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マグロみたいな生き方してるとガタがくる話

マグロみたいな生き方をしてるなあ、と思うことがある。
マグロは生まれてから死ぬまで、止まらない。
止まると窒息して死ぬからだ。
(という話を改めて調べてたらアリナミンのページで紹介されてたので、たぶんマグロ式に生きてる人は私以外にもたくさんいるんだろう)

マグロの気持ちは分からないが、たぶん彼らも決して止まりたくなくて止まらない訳ではないだろう。
止まったら死ぬから、仕方なく泳ぎ続けているし
それが当たり前だと思っているから、続けているわけで。

そんな私を含めたマグロ式人間の生態を解説していく。

圧倒的長子率の高さ

「もう休んでください」と言いたくなるような人達の長男、長女の率が私の体感ではあまりに高い。
想像ではあるが、家庭で最初に生まれた子どもは、育児の試行錯誤を経験するため、気張った親たちによってそれ以降の子どもたちより、やや厳しめに育てられる傾向にある。と感じるし、自分も子育てをしていて実際そう思う。
第2子以降の人々で、背負い込み過ぎて自爆する人間を私は見たことがない。
これは決して貶しているわけではなく、彼らは長子に比べてリスク分散が非常に上手い。
具体的には「人に頼ること」「第2、第3の手段を持っておくこと」「いい意味でのその場しのぎ」が出来るのだ。
自爆長子群の人間は、これらが圧倒的に出来ない。
「人に頼れない・頼り方が分からない」「これが失敗したらおしまい」「常に備えておかねばならない」と、まるで正反対の方向に行きがちである。
これらの考え方の癖によって、長子たちはマグロ化していく。
常に何かに追われて動き続けておくほうが楽で安心出来ると錯覚していくのだ。

謎の何かと戦いがち

何と戦っているのか、と言いたくなる人は、どんな人にも一定数周りにいるだろう。
マグロ式人間たちは、自分と戦っている。
というか、自分で自ら首を絞めにいくほどの無自覚ドMが多い。
ある時は頼まれた仕事を請け負いすぎたり、友人との予定を詰め込みすぎたりしている。
明らかに疲れると分かっていて、何故そうするか。
それは「もったいないから」である。
己のキャパシティを100として、自分の仕事を70で終えたとする。
一般人は余力を残して終えたと安堵し、休息をとるだろう。
マグロ式人間はこの20の余力を持たされると
「焦る」のである。
自分はまだ20の余力があるのに、ここで止まっては不味いのではないか、という焦燥に駆られるのである。
自分の仕事は終えているのだから、誰から責められる訳でもないのに、だ。

遊びの予定だって同じことが起こる。
スケジュール帳を眺めて、休みの日になんの予定もないと「どうしよう」となる。
マグロ式人間が外出せず、Netflixでも見ながらベッドで一日を終えたとする。
そんな日の夜は、とんでもない罪悪感と反省会が始まる。「一日を無駄にしてしまった」と。
それが嫌で、予定をパンパンに詰める。
1人の休日ですら、する事や行く事を考えてそれを実行する。そうしてようやく満足するものだから、結局休息を適切にとるという事が上手く出来ないのである。

クロールの息継ぎみたいな休息

前述の通り、マグロ式人間はとにかく突き進む。
しかしながら、人間はマグロではない。
不眠不休でいつまでも動けるはずもない。
マグロ式人間の多くは、本気のエンスト現象を1度は経験する。
フィジカル、メンタルのどちらか、もしくは両方が、もはや物理的に限界を迎えて破綻する。
そして見慣れた天井(運が悪ければ知らない天井)を見つめて、急に投げつけられた強制的休息を、始めは素直に享受する。
が、しかしそのうち、また焦りがマグロ式人間を支配し始める。
「このまま止まっていると、二度と動けなくなる。」という感覚に襲われる。
一定数のマグロ式人間は、ここで本当に二度と動けなくなってマグロを卒業するが、健康な人間に戻るのにも苦労する羽目になる。
それ以外のマグロ式人間は、形式上の休息を義務的にこなした後、またマグロ式人間として動き出すのである。

そしてこのエンスト現象がトラウマとなり、チキンレースのように己の限界を見極め、最低限エンストしないレベルの休息を体得していくのである。


このように、傍からみれば「なんでそんなに頑張ってるの?」と不思議に思われるだろうし、「もっと肩の力抜いて生きたら?」とも言われがちなのだが
ここで同じマグロ式人間の先輩が、前述のエンスト現象を起こした際の名言がある。

「辛いことは頑張れる。でも、頑張らないことを頑張れない。」

まさにこれなんだよなぁ〜と、居酒屋で共感し合った記憶がある。
普通の人間と同じように呼吸しようとすると、我々は窒息してしまうのである。
なのでマグロ式人間としての上手な生き方を習得するしかない。
と思って生きてきたのだが、ここ数年三十路になってからは、かなりしんどさを感じるようになった。
加齢のせいで全然身体が追いついてこない
年々泳ぐ速度が低下していっている気さえする。
窒息する前に、どうにか人間式人間としての生き方を出来るようになりたいものだ。


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