【レビューエッセイ】誰かの中でしか生きることはできない / We Stay High by Lick - G

あなたの部屋
で見たあの映画
Alcoholのflavour
2人はstay high
ただのgroupie
じゃねえbooty
最高級にdopeなshorty
一夜限りじゃないstory
あなたの部屋
で見たあの映画
Alcoholのflavour
2人はstay high

「好きだよ、バイバイ」

  別に思い出したかったわけではない。ある女に、気持ちがあるということを伝えた電話をかけた場所は、僕を一番好きでいてくれた子に思いを伝えた場所と同じだった。

「死にてえな」と思った。

  4年間の同棲生活は、彼女を他人から僕のある一部にしたし、逆に僕も彼女のある一部分になった。それは別れたいまもそうだと思う。僕の一部は彼女だ。

  裏切ったのだ。そして、彼女はそれを知らない。

  毎日、通勤時は車がぶつかってくれればいいと思うし、通り魔を探しながら歩いている。

  どこまでも、底なしにクソだ。4年間の同棲期間、家賃その他諸々は彼女持ちだったし、彼女の親から逃げ続け、そして僕の友人は紹介せず仕舞いだった。

  それでも最後は、「好きだよ、バイバイ」だったのだ。

  酒に酔うと、女に会いたくなるし、電話なんかをかけたくなる。でも、彼女には、アルコールをどれだけ流し込んだとしても、通話ボタンを押せないままでいる。早く彼女の人生から姿を消すべきなのだ。それが、今の僕が彼女のために出来る唯一のことなのだ。

  と、美化して、こんな文章を書きまでして、自分を肯定しようとしている。どう足掻いても自己本位なのだ。

  愛情不足は、歴とした精神病だとは思う。人は、誰かの目を通してしか、自分を認識できない。誰かの承認の中でしか、人は存在し得ない。愛のあるセックスは究極の承認の形だ。愛のないセックスだとしても、経済とか物理とかと同じで数である程度誤魔化せる。

  ただ、どう数で誤魔化したところで純然たるそれは得ることはできない。アルコールやドラッグで誤魔化しに誤魔化しを重ねるしかなくなる。論理で考えてみれば、当たり前のことではある。

  すると渇く。砂漠でその場凌ぎの水を与えられたところで、喉が渇く結末が待っているのと同じ道理だ。

  人が「生かされている」というのは、学校のクソどうでもいい道徳の授業的概念ではなく、もっと人の本質を捉えているのだろう。誰かの中でしか、人は存在し得ない。この文を誰かに読んでもらうことで、僕は存在し得るし、逆に読んでいるあなたも僕の思考と交わることにより、ここに存在し得る。

  ただ、渇く。

  僕があの子の記憶とか意識の中から完全に消えてしまった時、僕はこの世に存在すると言えるのだろうか。物理的には存在するのだろうが、それだけでは誰かの中で生きているとは言えない。分からない。それが怖くもあるし、同時に誰かの承認の中から消えてしまいたいとも思っている。

“朝起きたら不在着信入ってたらいいな"
とかいって嘆いてみる日常
この曲を聴いたらcall me later
待ってるよ電話そん時までは
I'm rollin' some papers, ok girl?入ってたらいいな"
とかいって嘆いてみる日常
この曲を聴いたらcall me later
待ってるよ電話そん時までは
I'm rollin' some papers, ok girl?

  不在着信が入っていればいいとは本当に思う。それを言い訳にできるから。

  きっとそれはない。彼女と僕が交わって生きることはない。

  僕は、愛のないセックスとかアルコールとか、ドラッグとか向精神薬とかそういうを通してインスタントな承認とか、バグを頭の中で意図的に発生させるとかで生き存えるとは思う。これからも渇き続けるのだろう。

ブリーチしまくったそのhair
酒くせえ君のキス
忘れてねえ今となれば
だけど全てが過去形ブリーチしまくったそのhair
酒くせえ君のキス
忘れてねえ今となれば
だけど全てが過去形

◎歌詞

◎Apple Music 

https://music.apple.com/jp/album/we-stay-high/1451966698?i=1451966701https://music.apple.com/jp/album/we-stay-high/1451966698?i=1451966701

◎Spotify

https://open.spotify.com/album/4GeweoARu35FFOF3JVKk0s?si=8IG-RYE5TuCI8L3PMQboQghttps://open.spotify.com/album/4GeweoARu35FFOF3JVKk0s?si=8IG-RYE5TuCI8L3PMQboQg

  

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