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新規に古きを作る


こんにちは。

最近の「新しいVS古い」の価値観について考えていていたところ、古いことに対する価値が意外なところから見直されているなと思ったので書きます。


私は建築史の勉強をしているのですが、日本において新築というのは絶対的価値観であり、これを覆すのはとても難しいなと日々思っているところでした。

そりゃあ誰でも新しい家に住みたいですし、私だって賃貸を探すときには築年数や見た目をもちろん気にします。

今の日本の建築においては「新しい」ことが絶対なのです。



ところが、ファッションの世界を横目に見るとシーズンごとに来る流行の服を新しく着るだけが全てではないようなのです。

「古着」。一部では、これに対する価値がとんでもなく高いです。


古着といえば下北沢!という事らしいので行ってみました。

すると私が普段しまむらやGRL(とても服が安く買えるところ)で買っている洋服よりもはるかに高い値段で中古の服が売っているのです。ブランド品だけかと思えば、ノーブランドでもデザインや生地によってはとても高い。普段1500円のトップスを買っている私には信じられなかったです。

(田舎にある実家の近くのリサイクルショップではとっても安く買えるのに!!)

生地の質感や現在では手に入らないデザインなどが「古着」という新しいスタイルとして、しっかりと価値をもってお店に並んでいました。

これはすでに古いことが価値として認められていると考えて間違いないです。




次にテレビドラマの世界を覗いてみましょう。

最近のドラマの舞台セットや小道具の手の込み様といったら!!

まるで本当に何十年も前のモノかのような写真や手紙、まるで人が本当に住んでいるかの様な家のセットばかりではないか!!


そしてそのような再現性の高さをテレビ視聴者も求めており、美術スタッフもそれに応えているようにも感じられる。

まさに新しく古いものを作ることに価値がある現場です。


私は先月、時間が経つにつれて建築に蓄積される記憶がとても大好きだというnoteを書きました。

時間の積み重なった建築にとても惹かれると。


けれど食べ物に発酵と腐敗があるように、建築にも人間にとって都合の良い悪いと言った時間の経ち方があるようです。

この考えを持てば何もかも文化財や建築の再利用をせねばなるまいという最近の強迫観念からは逃れられそうです。

たしかに今は亡き建築家の建物は残したいと思う気持ちも分かる。ただ、その側面だけで建築を見て、構造上危ない建物を無理に残す事には疑問を感じます。一つの見方だけでは建築は保てません。



さて、話を戻しますが、100円ショップの小物とかもアンティーク風な塗装が施されたものを最近よく見かけます。錆びたようなブリキや看板なんか、とても可愛いです。これも新規に古きを作ってます。


このように古いものを新しくイミテーションして作ることの価値は近いうちに建築界へも広がっていく事だろうと思います。

すでにDIYとかでは始まってますよね!


「古き」には発酵と腐敗のような種類があり、ファッション業界やテレビ業界、小物などの雑貨の業界のように、建築業界も自分たちの特性を活かした古きに価値をつけられたら面白そうです。

もともと新しいから良い、古いから悪いとかそういう話ではなかったのですが、思考に柔軟性を持って物事を考えねば常識にとらわれてしまい研究が進みません。

たった少しの気づきを大切にしていこうと思う毎日です。




読んでくれてありがとうございました。


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