麦わら帽子2

全国で1,700件以上! 「姉妹都市」をどう活かす?


こんにちは、「〇〇と鎌倉」の狩野です。「地域間交流のこれまで」を探る企画、第2回目です。(前回の記事はこちらから↓)

今回は、聞いたことはあるけれど、意外となじみの薄い(?)「姉妹都市」に切り込んでみたいと思います。
実はこの「姉妹都市」は国の制度などではなく、慣習に近いもので明確な定義やルールがないそうです。
(統計・整理のために、後づけで下記のような要件が設けられたのだとか)

姉妹都市は、文化交流や親善を目的とした地方同士の関係を指す。友好都市・親善都市などとも呼ばれる。 国同士の外交関係とは別のものである

統計・整理上の基準として
1. 両首長による提携書があること
2. 交流分野が特定のものに限られないこと
3. 交流するに当たって、何らかの予算措置が必要になるものと考えられることから、議会の承認を得ていること
の3要件をすべて満たすものを「姉妹(友好)自治体」として扱っている
(wikipediaより)

全国の姉妹都市の提携件数は、国内外合わせてなんと1700件以上! しかもこの数はいまだに増え続けているのです。

(一般財団法人自治体国際化協会HPより)

実際どんなことをやってるの?

姉妹都市には、「国際都市交流」と「国内の自治体間交流」の大きく2つがあり、交流分野としては学校教育(生徒の海外研修、教員派遣、作品交換など)が最も多く、次いで行政(記念式典の実施、職員派遣、視察団の受け入れなど)となっています。
現状では、学校や行政など一部の人たちの交流が主で、より多くの市民を巻き込んでいくことが課題とされています。

また、姉妹都市は「交流分野が特定のものに限られないこと」をひとつの要件としていることもあり、交流分野こそ幅広いものの、その目的が曖昧になっているケースが多いことも特徴です。しかも、交流の成果は、「短期間」で「定量的」に示すことが非常に難しいため、明確な目的・事業プランがない限り、自治体内での事業優先度は自ずと低くなります。
かと言って、途中で解消するわけにもいかないですし、担当人員も限られているため、過去の事例を踏襲した事業を細々と続けていくしかないというケースがほとんどではないかと思われます。

ちなみに、市町村合併以外で姉妹都市解消となった初めてのケースがこちら↓

姉妹都市事業に未来はないのか?

とはいえ、調べていると「ここまでやっているのか!」と驚くような取り組みもいくつかあり、その中でも特に感動した武蔵野市のケースを紹介したいと思います。

姉妹都市をネットワーク化!( 東京都武蔵野市)

吉祥寺駅から歩いて5分ほど、商店街の中にあるショップ「麦わら帽子」は、武蔵野市が提携している9つの姉妹都市(友好都市)と、武蔵野市内で栽培されている生鮮食品や特産品を取り扱っているアンテナショップです。
私が訪れた時も、常連と思われる地元のお客さんがひっきりなしに訪れ、花や野菜を買っていく姿が見受けられました。
10自治体の産品ともなると、米から酒まで品揃えは大充実。野菜や果物は毎日産地から直送されるそうで、近所にあったらぜひ通いたいと思うお店でした。

こちらのお店、2001年に姉妹都市の交流促進や産品販売、情報発信を目的にオープンし、昨年大規模なリニューアルを行っています。運営は、武蔵野市副市長を代表とする財政援助出資団体が担っており、9つの友好都市からも出資を受けているそうです。
しかし、品ぞろえはすべて行政主導というわけでもなく、店舗スタッフが直接地域の事業者と取引を進めるケースなどもあり、農産物に関してもJAを通さずに取引されているものもあるそうで、その自由さがまた良いなと思いました。


「武蔵野市のような
都市は、地方の市町村があることで成り立っている」1991年、当時の武蔵野市長のこの発言をもとに、武蔵野市と国内の9つの友好都市で構成する協議会「武蔵野市交流市町村協議会」がつくられたそうです。
それ以降、「何かあったときには協力し合える関係性づくり」を目的に、武蔵野市を含めた計10都市の職員研修、サミットが隔年持ち回りで開催され、地域の課題解決までは至らぬとも、問題共有などを行っているそう。
2011年には、災害時の後方支援も視野に入れた連携・協力について確認し合う「安曇野市サミット宣言」も行われています。

他にも、自治体職員の交換留職が姉妹都市間で実施されているなど、行政間の連携には驚きました。
(電話での問い合わせで対応して頂いた「交流事業課」担当者も他の地域から赴任している方でした!)

姉妹都市の未来のカタチともいえるネットワーク提携をすでに進めている武蔵野市ですが、もちろん課題もあるそう。市民同士の自発的な交流はまだまだで、今後の大きな目標にしているとのことです。
友好都市アンテナショップ「麦わら帽子」を起点に、市内でさまざまなコラボレーションが起きていくと面白そうですね。9つもの自治体があればどこかにゆかりがある人も地域内に多く暮らしていそうですし、地域同士をつなぐメディアもつくれそうです。
今後も武蔵野市の動向には要チェックです。

既存の「姉妹都市」をまちづくりに活かしていくためには?

既存の姉妹都市の提携理由は、半数以上が「歴史的経緯」(歴史上の人物のつながりなど)や「地理的環境」(同一性・異質性など)と言われています。
提携時期も半数以上が20年以上前となっていますが、慣習として姉妹都市を続けるのではなく、改めて関係性を見直す時期に来ているのではないかと思います。人口減少、高齢化、空き家問題をはじめ、程度の差こそあれど、どの自治体も同じような問題を前に四苦八苦しています。
そんないまだからこそ、姉妹都市を地域づくりのパートナーとして迎え直すことができたら、心強いのではないでしょうか?

姉妹都市との関係性を見直す際、ポイントは大きく下記の3つにまとめられそうな気がします。

1. 両地域のニーズを満たし、課題解決につながる交流にできないか?

2. 持続可能な交流体制を、どのように構築できるか?
3. 市民がどう関われば、より良い関係性がつくれるか?

これらは姉妹都市に限らず、地域間交流における大きなポイントなので、面白い事例があればぜひ紹介ください!

(おまけ)この記事を書くにあたって各種レポートを拝読しましたが、姉妹都市について興味がある方には、特にこちらがオススメです↓

次回は、2つの地域で作る某ローカルメディアのインタビューをお届けします!それではまた!




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