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藤井風はどこに向かって吹く?WDM河津知典氏から読み解く


「あの人」だからこそ藤井風に惚れた

わたしは藤井風の音楽が好きだ。オリジナル曲の素晴らしさは今更、言うまでもない。併せて彼の洋楽カバーも、好みにドンピシャである。

なぜか?

藤井風はピアノ弾きだ。そしてわたしもピアノ弾きである。鍵盤弾きはキーボーディストが作るジャズ寄りのR&Bに惹かれることが多い。純粋にコード進行的な好みもあれば、勉強にもなるからだ。実際、藤井風のカバー楽曲にはギタリストが作ったロック寄りの曲は少ない。

そして「あの人」とはWDMこと、ワイルドダンディーマネージャー河津知典氏だ。


「藤井風」をバックアップしているのは「何者」

実家にいる頃は、カバー動画を全てセルフプロデュースしていた藤井風。楽曲選定や演出、編集のアイデアなどは、家族からの助言も受けていただろう。上京後はさまざまなミュージシャンと交流し、刺激を受けて音楽の幅も広がっているはずだ。


「WDM」河津マネージャーの存在と意義

注目したいのは藤井風が「WDM」「ずっずさん」と親しみを込めて呼ぶ 「ワイルドダンディーマネージャー」こと、河津知典氏の経歴。


■河津知典
1975年宮城県生まれ、大阪府育ち。大阪音楽大学短期大学部卒業。98年に株式会社DISK GARAGE入社後、主にコンサートの企画制作を行う。フリー野外イベント「蓮沼」の企画制作や、音小屋四期イベント科によるロックフェス「音小屋の灯」などにも携わりながら、音楽業界人によるフットサル大会「音蹴杯」や、7月に日産スタジアムにて英サッカークラブ マンチェスターUと横浜FMが対戦するプレシーズンマッチなど、幅広くイベントを企画。さらには、さめざめの音源制作や、3ピースガールズバンドSHISHAMOのマネージャー業なども行っている。引用元:音小屋オフィシャルサイト 


プロフィールは2013年のものだが、基本情報は変わりないはず。彼こそが藤井風を公私ともに陰で支える立役者だ。河津氏の辣腕ぶりは、これまでの実績からしても一目瞭然である。

たびたびSNSに登場するが、藤井風と並んでも、ひけを取らないダンディーなルックスの持ち主。プライベートに関しても、親身になってサポートできる経験豊富な人物だろう。

音楽を学んだ経験があり、おそらくピアノも達者と思われる河津氏。藤井風に魅了されたその根底には、自らの音楽的素地が大きく影響しているに違いない。河津氏は藤井風が上京してからは最大の理解者であり、彼の一番のファンでもあるのではないだろうか。

河津氏の編み出す綿密なプロモーション戦略

藤井風はテレビ出演やタイアップのオファーは引く手あまただろうに、露出を極端にセーブしている。メディアミックスの絶妙なタイミングは言うまでもないが、ベストな機会を見計らっているのがわかる。その様子はまるで「出し惜しみ」しているかのよう。見せてくれないと余計に見たい気持ちが募るのが、人間なんだけれども。

藤井風の魅力を知り尽くし、イベント企画やマネージメント、経営面にも精通した彼こそが、藤井風マーケットにおけるキーマンなのでは、と見ている。

青春病MVにおける河津氏の立ち位置


「青春病」MVのクレジットに着目してほしい。

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クレジットのラストは山田智和監督だが、その一つ前に

プロデュース&ディレクション 河津知典とある。表記はマネージャーではない。

このMV撮影の時点で、いわゆるマネージャー業だけではなく藤井風をプロデュースしている。

つまり予算管理から企画制作・進行、現場監督・指示まで総合的に携わっているのだ。もう、彼は藤井風を演出する総合プロデューサーと言っても過言ではないだろう。

注目すべきは河津氏の属する「世代」

もうひとつ、注目すべき点がある。河津氏は1975年生まれ。いわゆるポスト団塊ジュニア世代だ。そして、いま藤井風に熱狂するF2層(35〜49歳の女性)に呼応するM2層(35〜49歳の男性)に属する

中学生時代にバブルは崩壊し、人口のボリュームゾーン団塊ジュニア層に近いだけに就職氷河期世代でもある。


1976年前後に生まれた世代が多くナナロク世代とも称されるこの世代は、ミクシィ社長の笠原健治、2ちゃんねるの西村博之、チームラボの猪子寿之など、ナナロク世代にはIT業界で活躍する人が多くいる。ポスト団塊ジュニアは彼らが提供するインターネットサービスとの親和性が高いことが分かった。(中略)「自分らしさ」「IT」「仲間との共有」がこの世代の特徴だ。自分らしさを求めながら、コミュニケーションツールを活用し、仲間との共有を大切にする。 引用元:ITmedia エグゼクティブ

「自分らしさ」「IT」「仲間との共有」が特徴の「ナナロク世代」に属する河津氏と、子どもの頃からYouTube動画で発信し続け、自分らしさを大切に生きてきた藤井風。二人の相性の良さは世代論的にもバッチリなのだ。

藤井風に大人世代が魅了される理由

ファッションも一気に多様化した90年代。そう考えると「青春病」MVに見られたような90年代を彷彿とさせ、かつ多様性も感じさせるスタイルは、河津氏の青春時代にも重なる

経営者としての視点も持つ彼は、この層の嗜好やライフスタイルは知り尽くしているはずである。

第二の自分の人生を見つめようという時期に差し掛かかった、バブル世代以上の比較的時間と資金に余裕のある層にも、藤井風の音楽は確実に刺さるはずだ。サブスク中心の若い層も視野に入れつつ、現段階では人口のボリュームゾーンであるF2層(35〜49歳の女性)、M2層(35〜49歳の男性)を主なターゲットにすれば、CDをはじめとするアナログや、フィジカル的な売り上げも確実に上がるだろう。

WDM河津氏の功績

WDM河津氏と同世代のファンも多いのでは。時々、藤井風が気に入っている音楽を紹介することがある。これらが、とても音楽的にツボを得ていてターゲットを押さえているように感じるのだ。「ああ、あの頃流行ってたアレ」と感じるものも多い。最近だと藤井風のインスタグラムに投稿されたコレなどがそうだ。


「Fkj」のSkylineは、音楽がインテリアの一部となっているようなラウンジやカフェで流れていそうなサウンド。いわゆる「渋谷系」を巡る90年代周辺のチル系クラブミュージックの香りが漂う。

河津氏の自宅だと思われるインテリアや彼の服装、小物の選び方なども、なんとなく「匂う」。何より藤井風がカバー動画で演奏している音楽は、河津氏にとっても青春時代を思い起こさせるエモーショナルなサウンドに違いない。

藤井風が世界を見据えていることは明確だし、素材的にも世界で勝負できるはずだ。これから先も河津氏に連れられて都会の風に吹かれることによって、更に洗練されていくに違いない。

そして何より、世の中の耳目を集めるよう、藤井風に上京する決意をさせたWDM河津知典氏の功績をたたえたい。これからも良き先輩であり、パートナーとして、公私ともに藤井風を導いてくれることを願う。


藤井風さんのこと、いろいろ書いてます。


画像引用:藤井風公式Instagram ,藤井風公式YouTube

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