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処女作「じてん車と工作」

小学校の頃、進級するたびに文集、書いてましたよね、卒業(学年)文集。

みんな、1年間で特に心に残ったことや、自分の好きなこと、自己紹介や頑張っていること、お世話になった担任の先生へのお礼など、素晴らしい内容が多かったと記憶しています。

そんな中、私は学年文集に何を書いたらいいのか皆目分からず、頭を抱えていました。締め切りは次の日で、待った無しの状態。どうしよう、どうしようと頭を悩ませること5分ほど(ちなみにその日まで学年文集のことなんか全く頭にありませんでした)。結論は、

昨日あったことを書こう

昨日何をしたっけ、そうだ、自転車に乗って派手に転んだんだっけ。と膝を打ち、原稿用紙の右端から4マス目に「じてん車とぼく」と書きました。次の行、1マス開けて

きのう、ぼくは、じてん車にのってころびました。

冒頭は掴んだ。

こんなに明快な文章があるでしょうか。目の前に景色がありありと浮かんでくるようです。

さいしょに、どうろに出ようとして、さかのところでころびました。

当時はマンションに住んでいて、駐輪場から道路に出るのに階段を3段降りなければなりませんでした。階段の脇にはスロープがあり、かなりの角度がついていて、いつもそこをフル加速しながら降りていたのですが、その日は坂の下にある段差の処理に失敗し、ハンドルが大きく切れてジャックナイフのように頭から落ちたことを言っています。

つぎに、ともだちとあそんでいて、かきねのところでころびました。ころびかたがおもしろかったです。

「ディズニーランドで汽車にのりました、とてもおもしろかったです」みたいなノリで「ころびかたがおもしろかったです」。どうですかこの強引な結論は。しかし、しょせん小1。起承転結の「転」が抜けて起承結くらいになってしまっていますね、自分は転んだ話をしているのに。

物語がここで終わってしまったので、当然、全く字数が足りません。そこで、小一の私はどうしたか。おもむろに、題名を改変し始めました。

題名:「じてん車と工作」

題名から「ぼく」を消して「工作」に。工作という字は、1年生では習いませんが、なぜか知っていました。これは、数ヶ月前に牛乳パックとテレビ台のキャスターかなんかを使って電車を作ったことを思い出したのです。

そのあと、いえにもどって工作をしました。

嘘ではありませんよ。便宜上、ちょちょいと時系列を操作しただけです。物語のかさ増しを図っただなんて人聞きの悪い。セミフィクショナルと言うべきですね。

はこと、タイヤがあまっていたのでそれででん車をつくりました。

そうかいそうかい。

おかあさんは「すごいね」といいました。おとうさんは「また何かつくるといいね」といいました。

両親が、そう言ったんでしょう。多分。

こうして、私の処女作「じてん車と工作」は、恩師への感謝、遠足の思い出、2年生でやりたいこと、など、多くの正統派な作文たちに紛れて、無事に学年文集に掲載されました。

30年経っておんなじようなことをやっているとは露知らず。

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きょう、ぼくは工作をしました。

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いたと、おりたたみの足があまっていたので、テーブルをつくりました。

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テーブルでおちゃをいれたらおいしかったです。

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足はおりたためるので、おくさんに見せたら「すごいね、また何かつくるといいね」といわれました。

おしまい

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