車検に落ちたバイクの整備:フロントフォークサスペンションのオーバーホール(分解編)

画像1 タイヤを交換した後、いよいよフロントフォークのオーバーホールです。
画像2 フロントフォークの中に入っているオイルが漏れて、ダストがこびりついています。そりゃ車検に落ちるわけだ。
画像3 フォークを取り外したところ。テレスコピック式フロントフォークは、望遠鏡のような形をしている筒の、細い方をインナーチューブ、太い方をアウターチューブと言います。インナーとアウターがお互いにスライド(摺動)し、まさに望遠鏡のように動くことで衝撃を吸収する仕組みです。
画像4 スプリングを取り出すときは、オイルが付いているのでこぼさないようにゆっくりと引き上げます。また、フォークキャップ(フロントフォーク上部の蓋)は、フォークがバイクに着いた状態で緩めておくことと、バネのテンションがかかっているので、力を加えて抑え、部品の飛び出しに注意しながら取り外しましょう。顔を近づけないようにすることも大事です。
画像5 フォークキャップとばね、付随するカラー類を並べたところ。取り出した部品は、このように綺麗な布の上に左右が分かるように丁寧に並べておくと、あとで組み付けるときに便利です。
画像6 上の部品を取り出したら、ひっくり返してフォーク内のオイルを全て抜きます。
画像7 次に、フォークをバイスに固定して、底に付いている六角ボルトを緩めます。ここのネジは固定剤が塗布されていて非常に固いので、バイスに固定し、良い工具を使いましょう。写真のようなしょぼい工具を使うと、舐めてしまいます。今回も舐めそうになって、途中でソケットの六角レンチ(700円くらい)を買ってきました。危なかった。
画像8 六角ボルトを緩めると、中でバネの台座になっていたスプリングシートが取れます。この部品は、インナー・アウターチューブが分離しないようにストッパーの役割もしています。
画像9 サークリップと呼ばれるバネをドライバーでこじって外します。これでインナーチューブとアウターチューブが分解できます。
画像10 分離したインナーチューブ。だるま落としのように重なっている部品のうち、黒いゴムがオイルシールで、フォーク内のオイルを密閉する役割をしています。これが劣化すると、今回のようにオイル漏れが起きます。オイルシールはアウターに「圧入」されているので、アウターとインナーを分離するときは、何回か勢いをつけてインナーチューブを伸ばし、オイルシールを叩き出すことで分離します。
画像11 ドライバーで指しているのは、スライドブッシュとよばれる摺動をサポートする部品。本来であれば交換ですが、バイク屋に在庫がなく、取り寄せに時間がかかるとのことで今回は再利用。灰色のテフロンに剥げがなければ使えます。
画像12 パーツクリーナーで脱脂、清掃してダメージを確認。
画像13 インナーチューブの表面をよく観察すると、細かなサビが浮いています。これは、チッピングといって、走っているときに飛び石などで付いた傷にサビが付いて斑点状になったもの。このサビが突起となってオイルシールを傷つけるので、サンドペーパーでこすって落とします。
画像14 「×」状にヤスリを動かして、突起をとります。少し見た目は曇ってしまいますが、オイルシールに傷がつくより良いでしょう。
画像15 全バラ図。左右ごと、外した順にならべて部品の紛失を防ぎましょう。組み付け編へ続きます。

たくさんの方々からサポートをいただいています、この場を借りて、御礼申し上げます!いただいたサポートは、今まではコーヒー代になっていましたが、今後はオムツ代として使わせていただきます。息子のケツのサラサラ感維持にご協力をいただければ光栄です。