しいひと時を……」

人生初青森!

2019年の4月も後半のある日、
わたし、夏目あんは生まれてはじめて
青森の地を踏んだ。
新幹線「はやぶさ」から、
新青森駅のホームに降りるなり、
まっさきに感じたこと、それは……
「寒くねえ??!!」
そう、これはわたしの完全なる
リサーチ不足だったのだが、
本州最北の地、
青森は4月の末になっても
ストーブを焚くような寒さだった。
わたしが着ていたのは
ペラペラのスプリングコート。
街行く人はみな、
厚手のコートを羽織って歩いている。
(さすがにこれは予想外だなぁ……)
そう、ここが、
これから一週間ばかり
過ごし、働く街なのだった。

わたしが旅に出る理由

わたしが東京以外の
日本各地の風俗店で
働くようになったのは
かれこれ3年半以上前。 
それまで働いていたお店の経営が
どうもあやしくなってきて
かといって新しい所属先を探すのも
なんとなく気乗りがしない。
そんな時に舞い込んできたのが
地方のお店からの
出稼ぎのオファーだった。
ここ最近、各地の風俗店で
期間限定でNHを雇い入れるのが
ブームになっているらしい。
別に東京という土地に
さしてこだわりもないし、
ついこないだ彼氏とも別れたし、
(当分作る気もないし)
ついでに旅行もできるのなら、
一石二鳥ではないか。

というわけで、元々旅好きだった私は、
その後、全国を駆けまわり
日本中のご紳士様たち、お兄さんたち、
オッちゃんたちに、
サービスを提供することになるのだった。
各地の名物を食し、地酒を飲み、
ときに秘境を訪れ、温泉につかりながら。

このnoteはその様子をつづった旅日記。
というわけで、どうか皆様、
こちらでもひとつお願いします。






全国を旅するニューハーフ風俗嬢。 東京の専門店で働きつつ、各地のお店にゲストとして出勤し、ついでに旅をします。 こちらは旅行記になります。エロをお求めの方はまた別にブログを用意しています。