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峰岸ゆう
2018年2月28日 20:27
午後四時。東京・渋谷・ハチ公前。 通勤ラッシュの時間帯でもないのに、駅周辺は人であふれていた。 人が狭い通路を、それぞれが右寄り、左寄り自由勝手に進んでいたが、ぶつかりそうになっても身をかわし、器用に避けている。ぶつからないよう、すれ違うことに慣れているのだろうか。 さて、どこから探そうか。 時間は無限にあると言ってもいいが、先輩がいる確証もなければ、この町に『答え』があるかどうか
2018年2月28日 10:32
太一は久しぶりに屋上で寝転んでいた。 里奈先輩にフラれてからは一度も来たことがなかった。 瞳を閉じて、静かにこれからを考える。 相変わらず、『昨日と同じ今日』を続投中だ。 ……この町を出てみるか。 三回試した。富山と仙台と名古屋で一泊したはずなのに、朝、起きた時には何故か自宅だった。 ……クラスメイトや知人に起きる人生に関わる大きな運命を変えてみたらどうだろう。 五人以上に
2018年2月26日 21:23
満月の夜。小宮静矢はいよいよ追い詰められていた。 そこは入り口がひとつしかなく、牢獄かと思えるような暗い、地下駐輪場。もはや逃げ場はない。 盗んだバイクで走り逃げることができるならば、この場所を選んだ自分を褒め称えたいところだったが、あいにくとキーがささったままのバイクなど見つかるはずもなかった。 駐輪場には管理する人も帰ってしまっていて、完全な沈黙がまた恐ろしかった。一歩、一歩、近
2018年2月25日 10:20
「おはよう!太一くんっ、昨日の『スマートにスマッシュ!略して<<スマスマ!>>』見た?ラスト、感動しちゃったよっ」 朝、学校へ向かおうと玄関で靴を履いているところに向かいに住んでいる山川鈴女がドアを開けて入ってきた。 毎日のように迎えに来る幼馴染なので、問答無用だ。遠慮なんてあったものではない。 だが、当人も僕もそんなことは少しも気にしていなかった。 鈴女は悩みなどないような、いつも
2018年2月24日 10:03
愛は見えないが、この世に確実に存在する。幽霊や超能力者を否定する人間でさえ、『愛』には寛容だ。 真実の愛があるならば、本物の超能力があってもいいだろう。『愛』がチョコやカップルの日などで形成され、金に換えられているのを見て、小宮静矢はそう考えていた。 別に、彼がオカルトマニアというわけではない。むしろ、幽霊とかいてほしくないし、超能力なんかほしくない。ただ、『愛』という存在がそれ以上に
2018年2月21日 21:10
英さんが入室しました<<英>> : こんばんわ~<<ピカピカ>> : ばんわー<<はじめ>> : ちゃっす!<<はじめ>> : 英さん、お久しぶり。今、都市伝説について話してるんですよ。<<英>> : 都市伝説ですか。はじめさんってお子さんいるんですか?<<はじめ>> : いやいや、拙者は独り身でござる<<ピカピカ>> : 今、はじめさんが友達から<<空想
2018年2月21日 09:58
「……ごめんなさい」 放課後の校舎。屋上で一組の男女が立っている。高校生ならではのイベント。告白と言ったら屋上だろうという一昔前のベタな展開。 背の低い、新入生の男の子が魅力的な背の高い物静かな上級生に告白して玉砕、断られるのもありきたりのパターンだ。初恋は実らないと言うが、少年にとってもこの恋は紛れも無く初恋だった「ごめんなさい」 夕日を見ていた上級生。田中里奈という少女は、
2018年2月20日 20:58
フリー百科事典『空想病』空想病(くうそうびょう、英: fancy sickness)(注1)とは、近代あるいは現代に広がったとみられる口承の、『都市伝説』(注2)に分類されるひとつである。概要病気の定義は、医学書によって様々であるが、『空想病』とは、肉体にかかる病気ではなく、精神的な病である。鬱などとは違って、ある種のウイルス感染による病気で、精神分裂、独り言、落ち込み、症状が悪化